*

道南の地酒復活への期待と幻の「五稜正宗」

goryo-masamune 写真は「五稜正宗」の山車でパレードをする女給たち(港まつり 戦前)

函館市の料理人らでつくる「クラブガストロノミーバリアドス」(ガスバリ、深谷宏治代表)が復刻させた銘柄米「マツマエ」を使い、青森県弘前市の六花酒造(北村裕志社長)が作った日本酒「ガスバリ2013」の完成を祝う会が1日、レストラン・バスク(函館市松陰町)で開かれた。函館、弘前両市の商工会議所、観光コンベンション協会などから約30人が出席、3年後の北海道新幹線開業を控え、青函の連携で完成した酒の誕生を喜んだ。(7/2付 函館新聞

このところ道南、函館で日本酒関係の話題が続いている。

まずはトップに記事を貼り付けたが、生産が中止となった道産米「マツマエ」を使い、弘前の六花酒造で醸造した復刻米による青函連携の地酒「ガスバリ2013」が誕生した。復活話を持ちかけたのは、函館の名スペイン料理店「バスク」の深谷オーナーが中心となって生まれた「クラブガストロノミーバリアドス」という青函の料理人のグループで、函館や弘前、青森、八戸のバル街や共同イベントなどを実施している。

管理人はバスクのファンで、深谷氏とは20年近い交流があるが、食文化を通した地域づくりや啓蒙には並々ならぬ熱意を持っておられる方。新幹線開業が迫ったこともあって、青函交流が盛んに言われているが、これまで行政レベルでは盛り上がっても、民間での交流はなかなか進まなかった。今回の日本酒づくり、まさに民間交流であり、食を絡ませたものは敷居も低く、継続・定着性も高いであろう。 ちなみに六花酒造はなかなかいい蔵元で管理人は「じょっぱり」がお気に入り。「ガスバリ2013」、是非飲んでみたいものだ。

 

「ガスバリ2013」は復刻米だが、新たに酒米を開発し、道南産日本酒をつくる動きもある。こちらは地元産で最近、研究開発された酒米「吟風」を使い、「白雪」で有名な大手の小西酒造(伊丹市)の協力の元、日本酒の商品化に取組むというもの。自社酵母で醸造し、年明けから純米吟醸酒1万本を販売する計画だ。この事業は、 函館の北海道食品開発流通地興が函館産の地酒づくりに乗り出し、酒造メーカーや卸問屋、生産者、高等教育機関などとスクラムを組み、地元産の酒米「吟風」を使った日本酒を新幹線開業に合わせた名物として売りたい考えだ。

道南(渡島・桧山地方)には地酒がない(胆振にもなく、後志の二世古酒造ぐらい)。昭和30年頃までは道内でも1,2を競うほどであったという「五稜正宗」(丸善菅谷合名会社)があったが廃業。その後、渡島エリアは日本酒の空白地帯となっていた。

大正10年の道内2千石以上の酒造業者の造石高を見ると、一位が札幌の「富久天狗 」(札幌酒造合名会社 )で6,350石。ここはのちの日本清酒で「千歳鶴」を出している現存する大手メーカーである。二位が函館の「五稜正宗」であり、4,579石。三位があの「北の誉」なのでいかに、売れていたかがおわかりであろう。

どうして人気のあった「五稜正宗」が姿を消したのはナゾであるが、当時の醸造業界は合併吸収など離合集散も激しかったようだ。五稜郭駅近くにあった工場では、「千歳鶴」や焼酎もつくっていたようで、今と違い「地酒」という意識も低かったのであろう。函館駅近くにある酒店「丸善滝澤」は「五稜正宗」の丸善菅谷とは関係があり、末裔だとおかみさんが言っていたような気がしたがこちらは不確実で申し訳ない。今度、立飲みで行った時に確認してみる。

最近は道産米が日本一と評価され、ワインも国内でもっともぶどう栽培に適しているといわれる道南エリア。ワインの方は以前からある「はこだてワイン」に隠れた逸品である乙部町の「富岡ワイン」、奥尻ワインも急成長しており、未来は明るいと思うが、日本酒に関していうと、どうして存在しなかったか不思議であった。

道内の日本酒づくりは十勝でも始まっている。道産日本酒のレベルは高いと思うが、全国的に見ると流通も少なく、ごく一部の銘柄しか知られていない。道民も地酒ではなく、道外のブランド酒を好む傾向があるようだが、是非、地産地消となる函館・道南産の地酒に期待をしたい。

 - すべての記事一覧, 北海道の食, 地域(函館・青森・道南), 観光(体験型)