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「滞在型観光」の条件 どこに滞在するか決めるかは優先順位として2番目である

6月1日は北海道の観光が「オフ」から「オン」に切り替わる日だ。宿泊施設の料金が上がり、定期観光バスなどが運転を開始する・・・・といってもこれはひと昔前の話。周遊券があった時代は、5月までにワイド周遊券などを購入すると2割引になったものだ。しかし、最近ではオンからオフへの切り替えも曖昧となり、6月はまだまだオフといった印象だ。

特に今年は震災の影響もあり、先行きは不透明だ。しかし、7月以降は天候不順や突発的なアクシデントが起きない限り、大幅な伸びが期待できるのではないかとこれまで述べてきた。特に、長期滞在への期待は懸かるが、反面、一筋縄ではいかないと思っている。

管理人は北海道への移住や2地域居住(デュアルライフ)、また、ロングスティまで行かなくても1週間~数日程度の連泊が伸びない理由として、観光客のデマンドが読めていないことも関係しているのではないかと考えている。

北海道を訪れる観光客の目的が多岐に亘っていることは説明する必要もないであろう。同様に滞在型の観光客ニーズもいくつかに分かれる。管理人が考える滞在型観光客をカテゴライズしてみると・・・

①避暑地・リゾート型滞在客:ニセコや富良野など代表的なリゾート地のホテルやコンドミニアムに滞在する観光客。北海道ではこの層がこれまで意外に少なかった。

②田舎暮らし型滞在客: 観光地ではないが、たとえば十勝の農村やお気入りの田舎で滞在するタイプ。行政が推進する「お試し暮らし」もこのパターンに当てはまることが多い。

③都市型滞在客: 札幌・函館・小樽・旭川・釧路などインフラ設備が整った都市部で避暑生活を送るタイプ。こちらも行政が力を入れている。以前からいるが実態が掴みにくい。

大きく分けるとこの3タイプだが、肝心なものがひとつ抜けているのだ。それは、温泉地などの旅館に長期滞在する客だ。データはないが数は多くないと思われる。北海道には湯治の習慣があまりない。メジャーな温泉地は大規模な施設が多く、なかなか長期滞在を希望する個人客を受け入れる土壌が整っていない気がする。

前述したデマンドが読めていないというのは、滞在観光客が複数のタイプに分かれることと、本来であれば、大きな受け皿でなくてはならないメジャーな温泉地や観光地の受入れ態勢が不十分で、ニーズの読み違えがあるということだ。

これが沖縄であれば、滞在客の嗜好がほぼひとつのカテゴリに入るので、枠組を作りやすい。しかし、北海道の場合は滞在者のカテゴリが複数存在する。このあたりの複雑さ、複合的な課題を解決しないと「滞在型観光」は簡単には進まないと思う。

実は、道内での長期滞在を希望する消費者の多くはどこへ滞在していいのかわからないのが現実である。何度も北海道旅行に行っていても、滞在となると場所選びに悩んでしまう。これはふつうの周遊型の観光でも云えることだ。誘客する側はまず、「地域」のPRから入って行くのが常だが、ここに盲点があるのではないか。

消費者の多くは、絶対に登別温泉に行きたいのではなく、各自の旅行目的・条件プランから見合ったものが、たまたま登別であったということを忘れてはならない。何が何でも、北海道の○○へ観光、○○温泉というのは意外に少数派なのだ。

滞在型の場合は特に利用者が最初に求めるものは「地域」ではなく、滞在の「目的」や「プラン」にマッチしたところがあるかどうかである。

たとえば、小さい子供からお年寄りまでが一緒に滞在できる宿、短期滞在の賃貸物件はあるのか、畑仕事ができる場所があるかなど目的やプランの紹介から入った方が利用する側から見ると、わかりやすい。

観光プロモーションは「地域」をPRするものだと思いがちだが、滞在型観光を推し進める場合、場所よりも、目的・プランを満たすことが優先であり、場所はその次であるという考え方を持つことも必要であろう。

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