*

鉄路の退潮と新幹線

この春、北海道の交通関係に大きなニュースがありました。
まず、前号でもお伝えしたふるさと銀河線(ちほく高原鉄道)の廃止が3月27日の協議会で決まりまた。あれほど存続の是非が討論されていたのにも関わらず、最後はあっけなく終わってしまった印象です。
また、かねてからの懸案であった北海道整備新幹線の新青森-新函館間の着工が5月からはじまることになりました。当初、2015年の予定であった開業を2012~2013年に前倒しをし、札幌方面への延伸工事も今後、2~3年以内に行いたいという考えを自民党の小里貞利衆院議員が示しています。
そういった状況の中、JR北海道は、鉄道運輸収入が減り続けています。特に中長距離の都市間輸送の減少に歯止めがかからず、06年度をめどにした中期経営計画(3月末発表)ではピーク時から1割減る見通しです。
札幌駅のJRタワーを中心とした不動産賃貸などで黒字を支えていますが、鉄道の赤字を穴埋めする経営安定基金の高利運用や税制の特例措置も06年度までしか保証されておらず、経営環境は不透明のようです。
4月10日付けの朝日新聞北海道版によると-切符の売り上げを示す鉄道運輸収入は04年度は725億円(実績見込み)と3年連続で減少。2年後の06年度はさらに1・3%減の716億円になる見込み。ピークの800億円(96年度)から1割落ち込むことになる。「ドル箱」路線の小樽-札幌-新千歳空港の輸送量は堅調だが、札幌と函館、旭川、釧路などを結ぶ都市間輸送は減り続けている。背景には、地方都市の人口が減り、長引く不況で事業所を札幌に集約する傾向があるという。
さらに高速道路の延長などで利便性でマイカー、安さで高速バス、速さで飛行機の劣勢に立たされ「割引切符など、あの手この手を繰り出しても売り上げが維持できない」(JR関係者)
もともと赤字ローカル線の多かった北海道はJR発足時に九州、四国とともに国から経営安定基金をもらい、その運用益で鉄道の赤字を穴埋めしている。北海道の基金は3島の中で最大の6822億円。当初は7%以上の高利回りだったが、その後は下がり続け、人員削減など経費削減で運用益の減少を補う。-(以上)
JR北海道はスタート時から徹底した人員削減と合理化により営業を続けてきましたが、鉄道会社という使命上、現場での合理化には限界があります。
鉄道収入を埋める形になっているのが、JRタワーをはじめとする不動産賃貸収入やキヨスク、スーパーなどの小売業収入です。
関連会社の「えきなか」(北海道の場合、「そと」の方が多いかもしれない)ビジネスで利益を確保しており、連結決算で黒字計上していますが、既にサイドビジネスとはいえない位置づけです。
今後、地方ローカル線や都市間輸送などは今以上の退潮が予想されますが、北海道新幹線が開通すると地域輸送はどうなってしまうのでしょうか。
かりに新幹線が函館まで開通すれば、並行する在来線の第三セクター化や廃止問題が必至となります。たとえば新函館駅は函館中心部から離れているので函館地区の空洞化が発生し、在来線との切り離しにより沿線の過疎化に拍車がかかることが予想されます。
また、札幌まで新幹線が開通した場合、ルートが倶知安経由なので利用者が多い室蘭、苫小牧方面が遮断される形になり、室蘭線の本数減による利用者減、閑散線化が起きるかもしれません。
さらに利用者が少ない函館本線の長万部以北は、3セク化されずに廃止される可能性が高いと思われます。(倶知安ルートは30年以上前、田中首相時代に作成されたが、当時は函館線・倶知安経由が在来線のメインルートであり、室蘭線経由は本数が少なかった。そのままの形で引き継がれている)
新幹線の話は本題からはずれるので、また別の機会にしたいと思いますが、新幹線が開業することによってJR北海道の鉄路は一層の閑散化が進み新幹線以外の路線がすべてローカル線化してしまう危険があります。
ふるさと銀河線の廃止や新幹線の乗り入れ、JRの輸送減少は、それぞれが無関係ではないのです。これから10年、20年先の北海道の鉄道(交通)事情を考えてゆくと交通問題は地域の問題と密接にリンクをしていることがわかります。
ふるさと銀河線問題もまだ論議をし尽くしていない段階で、なし崩し的に廃止が決定してしまった感があります。
JR北海道を「不動産賃貸会社」にしないためにも、どうしたら鉄道退潮を防げるのか多方面から本気で考えなくてはいけない時に差し掛かっているのではないでしょうか。
残されている時間は少ないはずです。

 - すべての記事一覧