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大都市では満室だが減り続ける国内の宿 民泊システムを導入する前にやることがあるのでは

最近、出張族の間で「ビジネスホテルの予約が全然取れない」と話題になっている。東京や大阪の都心部で、アクセスが良く手頃な値段のホテルを予約しようにも、どこも満室で取れない場合が多いのだ。(4/13付 週刊ダイヤモンドオンライン

昨年あたりから大都市を中心にホテルの満室が続き、予約難になっているという話は、拙稿でも何度か取り上げている。大幅な料金上昇が続いており、管理人のまわりでも札幌や福岡、最近では大阪の客室不足と料金上昇によって出張旅費の範囲ではまともな宿に泊まれないという話を何度か耳にしている。先日、あるデータをみていると外国人客が増えた都市ほど客室料金の上昇率が高く、予約難になっている。逆に訪日客がそれほど多くない名古屋などは予約も容易で、料金も殆ど上がっておらず今の状態は”インバウンドバブル”といってよいであろう。

このダイヤモンドの記事だが、アパホテルは標準料金の1.8倍まで支配人の裁量でアップOKということが紹介されている。もともと定価が高めに設定してあり、アパのタリフなど見たことがないが、シングルで2万、3万は身分をわきまえていないといってよい。東横インはどんなに需要があっても上限の7800円は守り、ルートインも大きなイベント以外の時は上げても数百円の単位に抑えているという。あの東横インが良心的に思えてしまうが、アパに限らず、最近の大都市のホテルは目に余るような料金設定をしているところが多いのが気になる。

 

ところで昨年の訪日客数は約1300万人、2020年には2000万人を目指すというわが国だが、潤っているのは大都市部と限られた観光地だけである。実は宿泊施設の数は年々減少をしており、1980年には国内で8万軒あった旅館が今では約その半分に減少をしており、廃業ペースは止まらない。旅館の半数以上は赤字であり、家族経営などの規模が小さいものが大半である。

都市部では駅前旅館や商人宿のようなものが消え、代わりに登場したビジネスホテルも全国チェーンに押されて、地場で残っているところは僅かである。温泉などの観光地は、個々の宿だけではなく、温泉そのものが存亡の危機に瀕してるところも多い。結局、こちらも箱根のような収益が見込める場所には資本のある事業者が進出して宿が増えるが、個人や家族経営が多いその他の温泉・観光地は減少が止まらない。かつては地元で力のあった宿もバブル期の無理な新築などにより、今では伊東園や大江戸温泉、おおるりなどの傘下になっている。宿泊ビジネスは地域ごとや体力のあるもの、ないものとの間に大きな格差が生じている。

2020年に向かって宿泊施設の総数は更に減ってゆくのは間違いないが、宿が取れないというのもおかしな話である。airbnbのような民泊ゲストハウスビジネスが注目を集めているが、日本の場合、旅館業法との兼ね合いや赤の他人に家を貸すことへの抵抗感が強い国民性もあり、欧米のように素直にこのビジネスモデルが受け入れられるとは思えない。また、不動産業者や大手の寮・アパート管理事業者などの進出も予想されており、既存の宿泊施設との摩擦が生じるであろう。さらに管理人が危惧するのは、一時的に外国人観光客に貸すだけであればよいが、シェアハウスが国内の貧困ビジネスの隠れ蓑になるのではいかということだ。

国は旅館業法を一部改正して「宿泊特区」を設ける方向で行くようであるが、まずはairbnbのような民間事業者がゲストハウス希望者を認定する前に行政が何らかの許可基準を設けるべきだと思う。旅館業法でいう「簡易旅館」にゲストハウスを組み込み、観光目的以外では宿泊させず外国人が原則、貸す側は個人に限定し、不動産業者などの参入は許可しないなどのルールづくりが必要であろう。

 

2000万人の訪日観光客を目標というが、考えてみるとフランスは日本の約4倍の8千万人、スペインは6千万人が訪れている。しかしながら大きなイベント時を除いて宿がいっぱいになるという話を聞いたことがなく、それだけ受け皿があるということであろうか。欧州には日本のような全国ビジネスホテルチェーンは存在しない。最近は国際展開のリーズナブルなものはあるが、今でも地場ホテルが中心である。地方に行けば、その傾向は顕著であり、ホテル以外にもペンシオンやB&B、オスタルなど国によって呼び方やスタイルが異なるが、宿としての許可を受けた民宿型の宿が充実している。日本の旅館はまさにここに当たるが、管理人としてはゲストハウスを増やす前に既存の宿の保護と充実に行政も力を入れていただきたいと願う。

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