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東日本フェリー撤退、地域への責任は大きいぞ

東日本フェリーの古閑信二社長は8日、函館北洋ビルで記者会見し、11月末で函館―青森など3航路の国内フェリー事業からの撤退を正式に発表した。燃油高騰や利用客の伸び悩みから採算が悪化したためで、3航路全体で年間の赤字が約50億円に膨らむことを明らかにした。昨年9月と今年5月に相次いで就航した高速船「ナッチャンRera(レラ)」「ナッチャンWorld(World)」の2隻も10月末で運航を休止する。(9/9付 函館新聞

1年前の今頃、都内でもナッチャン就航のポスターが駅や地下鉄コンコースに大々的に張られていた。一地方船舶会社がここまでプロモーションを掛けるのは異例のことであり、そのヤル気が伝わってきた。反面、果たして費用対効果が合うのか一抹の不安もあった。そしてその不安は的中してしまった。
昨日の会見で社長は、「函館―青森について、昨年同期比で2倍の伸びを見込んでいた夏場の利用が27~28%程度しか伸びず、高速フェリーの利用者も当初見込んだ年間55万人に対し、33万人と伸び悩んだ。このままでは3航路合わせての赤字が40億円に達することが見込まれ、8月末に撤退を決断した」と撤退の理由を語っている。
高速船の利用者を前年比100%増と見込んでいたようだが、そのヨミ甘くないか。いくらなんでもそんなに増えるものではなく、燃料高が仮に無かったとしてもせいぜい4割増しといったところであろう。まだまだ高速船の認知度は高くなく、青函移動の選択肢に入るまでは時間が必要だ。年間の赤字が会社全体で40億円近くあるということだが、38億円もかけて作ったターミナルなど何でここまでやったのか理解に苦しむ。
記者会見では、「当初から高速船は売却ありきだったのでは」との質問が及んだようだが、過剰投資に限らず、この会社は何をめざしているのかわからないことが多い。もともと売り飛ばす目的で東日本フェリーの再建に名乗り出たということはないであろうが、結果的には本州と北海道を緻密なネットワークで結んでいた航路をズタズタにしてしまった。その責任は大きい。
青函の大型高速船就航は、地域振興や観光面に於いて数々の期待を持たせてくれた。飛行機、JRに代わる新たな移動手段としての活用(特に観光客の利用)、北海道本州間の直通都市間バスの運行(実際に計画中だったらしい)、新青森や新函館まで新幹線延伸時にはアクセスの悪い両駅に変わって高速船の活躍の場が広がると可能性などあったが、僅か1年で幕を下ろすことになってしまった。

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