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大型連休は必要か 

大型連休が終わった。16連休という人もいたようだが(管理人のまわりにはいない)、毎年憂鬱にさせてくれる季節である。
実家のある鎌倉市は年間約2千万人が押しかける大観光地だが、今年は高速道路ポッキリ千円の影響か、首都圏以外のクルマも多く、徒歩組の観光客(おもにJRを利用)とドライブ組が一緒になり、収拾がつかなかった。駐車場には釧路と北九州のナンバーが仲良く並ぶなどナンバーの国内見本市であった。また、毎年恒例のことだが、鎌倉駅から江ノ電に乗車をするのに数百メートルの列が出来て、2時間近く待たなくてはならない光景も見られた。
住民にとっては大迷惑の話だが、来られた方も食べるところも、休むところも一杯でさぞや疲れたことであろう。観光関連に従事している人は大儲をしていると思われるかもしれないが、観光客ひとり当りの消費単価は2,500円前後である。概ねお昼が千円、お土産千円、お茶5百円といったところで、一部を除けば大して儲からない。日帰り客が99%で、滞在客が殆どいないためだが、京都では宿泊客が27,691円,日帰り客でも6,194円(いずれも平成18年度)平均使っているので観光地としての資質の問題もあるかもしれない。
この大型連休中、JTBの調査によると、国内旅行客が増加したが、平均費用は前年比5.6%(2200円)減の3万6900円と年々低下している。既にJR各社は連休中の輸送実績を発表しているが、軒並みダウンである。ピークに較べると旅行にかける費用は1万円近くも減少しており、休日は増えているが安・短・近で済ましているため消費増にはつながらないのだ。これでは大型連休の意味はない。
大型連休は利用する側、迎える側どちらから見ても面白みがない。料金は高い、混んでいる。受け入れる側も十分なサービスを提供しずらい環境が生まれてしまう。国内観光には繁忙期と閑散期があるが、平均して利益を生み出しにくい構造になっている。特に最近、その差が極端になってきている。
星野リゾートの星野佳路社長は、大型連休を都道府県ごとに分散取得する持論を展開している。いかにも宿屋のオーナーらしい発想だが、最近、宿泊客の多くが週末や夏休みなど繁忙期と云われる時期に集中し、平日はガラガラという状態が全国的な傾向としてあるという(実際に多くの宿泊施設の方から聞いている)。星野氏の持論が実現できれば素晴らしいことだが。
もうひとつ拙サイトで何度か持論を展開しているが、有給休暇の消化と長期休暇が取得しにくい環境も問題である。国は有給が取れない分、旗日を増やして、年2回の大型連休を目論んでいるが、果たしてそれでいいのであろうか。有給休暇の消化率は年々低下しており、ある種の本末転倒ではなかろうか。
このほどエクスペディアがネット上で日本と欧米主要10カ国で行った調査で、日本人有職者の有給休暇取得日数が11カ国中最低であることが分かった。日本人の有休取得率が最下位となったのは、2年連続とのこと。
日本人有職者の有給休暇の平均付与日は14・9日で、08年の調査よりも0・1日減少している。付与された有給のうち、取得日の平均は7・9日で、昨年よりも0・5日減少。有給休暇をすべて取得した人の割合は、フランスが79%でトップ。以下、スペイン(78%)、イタリア(77%)と続く。日本の取得率は8%で最下位11位。取得率が日本に次いで低いアメリカでも55%だったことから、日本の取得率が圧倒的に低いことが分かる
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日本は付与日も最低なら取得日数も最低である。取得日数はフランスの4分の一以下であり、アメリカよりも大幅に少ない。日本はかつては欧米のような階級・格差社会ではなく、すべてに於いて平均化していたので、有給休暇取得が少ないのも仕方ない部分もあったが今は違う。80年代後半に労働雇用に関する法律が改善され、長期休暇や有給取得が奨励されたにも関わらず、バブルを挟み、環境は悪化している。
有給休暇や長期休暇が取得できるかどうかは職場の環境、考え方次第である。とりずらい雰囲気があるとするならば、有給の取得と消化を法律で義務化するぐらいのことをしてもいいのでないか。
観光ビジネスにとって有給休暇や長期休暇の増加は、繁忙期と閑散期の平均化が生まれ、消費額も増える。また観光産業以外でもワークシェアリングによる雇用機会の増加や生産性のアップにもつながるものと信じる。そして、何よりも人間らしい生活を送れる。
日本国憲法の二十五条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とある。
【参考】有給休暇消化率の国際比較(観光経済新聞より)

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