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いつまで飛ぶか葛西紀明

平昌が終わってからまもなく1週間だが、本筋から外れて久しぶりにスキージャンプの話題を。葛西紀明、45歳の平昌は惨敗であったが、日本ジャンプ陣そのものが世界の流れから外れてしまった格好なのでやり直しであり、葛西には非はなく、精一杯だったと思う。メダリストに囲まれた解団式の時の受け答えは見ていてつらいものもあった。

既に49歳で北京と表明しているが、その姿を見ているとJリーグ横浜FCの三浦カズと被るものがある。カズもふつうであれば既に戦力外であるが、ある種、「聖域」の存在であり、とても辞めろなどと言える雰囲気ではない。むしろ限界への挑戦・最年長ゴールの更新を期待されている。レジェンド葛西もカズと同じで「聖域」に近付いており、引退が語られるのはタブーといった雰囲気がある。これだけの不成績でも表立った限界説などは出ず、既に北京へのミラクルが期待されているが、本人の胸中はいかがなものであろうか?

管理人は高校生時代からの葛西ファンでブログで彼の魅力について何度か書いてきた。なのでソチのメダルによってメジャーになってくれたのは嬉しいのだが、このまま飛び続けていいのかという疑念もある。三浦カズは団体競技なので状態のよい時だけ出せばよいが、葛西の場合はそうもいかない。今のままだと中日の山本昌やソフトバンク工藤監督の晩年のように引き際を誤りかねない。彼を超える選手が現れれば、状況が変わるかもしれないが、中堅がだらしなく、若手が育ってこない現況では、いつまでもトップである。いい意味でも悪い意味でも葛西頼みということであるが、レジェンドという扱いが日本ジャンプ陣にとってはマイナスにはたらいているかもしれない。

あらためて言うが、葛西は凄い選手である。欧州の大会で彼がコールされる時の歓声は凄い。多分、日本でいちばん有名な冬季種目の選手であろう(高梨沙羅は無名)。何しろV字になる前のスキー板を揃えて飛ぶクラシカル・スタイルの時代(1992年のアルベールビルからV字に)から飛んでおり、こんな選手は現役では葛西ひとりのはずである。フィンランドのアホネンがカムバックし、40才になって平昌に出たが、多分に葛西が現役ということが影響しているはずである。今回、五輪をみていて、これ以外にも30代の海外ジャンパーが目立った。以前ではありえないことであったが、葛西の存在が関係しているのではないかと思った。

日本だけではなく、世界にも影響力を持つ葛西であるが、言葉は悪いが誰かが引きずり降ろさなければならない。伊東大貴は未完の大器で終わりそうであり、平昌では小林兄弟に期待をしたが、まだまだ不安定であった。若手が育ってこない。これは少子化やジャンプ少年団などの減少もあるが、社会人としてサポートをしてくれるチームが減ったことが大きいかと思う。雪印は健在だが、かつてはたくぎん、ニッカウヰスキー、地崎工業、国土、NTT北海道、東洋実業やスポーツメーカー系など多くのチームがあった。受け入れ先の減少はアマスポーツ界全体にいえることであるが、サポート態勢をしっかりしないとジリ貧になるであろう。

大倉山の試合を観ていつも思うことは観客の少なさである。長野五輪で湧いた後などは多少は増えたが、それも一過性であり、ワールドカップでも千人入っているのかどうかという有り様。これが世界へ中継されると思うと恥ずかしくなる。どうして国内のジャンプ大会に人が集まらないかは複数の理由があるが、管理人は北海道の人は寒いところが苦手なので、わざわざ来ないというのがいちばんのシンプルな理由ではないかと思っている。

話が逸れたが、これから日本男子ジャンプが再浮上するためには、まず葛西という存在を超えることからがスタートである。しかし、彼はW杯の表彰台に上がる力をまだ十分持っているし、期待もしている。このあと得意のフライングも控えているので、五輪の雪辱を願っている。また、それを見た若手中堅の「葛西越え」への奮起に期待したい。

 

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