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インバウンド対策も重要だが国内客、特に道外宿泊観光客に手を打て

今年度上期(4~9月)に札幌市を訪れた外国人観光客(延べ宿泊者数)が、前年同期比32・5%減の28万7359人にまで激減したことが市の調査で分かった。昨秋以降の世界的な不況と円高が影響したとみている。(12/7付 毎日新聞北海道版)

毎日新聞によると、【04~08年度と5年連続で年間首位だった台湾は7万4870人(同43・0%減)、韓国は3万5012人(同51・2%減)だった。香港も8万5334人(同19・9%減)まで減ったが、年間観光客数では03年度以来6年ぶりに最多となる見通し。例外だったのは中国で、道東を舞台にした映画が08年末にヒットした影響で3万4123人(同46・1%増)まで伸びた。市観光企画課は「中国向けのプロモーションを強化したい」と話している】とある。
3割以上のダウンは大きい。インバウンドに関しては、重要案件には変わりないが、もともとが”水もの”プロジェクトである。ニセコのオーストラリアを含め、まだ北海道観光がアジア・オセアニアなどに固着・浸透する前の段階であり、不確定要素も大きい。
管理人は、それに並行して国内観光客(道外)の掘り起こしをしなくてはならないと何度か訴えてきたが、これまでピンとくるような施策が打たれていなかった。
札幌市のデータで、日本人を含めた観光客数では、前年同期比0・3%減の743万5000人と横ばいだったが、内訳を見ると、道内客は同0・7%増の405万3000人だったのに対し、道外客は同1・6%減の338万2000人に落ち込んでいる。道外客の落ち込みは全道レベルで見るとさらに大きくなっており、管理人はこの部分で危惧を抱いている。
道内客と道外客とでは消費単価が全く異なる。参考までに札幌市の道外客観光消費単価は宿泊客が39,139円、日帰り客が14,273円となっている(道内客の単価は不明)。この数字は道外の他地域と較べると、特に宿泊客の単価が高くなっている。これは土産物購入の比重が大きいこともあるが、道内客だと宿泊が減り、消費単価も平均をかなり下回るであろう。道内の高速道路が無料化されれば、さらに日帰り型が増えるのではないか。
一例として、沖縄県の観光客入込数は約515万人、観光収入は年間3631億円あり平均滞在日数は3.9日、一人あたりの消費金額は70,490円である。また、管理人の実家がある鎌倉市は、入込数が1969万人・観光消費単価は3,910円、宿泊率は何と1%以下である。
沖縄県は515万人の入込数に対して3631億円、鎌倉市は2000万人に対して730億円の収入。一人あたりの単価では鎌倉は沖縄の6%程度である。沖縄は平均4日間、鎌倉は日帰りという滞在日数の違いでここまで差が生じる。宿泊日数が増えることで、地元へお金が落ちることは沖縄を見れば明白なのだ。北海道の滞在日数は沖縄に近いが、違うところは沖縄は同一箇所へ泊まる滞在型なのに対し、北海道は移動型という点。しかし、札幌であれば連泊需要もある。
回りくどく書いたが、要は宿泊客を増やすことが北海道観光の命題なのだ。ビジョンで云えば、2泊以上の連泊・滞在型であるが、現状ではなかなか難しい。まずは北海道に来て、泊まってもらう。そこからがスタートである。
北海道観光振興機構が、先月まで道内の旅館に泊まった人の中から抽選で、2500名に1万円の宿泊券が当たる「泊まるたび」キャンペーンを行なっていたが、宿泊者が対象であり、特に道外客は年に何回も来れるものではない。リピーターづくりという狙いもあるのかもしれないが、ターゲットがぼやけているキャンペーンであった。
やるなら、条件なしで無料宿泊券の大盤振る舞いをするぐらいでないと呼び込みは難しい。たとえば、旅館の朝食付き券で夕食は別途支払ってもらう。また、2食付で提供をしても、お土産など購入してもらえるような仕組みを作れば、旅館内だけではなく、地域、道内全体への波及効果が期待できる。道外から来る観光客で1泊で帰る人は少ないのだ。
インバウンドは重要テーマであるが、国内、特に道外観光客の呼び込み・掘り起こしをもっと統合的・戦略的に行なうべきである。相変わらず観光に携わる各機関・民間を含め、足並みがバラバラであり、無駄な動きをしている。そこが変わらない限り、将来は暗い。

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