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■トピックス 個人観光客向けバス事業のあらたな試み 

知床が待望の世界自然遺産に認定されました。今後、知床を訪れる観光客はますます増えるでしょうが、人と自然との共生をはかる上で重要なもののひとつに半島へのアクセス手段をどうするかがあります。
マイカー、レンタカー、バイク、観光バス、路線バスなど手段は様々ですが、屋久島や白神山地と比較し、アクセスが容易なため、交通が”交害”になる可能性があります。
 5月発行の「北海道の達人」13号で【観光二次交通の整備・拡充を】というタイトルで路線バスや定期観光バスのサービス拡充や利用促進について触れました。車利用でないと観光周遊が困難になってきている北海道ですが今後、増えることが予想されるシニア層の観光客や知床などの環境保護の観点からも公共交通機関の再生が望まれるところです。
 この夏、路線バスを活用した観光二次交通の動きが見られます。いずれも実験レベルですが、なかなか興味ある内容になっています。 
まず、浦河・様似・えりも・広尾の4町が、襟裳岬や日高山脈、すぐれた海岸美や牧場景観を有することから「とんがりロード」の名のもとに共同で観光事業に力を入れています。その一環としてガイド付きの無料バスの運行とフリー乗車券を発売し、観光資源と連携をした公共交通機関の活性化実験を7月から10月までの間、行います。無料バスは出発日によりコースが異なりますが、襟裳岬周辺の観光周遊コースと帯広-広尾間を往復するコースに分かれています。
もともとこの周遊コースは、道内観光のドル箱コースでした。国鉄時代は札幌から様似まで直通の急行で行き、国鉄バスで襟裳岬観光をして、帯広や糠平温泉まで行く周遊切符が発売されており、そのプチリメイク版といえるかもしれません。
今回は広尾を跨いでJRバスと十勝バスにフリー乗車券が分かれますが折角なので様似-帯広間の直通バスにも期待したいところです。
想像ですが、来年からJR北海道のDMV (デュアル・モード・ビーグル)車が実用化されます。線路と道路の両方を走れる車両ですが、日高線では実用化実験が行われており、JRバスが走る襟裳岬方面とは相性がいいのでそれを見越しての今回の実験ということも考えられます。 
 もうひとつのモデル事業として、ニセコ地区の観光スポットを結ぶ循環バスが7月30日から10月まで運行されます。千円程度で1日乗り放題とし、冬に比べて弱いといわれる夏の観光客増につなげるという意図です。
ニセコアンヌプリや昆布温泉周辺の観光地を中心に、1周約90キロを約2時間半で巡るもので、地元のニセコバスが担当をします。都市間バスが止まるJR倶知安、ニセコ両駅をコースに組み込み、主な乗降
点とし、接続を図りますが、 循環バスの運行は土、日曜と祝日限定とし、1,2時間の間隔で走らせる方向です。
道内を代表する観光地のニセコですが、スキー場とJR駅の間をバスが頻繁に行き来する冬季に比べると、夏季の集客力は多くはありません。しかし、最近のトレッキングブームなどにより、神仙沼や湯本温泉などに多くの高齢者やマイカーを持たない観光客が訪れるようになりました。
循環バスはシニアハイカーなどに重宝がられるだけではなく、ニセコ連山の植物保護などにも役立つことでしょう。
今回、紹介をしたバスモデルは、いずれも北海道運輸局の実証実験です。採算面など実用化へはまだ課題があるでしょう。
しかし、北海道観光の方向性としては、二次公共交通の拡充と整備が必要であり、知床の世界遺産登録やシニアや海外からの観光客の増加を見ての通り、時代のニーズであると思います。
これまで路線バスの便の少なさから自由な道内旅行の組み立てが難しく課題になっていましたが、今後は解消されてゆくことを望みます。
*注:ニセコ循環バスは「ぐるりヌプリ号」の愛称と決まりました。

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