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「景観」とは何であろうか 深山峠・観覧車と函館・自由の女神像

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女神像写真はハコダテ150より
昨日、「函館奉行所」がオープンしたことを東京のニュースでも報じていた。なかなかしっかりした施設のようである。ところで、同じ函館で、少し前まで自由の女神像の問題が全国紙やワイドショーなどで話題になっていた。二十間坂という元町観光地区の真上に、カニなどを売る水産会社があり、坂の正面に自由の女神像を建てた。函館では美観を損なう、函館の恥ということで、市民の間で大問題となり、最終的には水産会社が撤去に応じることになった。
このニュースを聞いて、ある事件とオーバーラップをした。昨年2月の拙ブログで紹介をしたが、上富良野町の深山峠に観覧車を設ける問題である。倉本聡なども参加して、美瑛・十勝岳連邦の美観を損なうということで地元で反対運動が起きた事件だ。
管理人のスタンスとしては、最終的な判断は観光客に仰いでもらうのがいちばんではないかということである。勿論、地元の気持ちは理解できるが、それが環境に相応しいか否かは第三者が決めるのがいいのではないか。観光客が沢山乗って、よかったと言えば残す。乗らずに評判が悪ければ撤去をする。それでいいと思うがいかがであろうか。観覧車など壊すのは簡単だ。
深山峠の場合、自然景観が損なわれという理由だが、隣にあるトリックアート美術館の方がむしろ異様である。何であの場所にと思うが、慣れてしまえば違和感はかんじなくなってしまうから人間の感性は不思議だ。
深山峠から見る美瑛丘陵などももともとは人が開墾して出来上がった景色なので、本来の自然景観ではないとも云える。函館の元町地区も同時期に教会や領事館、墓地などが出来たのではなく、年月をかけて、今の景観が誕生している。戦後にできた函館山ロープーウエイが誕生した時は大変な違和感があったのではないであろうか(函館山にはケーブルカーがあっていると思う)。
東京のお台場にも自由の女神像がある。最初、見た時は何でこの場所にということで、違和感を感じたが今はすっかり景色に溶け込んでいる。「景観」とは時間と共に馴染んでいくものだと思う。
それでは函館のあの女神像はどうか?確かに異様である。特にいちカニ屋の販促物である。梅宮辰夫の漬物人形と変わらない。
管理人の最初の反応は深山峠の観覧車と同じで不快感があったが、途中から、「ちょっと待てよ」というスタンスになった。なぜなら、管理人はあの場所のことを知っている。つまり、先入観で見ているのだ。古い景観地区に異様な女神像が登場→悪趣味・景観破壊→函館の恥・観光客には見せられない-こんな思考図式が浮かぶ。地元の方も概ねそんなところであろう。
しかし、街を歩くと女神像以上の異様な物体を頻繁に見かける。おもに行政などが設置した、彫刻やオブジェの類で、商店街や観光ロードなどに何食わぬ顔でいる(函館市のことを指しているのではなく、あくまでも全国的な一般論)。多くが有名な芸術家に依頼したもので、とんでもないお金がかかっている。管理人はむしろ街角で見かける彫刻の方に違和感をかんじる。中には素晴らしいものもあるが、通行人の多くは御上がつくったものだからということで、通り過ぎて行くであろう。
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行政が設置した彫刻には文句は言わないが、民間業者が販促のため(?)に設置したものには文句を言う。しかし、観光地にある梅宮辰夫人形やコーネルサンダース人形にクレームを付けたという話は聞いたことはない。辰ちゃん人形は以前、鎌倉大仏の正門にある土産物店に置かれていた。
函館の自由の女神像は確かに異様である。しかし、函館の歴史も知らない外国人や初めて訪れる日本人がこれを見たら、どう反応するかはわからない。もし、函館の町が自由の女神像で溢れたらどうであろうか。大顰蹙(ひんしゅく)であろうが、これはこれで見てみたい気もするのだ。
やはり、最終的な決定権(判断を仰ぐ)は先入観のない観光客にあるのではないか。そういう意味ではもう少し「放置」して、観察していれば「景観侵害」かどうかわかったと思うが。撤去はいつでもできる。
最後に深山峠の観覧車は結局「アートビュー観覧車」として、昨年4月に開業。今では町の新しい観光スポットとして賑わっているという。函館の女神像とは単純に比較はできないが、「景観」とは何であるか考えさせれた問題である。
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