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北陸新幹線と北海道新幹線、その明暗と課題

北陸新幹線の金沢開業から14日で丸4年を迎える。開業4年目の利用者数は初めて前年を上回る見通しで、観光・ビジネス両面で地域経済への恩恵が広がる。金沢ではホテルの新設ラッシュが続き、企業の拠点集積も進んでオフィス需要が増加。富山は本社機能の移転・拡張が活発だ。4年後の敦賀(福井県)延伸を控え、新幹線効果のさらなる持続力向上が課題になる。(3/13 日本経済新聞より

北陸新幹線が好調のようだ。
その強みとして首都圏から利用する場合、ほどよい所要時間と運賃にあると思う。東京駅から金沢までは、東京-新大阪間とほぼ同じ2時間半で結び、運賃も「のぞみ」とほぼ同額程度。本数も1日約20本あるので、思い立ったら行けるという気軽さがあるある。
JR東海のCMに「そうだ、京都行こう」というものがあるが、それに近い感覚で行けるというのも後押ししている。北陸新幹線は観光とビジネス客の両者を航空機と高速バスから奪ってしまったが、インバウンドブームと開業時期が重なったことも大きい。金沢はアジア系、欧米系など関係なく、まんべんなく来ており、これは京都と共通する点である。東京と直結され、乗り換えがなくなるとこうも強いということを見せつけられた格好だ(開業前と較べて運賃が2千円以上、上がったが、それを意識する人は少ないであろう)。

これに対し、北陸の翌年に開業をした北海道新幹線であるが、苦戦している。
26日に開業3周年を迎えるが、本年度(2月末まで)の1日あたり平均乗車人員が約4700人と、前年度を約300人下回ったことが明らかになっている。平均乗車率も2ポイント低下の24%と年々悪化。北陸と北海道は明暗分けるかたちとなっている。

北海道新幹線の場合、東京から函館まで北陸新幹線で金沢へ行く倍近い所要時間と2万円を越えてしまう運賃がある。また、本数も北陸の半分程度であり、これでは思い立って気軽に出かけられる領域を越えている。
3/16のダイヤ改正で新函館までは4時間切りの列車が登場するが、観光客が主体の新幹線なので、むしろ運賃値下げの方が利用アップにつながるのではないかと管理人は考えている。
新幹線と航空機利用の境目は4時間(ちょうど東京-広島あたり)というが、それはビジネス需要の話であって、観光(個人)利用が主体の北海道新幹線では当て嵌まらないロジックである。
いすみ鉄道元社長で航空業界にも詳しい鳥塚亮さんによれば、越えねばならない壁は4時間ではなく片道1万円とのこと。これは感覚としては頷ける数字ではないか。

北海道新幹線(東北新幹線盛岡以北を含めても)は沿線に製造業などが北陸と較べて極端に少ない。ビジネスで通年、正規運賃で乗ってくれる北陸に対し、北海道は限られた時期にしか期待が出来ず、需要喚起のために「大人の休日パス」などの格安きっぷで集客するしかないのが現状ある。需要の底堅さの違いが両者にはある。

北海道新幹線が北陸と較べて不利な点については、所要時間、運賃、本数、ビジネス需要の違い以外にもある。
たとえばインバウンド需要であるが、北海道(函館)へ来る外国人の多くは往復直行便を利用するので新幹線を利用する機会は少ない。それに対し、北陸(金沢)は成田や関空などへ入り、周遊するスタイルを取るので自然と新幹線を利用する。これはインバウンドに限らず国内客にも当て嵌まる。たとえば観光主体の北海道新幹線では、「話のタネに青函トンネルを一度通ってみよう」というような感覚で帰りは函館空港か、あるいは登別洞爺などを周遊して新千歳空港からか、飛行機になってしまうケースも多そうで、北陸新幹線が周遊型なのに対し、北海道はin or outの片道利用型になっているのではないか。
それでなくとも函館は道内では珍しく空港が中心街に近く、新千歳まで行けば格安な運賃の飛行機がいろいろとある。

現状での北海道新幹線の利用促進は、観光客に乗ってもらうしかないが、そのためには前述した通り、いすみ鉄道の鳥塚氏の言う1万円の壁に対抗できるような策を打たなければならない。シニア対象の大人の休日倶楽部パスや駅ねっとの早割もいいが、かつてのワイドorミニ周遊券型のものや思い切った若者対象の格安きっぷの投入など札幌延伸を見つめての設定が必要であろう。

また観光都市・函館の魅力づくりも重要である。北陸新幹線が開業して以来、金沢のリピーターが増えたが、それはこの地域にもう一度、行きたい魅力があるからである。函館と道南圏の場合、いまだ物見遊山型の1回来っきり観光が続いている印象である。このあたりも新幹線利用促進へ向けた大きな課題ではないか。このままではジリ貧になってしまう。

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