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観光客が増えた新生・大間航路 求められる下北観光の充実

4月に大間・函館フェリー航路に就航した新船「大函丸(だいかんまる)」が好調だ。就航から半年間の利用実績は、旅客数、車両数ともに昨年より約1割増。特に函館発の便の観光客が増えており、運航する津軽海峡フェリー(函館市)と大間町は、道南向けの観光PRが奏功したとみている。ただ、下北半島には宿泊しない通過型の観光ツアーが多く、滞在型観光の在り方が課題となっている。(11/4付 東奥日報

大間航路が順調のようだ。とはいっても、現在は2往復態勢だが、かつては3往復し、繁忙期には5往復で終日ピストン輸送をしていた時代もあった。この他に戸井を結ぶ航路もあったので、とりあえず今は底を打ったという段階であろう。これまでの地元相手ではジリ貧なので運航する津軽海峡フェリーと新造船の費用を持った大間町では観光客誘致に力を入れている。

観光客の利用は北海道側からの方が多いという。その理由のひとつとして函館側のアクセスのよさが挙げられるであろう。公共交通利用ではやや不便であるが、函館フェリーターミナルは中心地からそれほど離れていない。以前、青森とを結ぶ高速船がベイエリアから出ていたが、大間航路も金森倉庫の前あたりが乗り場であれば、もっと利用者も増えるかもしれない。

問題は本州側である。大間はどこから行くにしても遠い。青森からクルマであれば、野辺地、むつ市を経由して大間港まで約3時間40分。公共交通の利用であれば、野辺地からJR大湊線下北駅まで約1時間、さらに下北交通バスで約2時間ほどかかる。鉄道、バス共、本数は少なく、首都圏から行く場合はどこかに一泊しないとフェリーには間に合わない。青森や八戸から大間までの直通バスがほしいところである。

記事によると、下北半島には宿泊をしない通過型の観光ツアーが多く、滞在型観光の在り方が課題となっているとあるが、このあたりは一日2便という限られたダイヤも関係しているであろう。また、下北半島には大きな宿が少ないイメージがあるが、実際はむつ市中心部には温泉を兼ね備えた大型ホテルや大湊の駅前にはJR系のホテルもある。また、薬研温泉も設備が整っているが、下風呂温泉などは泉質、ロケーション、海の幸などレベルが高く、青森を代表する温泉地であり、津軽半島よりは遥かに宿泊地は多い。

下北半島はは観光資源にも恵まれている。尻屋崎や仏ヶ浦、恐山などは一級の観光地である。津軽と較べると、観光資源は多く、且つバラエティに富んでいる。それでいながら地味な印象があるが、アクセスの悪さとドン詰まりのため、周遊観光がしづらいことも関係しているであろう。恐山は日本三大霊場のひとつであるが、知名度はあっても実際に訪れた人は意外と少なく、勿体ない気がする。余談だが、六ヶ所村の核再処理施設や大間の原発計画もこの地域のイメージを悪くしているのではないか(下北は高度成長期から言葉は悪いが、日本のゴミ貯めのような扱いを受けている)。

話は戻るが、大間航路の活性には、下北半島の観光の充実が切っても切れないはずである。北海道新幹線開業を控え、青函交流が活発になってきているが、このままの流れでは、新幹線が通る津軽半島に目が行きがちになる。下北半島への誘客には、青函を循環するような旅行スタイルの推進が求められる。たとえば片道づつフェリーと新幹線を使う、蟹田、青森と脇野沢を結ぶフェリーを組み込むなど旅のアクセントが求められる。何より下北半島に泊まったもらわなければならない。

まずは新造船の就航により、好スタートを切った大間航路だが、北海道新幹線開業のブームに乗るには、地域との協力をあわせ、さらなる努力工夫が必要と思われる。

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