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雌阿寒(オンネトー)温泉のガス事故で思うこと

北海道足寄(あしょろ)町の温泉旅館「オンネトー温泉 景福」で2014年10月、入浴客が硫化水素ガス中毒とみられる症状で重体に陥った事故で、温泉を監督する帯広保健所(道立)が少なくとも事故の3年前から硫化水素ガス濃度を把握していなかったことがわかった。(10/21付朝日新聞

この記事、北海道版ではなく、全国版のそれも1面。4段にも亘る記事で道新記事よりも詳細に伝えている。事故のあったオンネトー温泉だが、雌阿寒温泉といった方がわかりやすいかもしれない。阿寒湖と足寄を結ぶ国道241号線からオンネトー方面に入ったところに温泉がある。ここには、「オンネトー温泉 景福」の他に「野中温泉」があるが、野中は雌阿寒温泉と名乗っており、創業も1914年と景福の1987年に較べると遥かに古い。秘湯ムードがあるが、大型観光バスがやって来るオンネトーへ行く途中にあり、アクセスには恵まれている(かつては阿寒湖からの路線バスもあった)。

2軒とも素朴な宿だが、温泉のレベルの高さでは折り紙つきであった。近代的な近隣の阿寒湖温泉とは対極的な存在であり、多くの支持を得ていた。管理人もファンの一人であり、過去に野中温泉に2回、景福に1回宿泊し、日帰り入浴でも数回訪れている。最初に訪れたのは、1991年のことで、その時は野中に泊まったが、翌年には景福に宿泊している。雌阿寒(オンネトー)温泉の魅力は、周囲に民家が一軒とない静寂さとお湯の素晴らしさ、質素だが気兼ねなく、ひとり旅にはうってつけの環境であったことだ。

今回の事故、隣の野中では1回もなく、どうして景福だけで複数回発生したのであろうか。管理人が最後に訪れたのが2008年頃なので既に記憶が曖昧だが、野中の内湯は大きな窓が常に開き、通風がよい印象なのに対し、景福の方が逃げ場がなく空気が充満するようなイメージがある。 また、景福は温泉が内湯の砂利石から自然湧出しており、この辺りも事故と関係があるかもしれない。
最後に入浴をした時は、目が痛くなり、露天へすぐに移動したが、目が痛くなるお湯は酸性の硫黄泉などでよくあることで、今回のガス事故とは関係ないかもしれず、詳細はわからない。

同じ泉質の野中で事故が起こらず景福だけで多発するというのは建物や浴槽の構造、温泉の湧出形態など複合的な問題があるのではないかとも思ったが、それだけ温泉の成分が強いということであろう。これまでも温泉のガスによる事故は山形の泥湯や秋田の玉川など屋外で起きている。効能のありそうな刺激の強い温泉地であるが、景福の場合は室内。ホンモノの素晴らしいお湯が事故を招いたとしたら誠に残念なことである。

 

【追記】この記事を読んだテレビ朝日報道局から取材があり、10月25日の「Jチャンネル」でこの文章をナレーターが読み上げました。管理人への出演依頼もありましたが、こちらの記憶も曖昧な部分もあったので断りました。

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