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百貨店の撤退と中心街の衰退 釧路の場合

再建を目指す丸井今井が取引金融機関などに提示した再建案で、札幌本店に加え、函館、旭川両店の存続方針を盛り込んでいることが明らかになりました。赤字店の釧路、小樽、苫小牧、室蘭の4店は閉店も視野に検討を進めているとのことです。
百貨店はスーパーや量販店と違い、駅前や中心街に立地しているのが一般的で、百貨店の撤退は地域の衰退にもつながります。また、百貨店が消えることは、地域にグレードの高い物販店がなくなってしまうので、その町の「格」にも影響してくる問題です。ロードサイド型ショッピングセンター全盛の昨今ですが、百貨店があるとないとでは、その町のイメージも大きく変わってくるはずです。
丸井今井が撤退を検討している都市の中で小樽は札幌に近く、ウイングベイ小樽などの商業施設もあり、小樽店自体の集客規模も小さいので地域へ及ぼす影響は少ないと思われます。苫小牧店も最近オープンをした道内最大級のスーパーイオンがあり、もともと大型SC中心の町です。室蘭は地域が空洞化しているので気になりますが、百貨店の売上げ自体がトントンなので存続できるかもしれません。
その中で気になるのが釧路です。地域の空洞化は道内の都市で№1といっていいでしょう。釧路駅からMOOのある幣舞橋方面へ伸びる北大通の寂れかたは急速に進んでいます。
釧路は商圏が郊外のロードサイド型に変ってしまった典型的な町です。釧路市の人口は減っていますが、隣りの釧路町は逆に増えており、空洞化をした都市といえます。(すでに都市とはいえないかもしれない)
ところで丸井今井・釧路店はもともとは鶴屋という地元資本の百貨店を10年前に買収したものです。前身の鶴屋は昭和5年創業の老舗で、釧路の中心街である北大通を代表する商店でした。
長い間、釧路の中心として栄えた北大通ですが、昭和40年代に入ると地域の基幹であった水産・石炭・紙パルプの地場産業に衰えが見えはじめました。そのあたりから釧路の退潮がはじまったわけですが、鶴屋百貨店は地域のランドマークとして辛うじて輝きを保ってきました。
しかし、ライフスタイルの変化により、消費購買は街なかから郊外へ移動してゆきました。こういった現象は釧路に限らず、日本全国どこでも見られる現象で、駅前商店街の空き店舗などは社会問題になっています。
釧路の場合、地域産業の不振、人口の流出、モータリゼーション化が早かったことなど空洞化が早まる悪条件も重なりました。
現在、釧路の中心街には魅力的といえる商業施設がありません。映画館も無ければ、喫茶店もどんどんなくなっています。幣舞橋にはフィッシャーマンズワーフMOOがありますが、閉鎖してもおかしくないほどの不振が長年続いており、もし、丸井今井が閉店すれば地域にとって大きな打撃を与えることが予想されます。
百貨店がなくなり、郊外の大型ショッピングセンターだけになれば、町全体の個性がなくなり、均質化し、「ファースト風土化」が進むといった文化面での問題も出てきます。
釧路は保守的な街で、小樽や帯広のように市民・地域レベルでの盛り上り、新しいものを造りだすといったことが苦手な地域です。
このままでは地域の液状化が進み、活力に乏しい町になってしまいます。中心街の衰退は地域の衰退であり、経済的打撃だけではなく、地域文化の衰退というファクターも含まれています。
こういった問題は釧路だけではなく、函館や室蘭などにも当てはまり、全国的な問題です。
いち百貨店の撤退では済まされないテーマです。

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