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■ 団塊・シニア層の北海道移住計画について

北海道移住「北の大地への移住促進事業」について
首都圏で住んでみたい地域のアンケートを取ると北海道は長野、沖縄などと共に住みたい地域の上位に入っていることが多く、憧れの北の大地といえるでしょう。
そんな憧れの北海道生活に対し、道がシニア層の移住促進を進めようと具体的な動きを始めました。
北海道移住を道が表立って奨励することは、最近では殆んどありませんでしたが、もともと潜在的な北海道ファン、移住希望者は多く、民間レベルでは90年代に入り、積極的な動きがありました。そのあたり本題に入る前に移住に関する動きについて簡単に触れたいと思います。
バブル崩壊後の1991年には、十勝移住を希望する人たちのサークルとして「百年遅れの屯田兵」が十勝毎日新聞、メディアボックスなどを中心に立ち上げられ、仲間作りから移住ノウハウ、就職までサポート体制が整えられるようになりました。
また十勝の動きに触発されるかのように1994年には札幌で「私設・北海道開拓使の会」(現在はNPO団体)が当時のたくぎん総研が中心となり、立ち上げられました。
会ではバックアップをしてくれるスポンサー企業を募り、北海道では厳しい雇用門戸の開放にもつなげ、多くの会員が津軽海峡を渡りました。移住者と移住希望者の連鎖を継続するためのネットワークづくりを手伝うことが会の趣旨であり、現在は一服の感がありますが、その使命はNPOになった今も引き継がれています。
当初は「なんでわざわざ北海道に来るのさ」ということで、あちらこちらから奇異の目で見られましたがマスコミの報道などにより、知名度が高まりました。
これまでのマイナスイメージの移住から21世紀型の移住モデルを作るまでに至ったことは、両組織の存在なくして考えられないことです。道も市町村もI・Uターンの受入れに積極的になり、専任の部署や窓口を設け、活動をしていますが。最近は経済状況などから頭打ちの感があります。
現在、若者から働き盛りにかけての移住希望者が多いのは以前と変わりませんが、道内だけではなく、全体的な雇用状況の悪化もあり、移住はしにくい環境になっています。
移住を促進させる打開策がなく、閉塞感の状況下、出現したのが、団塊・シニア向けの移住プロジェクトの話です。
ここで「北の大地への移住促進事業」の概要を簡単にまとめておきます。道のプロジェクトは07年度から退職時期を迎える団塊の世代を北海道移住者として受け入れるため、今年度から「北の大地への移住促進事業」の名のもとスタートをしました。団塊の世代は約670万人おり、道は07年度から3年間で計3000世帯が移住すれば、約800億円の経済波及効果があるという推計を出しています。
道はシニア移住者を受入れる市町村を募り、移住事業担当者がいることを条件に、渡島管内の八雲町や小樽市など65市町村を「登録市町村」に指定して環境整備を行っています。
今後、団塊層・シニア層の移住を促進させるために、今年末までに戦略を練り、07年度までに移住しやすい環境を整えていく方針です。
事業計画では、企業から移住に関するアイデアを公募し、首都圏などでPR活動を展開するほか、体験ツアーなどを実施します。また、受け入れに積極的な市町村には不動産などの専門家を派遣し、サポート体制を整えます。福祉関連事業の拡大など「移住ビジネス」の創出と、人口増加による地域活性化を目指すということです。
この内容を読んでみると前述をした「100年遅れ」や「開拓使の会」で蓄積したノウハウを道が組織的にに、市町村と団塊世代向けにアレンジをした印象を受けます。
この世代は所得が多く、行動的、地域にも馴染みやすそう。また将来の雇用創出にもつながりそうなので北海道の田舎町に来てくれれば一石二鳥という発想は理解できます。しかし、まるで団塊層が高度成長期の「金の卵」のようで、創造的なプロジェクトとは思えません。
年寄りといっては失礼かもしれませんが、老人が多い町(それも”移住老人”という新人種)が魅力的といえるでしょうか。移住者には仕事を通して学んだ特技や専門知識などを地域で教えるといったマイスター的な役割を期待している市町村もあるでしょうが、優先順位としては今、働いている現役の人たちを先に通してあげることが重要であると考えます。
勿論、それが同時でも構いませんが、北海道の過疎の共通の悩みは若者がいないことです。かりに”移住老人”が寝たきりになり、福祉事業の雇用拡大が発生したため若者が地元に残る。→よって人口流出が止まり地域が活性化する-などとは決して思えません。
団塊・シニア層を道がプロジェクトとして移住促進にかけることは、やや短絡的な印象を受けます。地域活性手段としては手っ取り早いかもしれませんが、一過性と思われ、負の遺産を残しそうな気がします。
事例は違いますが、今、道が積極的に受入れているコールセンターやデータセンター事業と共通するものがあります。
そういう意味においても「旬」の人に来てもらい、頑張ってもらえるようなプログラムづくりに道が参加することを期待したいところです。

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