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ニセコの名湯宿・鯉川温泉が休業

大変残念なニュースが入ってきた。ニセコ(蘭越町)昆布温泉にある鯉川温泉が3/1から日帰り入浴を中止し、休業することとなった。ニセコの名湯であり、120年近く続く、道内でも老舗中の老舗の温泉旅館であった。建物は質素であったが、清掃が行き届いた清潔な館内、ひとり旅でも部屋食、そして食事も温かいものがすぐに出てくる心遣い、料金も8千から1万円程度という良心的で高品質な温泉旅館であったが、昨年春から宿泊を中止、日帰り入浴のみとなっいた。そして2月28日をもって休業ということになってしまった。

以下、道新記事を抜粋する。『蘭越、ニセコ両町にまたがるニセコ昆布温泉郷で蘭越側では唯一の温泉宿「鯉川温泉旅館」(町湯里)が2月末で休業する。経営する八木周司さん(69)と千鶴さん(70)夫妻が高齢となったためで、再開時期は未定。蘭越町内では休業する温泉施設が続いており、ファンからは惜しむ声が上がっている。同旅館は1899年(明治32年)創業。古くから湯治場として栄え、源泉掛け流しの柔らかな湯や、小川のせせらぎを楽しめる露天風呂などが人気だった。ただ近年は「体力的につらい」との理由で昨年4月に宿泊をやめ、日帰り入浴と軽食だけを受け入れてきた。周司さんは「期待してくれる人には申し訳ないが、日帰りで続けるのもきつくなってきた」と話す。』とある。

管理人にとっては大変思い出深い宿であった。1988年、初めての北海道旅行の際、道内初の温泉宿として泊まらせていただいた。この宿を知ったのは、温泉通の山屋として知られていた美坂哲夫氏の「諸国温泉紀行北海道編」で知ったのだが、これまでに経験をしたことがないタイプの湯宿であった。当時の温泉は混浴、ご夫妻らしい先客がいて初めて混浴を体験したものだ(露天風呂はその後に開設)。

古い湯宿だが、決して鄙び系ではなく、オーナー夫妻はむしろ都会的な方で、素っ気ないようで心遣いのあるところが好きだった。池を眺められる客室はどれも6畳程度と小さいが、ひとりからふたり旅であれば十分。部屋食は身体にやさしい食材が多く美味適量、大量の旅館メシには閉口することがあるが、ちょうどよい量であったので2泊することも多かった。

道内どころか本州でもこういったタイプの湯宿には巡り合ったことがない。ニセコエリアでは最初に洋風ホテルとして開業している歴史があるので、そういったことも宿の雰囲気に影響していたかもしれない。

10年少し前、息子さん夫妻が戻られ、後継者になると聞いて安心していたが、どうしてしまったのであろうか。1988-2010年まで10回は泊まっており、思い出も多い。どこも中小旅館の経営はきびしいが、こういった良心的且つレベルの高い宿が休んでしまうことは残念の極みである。

ニセコエリアはインバウンドで活況だが、少し外れた薬師温泉や新見温泉などは廃業(新見は再開の予定)、湯本温泉の雪秩父も日帰り施設になってしまった。ニセコバブルが違ったかたちでこういった温泉に影響していなければよいが。鯉川さんには是非復活をしていただきたい。あまりにも勿体なく、クラウドファンディングでやる価値もあるかと思う。

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