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山椒は小粒でも….ノンブランドのスキー場や地域でも外国人呼び込みは可能ではないか

千歳市は、ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(GC、千歳市蘭越)から打診を受けていた、スキー体験を希望する冬期間の外国人観光客を市内泉沢の千歳市民スキー場で受け入れる。同GCが冬期間、クラブハウス周辺で展開している「ノース・スノーランドin千歳」の来場者が急増し、併せてゲレンデスキーの要望があるためで、打診を受けた市側も交流人口拡大につながる、として前向きに対応していく。(10/15付 苫小牧民報

長期低迷が続くスノーリゾートだが、このところ救世主になっているのが、アジア圏からやって来る外国人スキー客である。北海道に限らず、国内の主だったスキー場は彼らを呼び込もうと大規模なプロモーションを打っているが、ここに来て新たな動きも出ている。

今回、外国人を受け入れる「千歳市民スキー場」はおもに地元小学校の体育授業に使うような 小規模なロコ(地元民向け)スキー場である。最近はこういった公営スキー場の廃業が急速に進んでいるが、スキー初心者が大半のアジア系 観光客にとっては、大きなゲレンデよりは、子供のそり遊びが一緒にできるような空いている小規模ゲレンデの方が使い勝手がよいはずである。 こういったゲレンデで基礎を学んでからニセコや富良野でデビューしてもよく、アクセスのよいファミリーゲレンデの強みを活かせそうな事例である。

千歳市は地の利を活かし、飛行機の到着後や出発までのわずかな時間を効率的に活用する観光プログラムの開発に力を入れているが、ちょっとした雪まつり気分が体験できる「ノース・スノーランドin千歳」 や市民スキー場の活用は地元の特性を活かしているプロジェクトといえよう。

道内のスノーリゾートへ訪れる外国人スキーヤーは、“滑り”を求めてやってくる欧米や豪州人と“雪あそび”が 中心のアジア系を同じスキー客として括るには無理がある。 中華圏やムスリム圏などアジア地域の集客に熱心な加森観光は自ら経営するスキー場で、雪遊び体験からスキーリピーター、さらに上級者になっても囲い込めるような戦略に打って出ている。特徴を出さないと外国人スキーヤーの集客は難しく、ただ外国人さんウエルカムの横並びの受け入れ態勢では、埋没してしまうであろう。

少しケースが異なるが、道南今金町に今金ピリカスキー場という町営スキー場がある。 町での運営は昨シーズンで終了する予定にしており、引き受け事業者を探していたが、 新たに全国でスキー場、ゴルフ場等リゾート施設の経営・経営受託を行うマックアースが この今金ピリカを引き受けることになった。
この会社は、もともとは兵庫県のハチ北高原スキー場のロッジだが、近年規模を急拡大し、 2014年現在日本国内で33スキー場を運営している(受託・指定管理を含む)。 グルーブ内の全スキー場共通シーズン券や地域共通シーズン券の販売やリフト・圧雪車の整備、降雪機の施工を社内で行いコストダウンを図る、などの施策を行っている注目の会社である。

管理人はマックアースがどうして今金ピリカのようなローカルスキー場を引き受けたのか興味があったが、考えてみると道南ではもっとも雪質がよく、リフトは1200mの一本ながら1500m以上のロングコースが楽しめる。 函館七飯よりも雪質がよく、コースもフラットなので初心者、たとえばアジア系観光客の来場も計算したのではないであろうか。 函館と登別・洞爺のちょうど中間地点にあり、温泉付きのホテルもあるので団体ツアーであれば意外に集客力があるかもしれない。

道内でも殆ど知られていないゲレンデだが、新幹線の開業もあり、やり方次第では伸びる余地がありそうである。道内に限らず、国内にはまだまだ埋もれているスキー場がありそうだ。 ビキナー中心のアジア系がターゲットであれば、前述したようにビックゲレンデの必要はなく、むしろ雪体験(冬体験)や温泉、宿といった付加価値部分が求められる。

また、アクセスが悪くても歌登のタイ人のように地元に囲い込んでしまう方法もある。 加森観光のルスツなどもその一例であるが、”まるごと日本の冬体験”ができるような場所を作ることが、外国人観光客(特にアジア系)を獲得するには重要であろう。

国内のスキー場はまだ過剰しているといわれているが、少し発想を変えればまだまだ可能性があり、外国人がやって来るのは大きなスキー場だけということはないであろう。 ”山椒は小粒でもぴりりと辛い”ようなスキー場と地域が出来れば、歌登のような観光無印地域の活性につながるはずである。

インバウンドに関しては、まだまだ画一的で杓子定規であると思える。地域や行政の方も来る側の視点に立ちながら、自分たちの強みや訴求点をもう一度考えて独自な施策が打ち出せれば、ノンブランドの中小スキー場や地域でも太刀打ちできるかと思うが。

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