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花咲線に観光列車、世界から集客可能なネーチャー体験路線になる可能性

4月13日、JR北海道から花咲線(根室本線の釧路-根室間の愛称)の「定期列車を観光列車にする取り組み」が発表された。6月1日から運転が開始されるが、同線に定期的な観光列車が運行されるのは初めてのことである。簡単にその内容について説明したい。

観光列車のポイントとして

①『見どころを「ゆっくり」と走ります』。徐行区間は厚岸~糸魚沢間の別寒辺牛湿原と別当賀~落石間の落石三里浜で、実施列車は釧路発8:18 根室着10:51 の普通列車である。速度は30キロ程度に落として走行するが、厚岸湖から別寒辺牛湿原にかけては野鳥の宝庫であり、11月頃からは白鳥も眼の前で見ることができる。管理人もこの区間、車窓からカメラを構えるが、これまで列車のスピードが速いため、なかなかベストショットを撮れなかった。

②『東根室駅で停車時間を拡大します』日本最東端の東根室駅での停車時間を拡大し、記念写真を撮ることなども可能にする。この駅は有名であるが、短時間の停車なので同一列車で車外に出ての記念撮影はこれまで無理であった。

③『音声ガイドGPSアプリ」で案内します』。見どころである東根室駅や落石海岸、別寒辺牛湿原などの沿線のポイント、花咲線や釧路市の案内などを多言語で案内するという。これまで北海道のインバウンド客はアジア系が中心であったが、個人旅行が増加。昨年あたりから花咲線利用者も増えている。また、バードウオッチングやホエールウオッチングなどで訪れる欧米からの利用者も多いので彼らを取り込むことも可能であろう。

④『列車内でご当地弁当が楽しめる』。根室駅と東根室駅では「焼きさんま弁当」と根室名物の「焼き鳥弁当」、厚岸駅では「かきめし」の出張販売がある。かつて厚岸駅には立ち売りで「かきめし」を販売していたが、今ではホームでは買えなくなっていた。根室の弁当も地元コンビニなどでしか手に入らないので貴重である。

 

これまで管理人は何度か花咲線の観光ポテンシャルは高く、全線を通すと意外に景色が単調でポイントが限定されている同エリアの釧網線と較べ、全国のJR線の車窓風景の中でもNo.1であると主張してきた。紀行作家の故宮脇俊三さんも似たようなことを述べられていたと思うが、海、島、湖、湿原、原野、そして野鳥や野生動物と約2時間飽きさせることがない路線であった。
ところが定期的な観光列車が一度も走ったことがなく、宝の持ち腐れではないかと常々、管理人は思っていた。

ところが、最近になって廃止路線の対象にもなったことで、風向きがいっきに変わってきた。観光列車の登場は遅きに逸した面もあるが、インバウンドが隆盛になった今だからこそ失地回復のチャンスである。
今回は通常の定期列車が観光サービスを行うが、管理人は特別な観光列車を用意する必要はないという考えてある。むしろ単行のキハ54などの気動車が十分な観光資源に成り得る。あの1両の気動車を見ただけで海外や都会から来た観光客にとって、新鮮な光景であって異次元の世界に引き込まれるであろう。そのあたりはJRや地元の方にも理解していただきたい。

宗谷線に乗ると利尻が眺められる抜海駅付近で普通列車でも臨時停車をしてアナウンスが入る。函館本線の大沼周辺に差し掛かると特急では観光アナウンスが入るが、これまで花咲線ではそれがなかった。
今回、徐行運転や停車サービスの対象になっている場所はポイントを捉えているが、それ以外でもポイントは多くあり、沿線は自然と野生の楽園である。花咲線の魅力はアジア系だけではなく、欧米系を惹きつける魅力を持っている。普段着の花咲線に乗って、地元客と国際交流するのもよい。

この観光列車、JRだけではなく、道や沿線自治体、観光協会など、一体になってアピールしていただきたい。花咲線が観光路線として大化けする可能性があるプロジェクトである。さらにアテンダントを乗車させればさらに魅力あるものになるであろう。

■この件に関するJR北海道のニュースリリース
http://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20180412_KO_itumonoressyakankou.pdf

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