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「タニタ式」と休暇村がコラボ ヘルスツーリズム普及のきっかけづくりになるか

Health-Tourizm 上記写真は夕張で行われたメタボ改善ツアーのパンフ

旅行を楽しみながら健康増進を目指す観光スタイル「ヘルスツーリズム」の定着に向け、函館市は本年度、商品化を見据えたモニターツアーを実施する。市内や近郊の医療機関での検診と道南観光とをドッキングさせることで、新たな観光需要の掘り起こしを狙う。夏ごろをめどに、東京から2組4人を招く計画だ。(4/15付 函館新聞

「ヘルスツーリズム」が謳われて久しい。ニュー・ツーリズムの一環として誕生したものだが、当初は滞在型観光と併せ、温浴施設での療養治療(新型湯治)や花粉症疎開(ヒムノセラピー)などいくつかのモデルが出された。しかし、定着したものはまだ生まれていないといってよい。

管理人も6年ほど前に、函館市役所のある部署(観光課ではない)から「ヘルスツーリズムとそれに関わる雇用創出」というテーマで企画の依頼があり、提案をさせていただいたことがあった。

その間、PET-CTなどによる検診を主体とした人間ドック型の「ヘルスツーリズム」が目立つようになってきた。もう少し掘り下げて言うと「メディカル・ツーリズム」である。当初はアジア人富裕層をターゲットに観光と温泉滞在を組合わせたものが主流であったが、最近では函館市の事例のように国内客向けのサービスも増えてきている。旅行会社などが商品化し易いこともあるが、本来の目的とは少しズレてきた気がしていた。

いきなり結論だが、管理人はドックなどの検診型「メディカル・ツーリズム」は小さなパイで終わると見ている。その理由として、まず外国人向けサービスは中国など現地の医療発展のスピードが早く、わざわざPET検診を受けに日本へ来る客は続かないと読んでいるからだ。確かに日本のドック施設の信頼度、ホスピタリティ度は高いが、それは医療機関での話であり、滞在している大型温泉ホテルとは別ものである。同じ施設内で幅広いメニューを提供できれば話は別だが。

また、日本人向けサービスも限界があると言わざるを得ない。なぜなら検診、特にPET-CTなどは非常にシリアスな検査である。わざわざ遠い所まで出かけ、結果を聞くまでビクビクするようなものを受けるであろうか?個人的には10万以上かかる検査を知らない医療機関で受けたいとは思わない。

例え、温泉療養や観光が組み込まれても、それは単に検診のオマケであり、「ヘルスツーリズム」の趣旨とは異なると思う。確かに、「企業経営者らが人目につく都内の病院を避け、地方都市に出向いて健診を受けるケースがある」といった需要も存在するがあくまでも一部に過ぎない。

本来の「ヘルスツーリズム」とは、もっと緩やかなものでスローライフに類似するものであると思う。温泉 漢方 マッサージや森林浴、ウオーキング、海洋セラピーなどいくらでもテーマはあるが、自由度が高く、構えないものが「ヘルスツーリズム」の趣旨ではなかろうか。

しかし、現実的には滞在時間、費用の問題もあり制約も多い。これまで需要が読めず、具体化しにくいジャンルであったが、先日注目すべき「ヘルスツーリズム」を発見した。

それは、あのタニタ休暇村(国民休暇村)、読売旅行とコラボレーションし、社員食堂メニューやウオーキングなどの健康プログラツアーを提供するというものだ。第1弾として、6月30日、石川県羽咋市の「休暇村能登千里浜」で実施されるが、食事は3食全て、地元食材を使った「タニタ社員食堂」を提供、健康計測機器のモニター利用のほか、参加者にはタニタの活動量計をプレゼントし、ツアー中のウオーキングイベントや、消費カロリーと摂取カロリーのバランスチェックなどを体感できるようにする。

タニタのツアーは1泊2日なので決してスローではなく、時流に乗った企画モノという見方も出来るが、料金も3万円以下と手軽であり、「ヘルスツーリズム」の入門編と考えればいいのではないか。今後、全国の休暇村で実施するということだが、いろいろなプログラムが考えられ、事業性が高い。

このツアーはハードルの低さが魅力であり、検診のように緊張するものではない。検診をネガティブとは言わないが、「ヘルスツーリズム」には、もっとポジティブで緩やかなものに需要があるのではないか。 夕張で実施した「メタボ改善ツアー」でさえもハードルを感じるが、そこにタニタが登場するだけでいっきに下がる気がする。普及へのきっかけづくりになるはずだ、

実は観光に限らず、ITの世界などでもヘルスケア分野の商品化、消費者向けサービスは試行錯誤であり、検診やそのデータに基づいた健康管理となると敷居が高く、敬遠される傾向があった。タニタが台頭する以前、その分野では一人勝ちしていたオムロンでさえも、ITサービスは総崩れであった。しかし、身近で、役立つものは消費者の心を捉えることが出来る。最近では女性の生理日予測ITサービス「ルナルナ」の大ヒットはいい例である。

「ヘルスツーリズム」はタニタのようなブランドを借りながら、敷居を下げてきっかけずくりをする-そのあたりからスタートするのが普及への一歩かもしれない。

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