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NHKテレビ「復興サポート 観光客を呼び戻せ~北茨城市~」を見て

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21日午前、NHK総合でオンエアされた「復興サポート 観光客を呼び戻せ~北茨城市~」を見た。この番組は原発事故などの影響で客足が遠のいたまま、未だ回復の兆しが見えない北茨城市が舞台。ここに4人の「観光のプロ」が結集し、観光客を惹きつけるための斬新なアイディアを伝授し、北茨城がより魅力的な観光地として生まれ変わる道筋を考えるいった内容のもの。

出演の4人の「観光のプロ」は、星野佳路氏(星野リゾート取締役社長)、筧裕介氏(博報堂クリエイティブディレクター)、角田周氏(津軽地吹雪会代表)伊藤勝康氏(ソウルオブ東北シェフ)といった顔ぶれ。筧氏は隠岐・海土町の町民にスポットを当てたパンフレットを制作、角田氏は地吹雪ツアーの元祖、伊藤氏は盛岡のフレンチ料理人で被災地で地域食材を使ったキャラバンをしている。

まず星野氏から北茨城市へ厳しい指摘が。「観光客が来ないといいますが、震災前がどうであったのか検証したことがありますか」。震災のせいにするのではなく、本当に北茨城が魅力的な観光地であったか疑問だといういういかにも星野氏らしい話から始まった。

星野氏はまた観光地をメジャーにするのは、そこだけにしかないもの、いちばんのものを作ることが必要で、地域活性には地元では気付かない魅力の発見をしなくてはならないと提言。そのためには若者・バカ者・よそ者がカギという地域活性の話では何度も聞いたどこかのシンポジウムに来たような話で進んでいった(管理人もスピーチをする時も似たような話になるが)。

北茨城市ではご当地版の「るるぶ北茨城」を作成したが星野氏はこれもぼろくそに言う。内容は海あり山あり温泉ありグルメありの何でもあり、トレッキングも出来るといったてんこ盛りだが、日本のどこにでもあるものであり、これでは北茨城への誘客ツールにはならないことを指摘した。

その通りだと思うが、多くの自治体の観光戦術はこのパターンを踏襲しており、何でもありますよが、かえって印象を薄くして埋没させている。

管理人の北茨城の印象は率直に言ってB級観光地であった。以前から五浦海岸、温泉、アンコウ、岡倉天心六角堂、野口雨情などがこの辺りのものであることは知っていたが、それが茨城県の北部であることまではわかっていても北茨城市という具体的な地名までは結びつかず、福島の浜通りとも混同する部分もあった。むしろ、常磐線の駅名、磯原、大津港といってくれた方がピンと来る。磯原は民謡の「磯原節」の町である。

また、北茨城市は福島との県境にあり、すぐ隣りはいわき市である。この辺り海岸線が美しく、かつては国鉄周遊指定地にもなっていたので、以前かられっきとした観光地である。しかし、隣りのいわき市と較べると存在感がない。福島県もPR上手ではなく、勿体ないと思うことも多いが茨城は県全体の印象が薄い。

茨城の観光地は北茨城以外にも袋田の滝がある奥久慈、鹿島神宮・潮来、つくば山、大洗、阿字ヶ浦、笠間、水戸など点在しているが首都圏から近いせいか日帰り客が多く、印象度が薄めている。そのあたりはハンディかもしれないが、宿泊客が少なく、それへの対応に慣れていないことも悪循環になっているかもしれない。

管理人はだいぶ前に大津港から山の中に入ったところにある湯の網温泉に泊まったことがある。茨城県北部は沿岸部から奥久慈にかけては温泉が点在する。鉱泉宿が多く、多くが鄙びた一軒宿である。福島県の浜通りにも似たような環境があるが、この辺りに「秘湯」とも云えるような温泉が点在していることは殆ど知られていない。

これらは隠れた観光資源であると思うが、地元の人たちは決して立派とはいえない建物が大半なので、その価値を見過ごしているであろう。鄙びた鉱泉宿などは地域が殆ど気付いていない財産であると思う。ハワイアンスパがあるいわき湯本温泉は豊富な湯量を誇るが、この北茨城周辺も同じ鉱脈なので温泉資源に恵まれている。

北茨城市がある茨城県北部エリアは奥久慈地方も含めて観光資源に恵まれているがそれが伝わっていないのだ。北茨城市と奥久慈も含めた広域観光を導入すべきであるが、それ以前に地域の魅力(ウリ)についてもう一度考えてみる必要があるのではないか。

テレビでの印象だが、管理人が考えるに観光手法が当たり前すぎて策に乏しい。これまでのやり方では埋もれてしまう。立派な温泉宿や美術館などハコモノで勝負するよりは鄙びた温泉が点在する山里観光や海岸線などありのままの姿をPRした方がよいのではないか。東京から2時間弱で非常に遠くに来たかんじがするのは魅力だが。

また、この辺りは東京の目を意識し過ぎているのか二番煎じのものが多く、個性に欠ける。 これは北関東や東北に長く根付いた東京との従属関係も影響していると思うが、3.11というエポックを契機に、中央の物差しから離れた観光施策に期待したいところだ。B級観光地と魅力ある観光地の境目はありのままの姿、リアリズムを表現できるかにあるような気がする。

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