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消え行くホテルのナイトテーブルとBGM

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正しい洋室とナイトテーブル
最近のホテル客室は合理的に出来ている。目覚まし時計・空調調整ボタン・照明調整・果てはテレビから携帯の充電器までがベッド脇の壁に収納されており、部屋が広く使えるようになっている。ベッドサイズも大きくなり、高級ベッドや枕をビジネスホテルでも使用している。それはそれで便利で、結構であるが、管理人は無機質なかんじがしてどうも馴染めない。
やはり、枕元には独立したナイトテーブルが欲しい。シングルかダブルルームならスタンドがひとつ、ツインなら二つあり、その下には、オーディオのスイッチ(AM2 FM1 BGM3が基本)、メッセージランプ、目覚まし時計、自動ではない温度調整スイッチ、フットライト、電話、厚いメモ帳とペン(それも良質なもの)があれば正しいホテルである。
管理人は客室に入るとBGMを付ける癖がある。ところが最近のホテルにはこの設備がない。テレビのホテルチャンネルやCS、センチュリーロイヤルホテルのように440チャンネルの有線でBGMが聴けるところもあるが、ベッドに入った瞬間、クラシックやイージーリスニングを選択して、子守唄代わりに眠るのは気持ちがいいのだ。ガチャ、ガチャとボタンを選択する楽しみがなくなってしまった。
余談だが、管理人が100回近く乗車している寝台特急「北斗星」のB寝台個室にも3チャンネルのBGMがある。寝台内の照明をすべて消し、外の灯りだけでBGMを聴くのは至福の時間である。マルチメディアの時代、選択も限られる無用の長物のようなBGMだが、自由があまりない環境の中で、居心地の良さを求めるのはある種の快感である。
そういえば最近シティホテルでも冷蔵庫はカラのところが多い。ミニバーなども見なくなった。ルームサービスも縮小ややめてしまったところも多い。金額の高いホテルの冷蔵庫を使う客は少なく、自己申告なので伝票をチェックアウトの際に持っていかない輩も多く、ホテル側も困っているらしい。冷蔵庫どころか宿泊料金も払わずにトンズラする者も増えているらしく、最近ではチェックインの際に室料を支払うシティホテルも増えてきている。この国の民度は明らかに落ちている。
確かに客室の快適性は増したが、オフィスの延長線上のようになってしまった。質感を求めるヨーロッパでも朝食がバイキングとなり、ビデ(初めて海外へ行った時、使い方がわからずとんでもない利用をしてしまった)があるホテルが無くなっているというが、地球上から「ゆとり」が消えて行こうとしている。古いものがいいとは言わないが、最近お目にかかる機会が減ったナイトテーブルとBGMを思い出しながら少し寂しい気持ちになっている。

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