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伸び悩む北海道の冬季観光をどうするか 

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順調に推移してきた北海道の冬季観光が苦戦しています。
今年の「さっぽろ雪まつり」は、期間中の人出、JR、航空機の利用者、市内の宿泊客数どれも昨年より1割以上ダウンしており、雪祭り離れに歯止めがかかりません。
関係者は「さとらんど」への会場移転や、本州の大雪の影響、休日が少なかったことを減少理由にしていますが、明らかに祭り自体が飽きられています。
もっかアジア系観光客が頼みの綱ですが、国内客からは「高い」、「混む」「つまらない」のイメージが定着し、簡単には人出が戻りそうにはありません。
道内各地で開かれる冬のイベントは、札幌雪まつりの時期に併せて開催するものが多く、このまま人出が減ると「さっぽろ雪まつり」に相乗りするどころか共倒れの危険性があります。
これまで雪まつりとともに冬季観光のもう一方の柱であった本州からのスキーツアーが苦戦をしています。
航空機によるスキーツアーは1972年に始めた全日空が元祖、その後、日本航空やTDA(後のJAS)、大手旅行代理店などがこぞって参入しました。
往復航空チケットからホテル、スキー場までの送迎バス、リフト券までがパックとなった割安料金がウケて、バブル期から90年代前半にかけては、航空会社系だけでも1シーズンに30万人以上を送客していました。
スキーツアーのおかげで、搭乗率が減る冬季の北海道路線をカバーし、売り上げに大いに貢献をしました。
しかし、今ではピーク時の三分の一程度までに落ち込んでおり、10年ほど前までは一流ホテルのロビーを占領していたスキーツアー客をあまり見かけないようになりました。
昨年からJAL,ANA,JR東日本の3社ではじめて共同キャンペーンを実施するなどしてスキー客の呼び戻しに本腰を入れていますが、期待しているほどの集客はないようです。
スキーツアー客の減少は、スキー場の経営に深刻な影響を与えるほか、札幌市内のホテルやゲレンデ周辺の宿泊施設、また、利用者が少なく、冬季間はドル箱である貸切バス会社の経営にも大きな打撃を与えています。
もうひとつスキーツアーとともにバブル期頃から人気が出たのが流氷ツアーです。紋別の「ガリンコ号」、網走の「オーロラ号」など定期船によるクルーズが人気ですが、こちらも乗船者数が頭打ちの状態が続いています。
かって冬の北海道旅行は、雪まつり見学や「三白旅行」といわれた流氷白鳥、丹頂鶴が3点セットになったものが人気を博しました。
しかし、今では日本人で北海道を訪れたことのない人も少なくなり、観光客増を主導してきた雪や流氷も目新しいものではなくなってきました。
また、日本人の海外旅行者も年間延べ1700万人を数えるようになり、海外旅行の大衆化は競合する北海道にダメージを与えています。
大幅な観光客増を見込めず、新規市場の開拓と再訪率を上げることが課題になっていますが、冬季観光はアジア系観光客に依存しているのが実態です。
すっかり定着したような印象のアジア系観光客ですが、まだその歴史は新しくこの10年の現象です。
現在、外国人観光客獲得の競争は激しく、早くから海外への地道な営業活動や見本市への出展などPR活動をした観光地や、海外向けのツアー商品を積極的に開発している観光地が一人勝ちしています。
最近になって行政を含め、積極的に海外へキャラバンに出ていますが、ライバルは道内観光地だけではなく、国内観光地から世界の観光地まで競合がひしめきあっています。
アジア系などの海外観光客がオンシーズンの夏ではなく、冬季に多く来るのは、雪に対する憧れが大きな理由です。
初めて雪に触れる「雪を求める観光客」や韓国、オーストラリア人など雄大なゲレンデと雪質も求めるスキー目的の観光客など季節性の優位をついています。
しかし、いつまでもアジア系観光客が「雪を求める観光客」でい続ける保障はありません。
最近では華僑ネットワークにより、シンガポールや中国本土からの観光客が増えていますが、国内客に「雪まつり」が飽きられたのと同じような道程を歩むリスクがあります。
そこで、国内で観光客を奪いあっているのも効率が悪いので共同で誘致をするような動きがあります。
たとえば富良野市と旭川市は今春から京都市と共同で、豪州人観光客の誘致活動に乗り出しました。
広域の自治体による共同のプロモーションは珍しく、他都市との連携で、相乗効果を狙います。
富良野では今冬、良好な雪質を求めて豪州人スキー客が急増しています。
たとえば、夏に京都を訪れた豪州人に対し、富良野や旭川への周遊を促す 一方、京都には夏に豪州人が訪れるものの、冬は少ないので富良野でスキーをした後に、京都でお寺巡りをするツアーの企画などを促すなど複合的な観光展開を目指しています。
富良野と京都の例のように広域、複合的な営業展開も今後は大切となってくるでしょう。自治体も縄張り意識を捨て、広域連携を取る必要があります。
伸び悩む冬季観光ですが、海外の観光客が増えることで注目が集まり、国内の観光客が増える相乗効果も期待できます。
しかし、外国人観光客頼みというのは、あまりにも寂しく、策がないと思うのは私だけでしょうか。

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