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温泉ホテルの破産で思ったインバウンドの光と影

東京商工リサーチ(TSR)によると、北海道上川郡美瑛町の白川温泉ホテルは10月15日、旭川地方裁判所に破産を申請した。申請代理人は橋本・大川合同法律事務所の橋本昭夫弁護士ほか3名で、負債総額は約8億6000万円。(10/20付 トラベルビジョン

白金温泉といえば近くの青い池が外国人に大人気であり、美瑛・富良野ブームを相まって盛り上がっていると思っていたが、実際はきびしいようだった。温泉自体の名称もいつのまにか「びえい白金温泉」に変わっていた。美瑛ブランドを借りたということであろうが、裏を返せば集客に苦戦をしていたということであろう。

実はこの白金温泉、管理人は宿も含めて印象が薄く、泊まろうという気になったことがなかった。美瑛から十勝岳方面に向かう途中にあるが、十勝岳温泉郷に行ってしまえばカミホロ荘凌雲閣など人気が高い宿があり、管理人も宿泊や日帰り入浴でそちらまで行っている。その帰り道、白金温泉の今はなくなった宿で立ち寄り湯をしたことがあるが、あまり印象に残っていない。

美瑛周辺にはペンション型の宿も増え、駅前の三セク型B&Bのホテルラヴニールは人気宿でなかなか空きがでない状態である。美瑛と十勝岳に挟み撃ちのようにされている印象だが、白金温泉には4軒の温泉ホテルがある。白金温泉ホテルとあとの2軒は古くからあるが、もう一軒の宿はまだ新しく、お籠り系の高級旅館である。こちらは人気も高く、いろいろな宿泊予約サイトを見ても高得点。なので白金温泉全体がダメという訳ではなさそうである。

このところ旭川周辺はインバウンドで賑わっており、旭川市内のホテルの取りにくさと料金高は札幌以上である。以前では考えられないことだが、10月も下旬に差し掛かっているにも関わらずかなりの金額を取る。また、近郊には定番の層雲峡温泉がドカンと控え、こちらもアジア系団体を中心に大盛況である。かつては湯治場であった旭岳(勇駒別)温泉は、新しい個人客向けの宿が増えて今は山岳リゾートとして地位を確立している。

それに対し、旭岳に近い天人峡温泉とこの白金温泉が取り残されているイメージがある。旭川空港に近いにも関わらずどうしてかなと思うが、どちらの温泉も中規模程度の宿が多く、大型の団体に対応が出来ず、営業力も弱いのが原因ではないであろうか。旧態依然として、設備的にも魅力が乏しいところはインバウンドの恩恵に与れていないようだ。体力のある者にとっては起死回生のチャンスだが、そうでない者には逆作用を起こすことがある。これがインバウンドの実態かもしれないが、顧客が国内団体客から外国人に変わっただけで本質は以前と変わっていないのかもしれない。

白金温泉のお籠り系の人気宿は3万円近くするが、あとの3軒は1万円で十分にお釣りがくる金額である。最近は旅館も料金の二極化が進んでいるが、これは利用者からしてみれば選択肢が減り、決していいものではない。インバウンドが隆盛になるにつれ、富裕層向けの宿も増えてゆくことであろうが、管理人は10年前から1万円台の真ん中ぐらいで泊まれる個人向け宿が増えれば全体のレベルアップにも繋がると言ってきた。実際にそういう傾向になりかけていたが、訪日客の急増によってまた状況が変わってしまった。

インバウンドで人気の旭川や美瑛だが、すべてが潤っているという訳ではない。そんな現実を知ったこのニュースである。

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