*

炭鉱資源を活用、逆手に取った特産品と観光地づくり

Photo.JPG
海底炭鉱から石炭を積み出した貨車(釧路崎灯台付近)
暗い話題の多い釧路ですが、最近面白いニュースを発見しました。
釧路新聞によると釧路の地酒「福司」が、国内唯一の炭鉱である釧路コールマイン(旧・太平洋炭鉱)の海底下250メートルの坑道を使って清酒の熟成に取組んでいるとのことで、清酒の名前はその名もズバリ「そこじから」。ネーミングのセンスは別にして、なかなかパワフルでユニークな商品名です。
釧路コールマインは、2002年に閉山をした太平洋炭鉱を引き継いだ坑内掘石炭生産会社であり、現在は海外からの研修生の受け入れ、ベトナムなどに鉱山技術を教えたり、最近では、修学旅行生の炭鉱体験ツアーなどを実施するなど「教育鉱山」として話題を提供しています。
しかし、コールマイン自体は太平洋炭鉱閉山後の雇用対策に作られた側面があり、国からの補助が打ち切られる2006年以降の動向については厳しい状況といわざるをえないようです。
それでも、国内唯一の炭鉱の灯を消すまいと昨年あたりから数々の施策を打っており、鉱山生き残りに賭けた積極的な動きがみられます。
たとえば昨年の夏に発売された釧路の海底炭をイメージした三色アイスクリーム「掘りたてアイTANTAN(炭譚)」は、石炭アイスとよばれ、なかなかの好評です。
考案者は炭鉱を支援する市民団体「くしろ石炭ドットコム」で、三色アイスは、表面の太平洋に当たる部分がソーダ味、真ん中の海面下の「地層」部分はコーヒー味、最下層は海産炭の「炭層」をイメージしたゴマ味でチョコ入りにしたアイデア商品です。
くしろ石炭ドットコムではこの他、炭鉱レトログッズなどを扱っており市民団体らしくこれまでの産炭地の地域振興策とはひと味違います。
今回、日本酒を坑道でねかせて仕込む福司酒造は、道東を代表する酒造メーカーです。釧路地方には白糠産のシソを使った焼酎「鍛高譚」が有名ですが、製造しているのは旭川の合同酒精であり、釧路産とはいえません。
釧路地方はお酒に限らず特産品が少ないところでした。代表的な銘菓もなく海の幸を除けば、釧路で買うお土産の多くは、道東以外のものが目立ちました。最近では「丹頂の卵」という菓子が話題になっていますが、まだまだ知る人ぞというレベルです。
釧路地方に特産物が育ちにくい理由として、函館などと同じく浜独特の地域性(創造性の無さなど)や製紙、石炭など他の産業に依存をし、ものづくり産業が育ちにくかったことなどがありますが、それにしても釧路地方は付加価値がある特産品がなく、隣の十勝地方と較べると天候同様こうも違うのものかとかんじていました。
今回の「福司」の海底仕込(?)はそういう意味で、話題性がある商品と思いえます。
そもそも海底炭鉱はそんなにあるものではなく、もし炭鉱施設を観光化できれば青函トンネルのイベント「ドラエモン海底列車」よりもリアルで、社会的な価値を含めて面白みがあるのではないかと個人的に思います。
普通、炭鉱は山の中など人里離れたところが多いのですが、釧路の海底炭鉱は街なかに隣接しており、観光スポットの米町公園の近く、釧路崎灯台へ行くと真下の海岸線での作業を様子をみることができます。
コールマインには、炭鉱鉄道(臨海鉄道)が海岸線を石炭を山積みした貨車が未だに走っているのも魅力であり、この鉄道を観光に活用しない手はないと考えます。
石炭アイスクリームや海底仕込みの日本酒など一度、閉鎖になった炭鉱(試験的な稼動は今もしている)を活用しようとするこのアイデア、まだまだ始まったばかりですが、資産を無駄にすることなくハンディを逆手に取るようで逞しさと新鮮さをかんじます。
これまで受身で創造性に乏しい印象の釧路地方ですが、ものづくりの面からも釧路の再生を期待します。
海底で熟成させた酒は12月に登場する予定です。

 - すべての記事一覧