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日本人顧客を見ていないLCC、高速ツアーバスのサービス面を参考にすべし

大々的に宣伝されるお得なチケットで旅行業界を席巻するLCC。しかし今回、本誌取材チームがまさかの受難。その時、LCCの対応は?(現代ビジネス 大人の休日より

最近、個人Facebook拙サイトのFB版で国内線LCCの問題について取上げた。使いにくい予約画面や販売方法、わかりづらい搭乗手続、締め切り時間の早さ、遅れや突然変更されるダイヤ、欠航時やチケット変更・払い戻しの際の複雑さなど問題を挙げたらキリがない。手荷物有料は仕方がないにしても、預けた荷物を外へ放り出したり、有料の座席指定や馴染のないオプションを予約時にネットから押し付けるなど日本の商習慣にはなじまないものになっている。

特に安さをウリにしているが、それにはカラクリがあり、直前での予約や人気時間帯の便、繁忙期では国内FSCの運賃とあまり変わらず、席が埋まり次第、高くなる料金システムが周知されていないようである。国民生活センターにも苦情が殺到しているようであるが、この仕組みを認可した国交省にも問題がある。規制緩和の一環であるが、暫くは外資流と日本流の鬩ぎ合いが続きそうである。

管理人は外資系企業に長くいたが、頭を痛めたもののひとつに向こうの本社に日本流の商習慣と手強い消費者をいかに理解させるかということだった。自国ではそれがスタンダードであっても外国では異なるという至ってシンプルな理屈が彼らにはわからないのだ。勿論、日本側にある程度の権限を任せる企業もあるが、全体的には少数である(任せた会社の多くは日本市場に受け入れられ、継続しているケースが多い)。特に旅行業や航空業などは違いが顕著のようである。海外の宿泊予約サイトが日本で伸びないのは、LCCと共通点があるように思える。

ところで、エアアジア・ジャパンの経営からマレーシア本社のエアーアジア側が撤退した。共同経営者のANAが引き継ぐことになったが、これもある程度予想された結果。外資流経営と日本流のぶつかり合いであり、社内間は相当軋轢があったことが予想される。株式比率はエアアジアが49%に対しANAは51、エアアジア側のCEOは就航の際、「先発のピーチを食べてやろう」とホンモノの桃をパフォーマンスで食べようとしたらしいが、ANA側からやめてくれと言われて実行されなかったらしい。どうもピーチに喰われることになりそうだ。

そのピーチはANA系だが、遅かれ早かれエアアジアと一緒になるのではないか。FSCがLCCに進出したのも稼ぎ頭の羽田空港に就航させないための防御策として作った意味合いもある。ANAにとって今回の事態は"想定内”であったと思われる。

今後、LCCのサービスは日本の消費者と商習慣に合った方向へ向かって行くであろう。そういう意味ではLCCを否定するのではなく、新ジャンルとして認めて、消費者は中味を吟味した上で利用すべきである。

 

また、LCCを見ていると、高速ツアーバスと共通するものがある。若者を中心とした利用者層、ネット中心の予約、格安だが変動する運賃体系、採算性の高いルートのみの設定、乗り場のわかりにくさや自己都合による運休など両者は近いものが多いと感じる。多分、それは両者共、出発点が公共交通事業者ではなく、旅行会社や貸切のバス、観光地のチャーターの航空会社から来ている点にあると思う。日本では法の目を掻い潜ったようなギリギリの存在であり、こちらも問題を挙げるとキリがない。薄利多売の旅行会社のビジネスとして捉えた方がいいかもしれない。

関越道事故など度重なる惨事でツアーバスは社会問題化し、この8月からは乗合高速路線バスと同じ扱いとなるが、今のLCCの試行錯誤ぶりを見ていると似たような過程を辿っているように思える。

しかしながら高速ツアーバスというと負のイメージが付きまとうが、既存の路線事業者ではできなかった新たな乗客サービスを導入して、業界の常識を打ち破ったという貢献面が多々ある。これまでのバス会社では出来なかった女性客や若者を意識したサービスにより、夜行バスでの移動は市民権を獲得し、鉄道のシェアは落ちるばかりである(夜行列車が全滅に近くなったのも夜行バスの台頭が大きい)。

LCCには高速ツアーバスのよい点を是非参考にしていただきたい。狭い機内は仕方がないが、待ち時間が長いので空港内での待合室の充実(LCC専用)など利用者がちょっと寛げるようなサービスが提供できれば自然と印象は変わるはずである。安いだけで、CSを意識しないサービスではすぐに飽きられる。LCC側の考え方次第であろう。

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