*

追悼・原田康子さんと映画「挽歌」、トレンチコートが似合う女性がいなくなった

banka.jpg
「挽歌」主演 怜子役の久我美子さん
作家の原田康子さんが10月20日に亡くなられた。その原田さんを偲び、14日から北海道立文学館で、ミニ展示コーナー「追悼 原田康子」が開催されている。入場は無料。「挽歌」「海霧」などの代表作や直筆の色紙など約20点を展示され、なかでも、10年以上親交のあった同館副館長の平原一良さんが撮りためたポートレートは大半が未公開だという。
原田さんはマスコミに殆ど登場しない作家だった。また、作家歴の割には作品数も少ない。作風同様、神秘的なイメージがある方だが、管理人が名前を知ったのは釧路旅行がきっかけであった。1990年頃だが、ちょうど原田さん原作の映画で原田知世主演の「満月」が上映されていた時で、そのあたりもきっけとなり、かなりの長編「挽歌」にトライ。次に「海霧」、「恋人たち」と釧路をテーマにした作品を読んだ。フランスのサガン登場時と似た瑞々しさとロマンチズムがあり、管理人を釧路&原田ファンにしたきっかけにしたのが「挽歌」である。
だいぶ前にビデオで「挽歌」を見た。昭和32年の作品だが、当時の釧路の町はとても日本とは思えない。原野に一本道、まるでロシアか北欧のようで、映画の中でも霧が多く登場する。50年代フランス映画のような日本なのに異国情緒ある作品である。釧路の広大な風景と当時としてはモダンな家とインテリア、そして何といっても主演の久我美子が原作のイメージを厳守している。
原田康子さんは「髪が長く、ガリガリに痩せていること」ことが女学生・怜子役の絶対条件だったらしいが、久我はそれにピッタリであったので安心したという。当時、人気急上昇のオードリーヘップバーンをかなり意識したらしいが、トレンチコートに黒のタートルネック、同じく黒のパンツにローファーは今見てもカッコいい。また、煙草をふかすシーンがあるがこれもきまっていた。この作品の衣装担当は森英恵さんで音楽は芥川也寸志という豪華版である。
管理人はトレンチコートを着る女性が好きだが、最近は見なくなった。ミーハーだがバーバリーのコートが似合う女性はいいと思うが。
管理人の中で、渡辺淳一の私小説「阿寒に果つ」の主人公、時任純子は「挽歌」の怜子とイメージがダブる。純子のモデルとされている渡辺の初恋の相手、加清純子は冬の阿寒湖で行方不明となり、その春に発見されたが、渡辺の高校時代は「挽歌」が発表される前。しかし、何らかの影響を受けているのではないかと推測する。
二人の主人公に共通するのは魔性とは言わないが、昔のフランス映画に出てきそうな男性がどこまで理性を正常に保てるかわからないような女性。先ほどはオードリーヘップバーンと書いたがちょっと違う。フランスならジャンヌ・モローかジェーン・バーキンあたりであろうか。
話が逸れたが、渡辺淳一文学館、原田さんの展示が行なわれている道立文学館も中島公園内にある。久しぶりに原田康子さんの作品を読み返してみたくなった。

 - すべての記事一覧, アート・文学・サブカル