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NHKスペシャル「高速ツアーバス価格競争の裏で」

30日夜、NHKスペシャルで最近問題となっている高速ツアーバスが取上げられた。「高速ツアーバス 価格競争の裏で」というタイトルで、番組では過酷なバス業界の裏側が紹介された。
おもに登場するのは、ツアーバスで最近急成長したウイラートラベルと下請けの関西零細バス会社である。ウイラーは、ネット販売に限定し、瞬く間に売上げを35億円に伸ばしたベンチャー系企業である。
一方のバス会社は、ウイラーの孫受けであり、法律が定める最低料金より安い金額で仕事を取っている。運転手は関西-東京を夜行で連続3往復する(つまり6日間乗りっぱなし)が、その間は仮眠のみであり、休みは週1回しかない。バスも中古で、消耗が激しく、会社、運転手、車両ともにギリギリのところで稼動をしている。
2月にあずみの観光の事故があって以来、ツアーバスへの風当たりが強くなり、ウイラートラベルでは、安全対策強化のため、社長自ら各バス会社をまわる。
しかし、内容はコストをかけずに安全対策を取れというもので、今後、乗客からアンケートを取り、人気が高いバス会社から優先して契約をするというきびしい要求をした。
番組を見ている限り、旅行会社(ウイラートラベル)のひとり儲けである。そのあたりを社長に聞くと「バス会社はコスト削減の努力が足りない」と答えた。「コスト削減と安全管理は両立する」という論理を展開するが、どこか空々しく、ご都合主義的なものをかんじた。
ウイラーでも自らバス会社を立ち上げ、国産の半額程度の韓国製バスを輸入した。業績目標を達成したウイラーは、社長がシャンパンを空け、大騒ぎをしていたが、以前どこかの会社で見た光景であった。
番組では報じなかったが、ウイラーは楽天トラベルと関係が強い。楽天トラベルの「高速バス」が、すべてツアーバスであり、その問題点は過去に指摘したことがある。
乗り物やホテルなどのインターネット予約の普及は、利用者に利便をもたらしただけではなく、パートナーにも手数料の値下げなどネットの恩恵があった。
しかし、最近では手数料の値上げなどwebのうまみが減っている。webの特長のひとつが省力化によりコストダウンであるが、自分のためだけに儲けていては、人にやさしくないIT社会である。だいぶ前に流行った”win win”の概念こそが、webビジネスの魅力であると思うが、それも実は虚であろうか。
また、バス会社側もあまりに受身で、体質が古い。仕事を貰うばかりではなく、新たな需要を自ら創造するぐらいでないとこれからきびしい。バス会社の社長が「時代だから・・・・・」と言っていたが、虚しかった。
今のままで、大きな事故がまた起きて、バス会社だけの責任にされたら、あまりにもやるせない。
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