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■連載特集 転換期を迎えるホテルという仕組み 3

全国チェーン展開の宿泊特化型ホテルに対抗し、地域のビジネスホテルも対抗策を打出している。
もともと地域のビジネスホテルは老舗旅館や駅前旅館からの転業組や地元の異業種企業がブームに乗って建てるケースが多かった。
東横インやアパホテル、ルートインなどの攻勢に対抗すべく地域密着型のビジネスホテルは朝食の無料サービス、客室のブロードバンド対応、旅の窓口(現:楽天トラベル)などのインターネット系宿泊予約サイトへの積極的な加盟、自動チェックイン機の導入など対抗策を打出している。しかしながら大量仕入れの全国チェーンと同じようなサービスで競っても勝敗は見えている。たとえばインターネット対応という触れ込みでも実際はダイヤルアップ接続であったり、朝食はバターも付かないロールパン程度のサービスなど大手の物量作戦には太刀打ちできないのが現状である。
道内にはホテルパコチェーンという宿泊特化型のホテルがある。道内のおもな都市に進出し、帯広や旭川などは天然温泉大浴場を完備している。客室には440チャンネルの有線放送や体重計、パターゴルフなどを完備。道内どこのパコチェーンに泊まっても同じサービスが受けられ、2回目からは安くなるのでリピーターが多い。一時は急成長をしたパコチェーンであるが宿泊特化型の全国チェーンの北海道進出により料金面などで劣勢に立たされている。
宿泊特化型ホテルは札幌市内中心部から函館市、旭川市、帯広市など中核都市へ進出し、最近では、北見市や釧路市などにも攻勢ラッシュをかけている。道内のビジネスホテルは観光需要が期待できるが、全国的に知名度が高いホテルの進出は地元ホテルにとって大打撃となる。
今後の展開としてホテルの多様化が予想される。街なかへの進出は土地確保、需要面などから限界がある。同一都市へ何ヶ所も出店することは、知名度を上げ、顧客を囲い込む効果があるが、共倒れのリスクもある。
ルートインのような幹線道路沿いやインターチェンジ近くへ進出する車利用型ホテル、アメリカ型のモーテルを真似たファミリーロッジ旅籠屋のような新しい形態のホテルは、北海道向きであり、今後増えるであろう。
また、旅の疲れを取るために大浴場を併設するホテル(ドーミーインなど)、充実した朝食メニューを売りにするホテル、高速ブロードバンドの無料サービス(すでに常識になってきている)を提供するホテル、シティホテル並みの客室スペースを確保するホテルなどそれぞれが知恵を絞り出すであろう。
現状では地元ビジネスホテルは有効な打開策がない状態である。設備投資にも限界があり、価格競争に参加をしては勝ち目がない。我慢のしどころであるが、画一的なサービスの全国チェーンにはできない、きめ細かいサービス、地元ならではのホスピタリティで活路を見出すなどアイデアややる気が求められる。
シティホテルは、すでにオフシーズンや休日など宿泊特化型ホテルと料金的には変わらない安さで提供しており、ビジネス客の奪い合いが激しくなることが予想される。札幌市内では既にオフシーズン期ではシティホテルでも5~6千円台が常識になってきている。
最後に今後、進出が予想されるのが外資系ホテルのM&Aである。札幌では3店舗あったチサンホテルがローンスターグループのソラーレホテルズに買収された。
ソラーレグループでは客室1万室確保を目指すという。1万室とはプリンスホテル、ワシントンホテル、東急ホテルズ、東横インに次ぐ規模で5番目になる。欧米のホテルは70%以上がチェーンやグループ傘下になっている。これに対し日本のホテルは20%程度であり、今後、ホテルの再編が急速に進むことが予想される。
これまでデフレ経済下、オフィスビルの投資利回りが低下したことから、10~15%の投資利回りが見込め、20~30年の長期にわたり家賃が保証された宿泊特化型ホテルがオフィスビルの代わりに投資対象として選択されていた。ホテルコストが低下し、従業員の雇用が容易で安価であり、予約もエージェントを通さずインターネットを中心に行なうので大幅な利益を出してきた。
しかし、宿泊特化型ホテルも生存競争が激しくなってきており再編も予想される。
札幌のチサンホテルススキノはホテルジェネラス、今はブルーウエーブインと4年間で3回も名前を変え、経営者が変わっている。
宿泊特化型ホテルチェーン、地元資本のビジネスホテル、シティホテル、さらに外資チェーンを巻き込んで暫く群雄割拠の時代が続きそうである。利用者にとっては競争からのボトムアップを期待するのみである。
おわり

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