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青森から函館へ移動中に震災に遭遇 危機管理は特別なものではない

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S白鳥が停車した葛登支岬付近の灯台と茂辺地駅(3/13撮影)

国家的災難とも云える大災害が起きてしまった。今は一刻も早い被災者の救出とこれ以上、被害が広がらないことを祈るのみである。

管理人は11日、青森13時10分発の「S白鳥19号」で函館へ移動中、地震に遭遇した。前日10日の「はやぶさ」で新青森まで行き、その日は現地に泊まった。本来なら「はやぶさ」の乗車体験記でも書くところだが、その後とんでもないことになってしまった。

白鳥は江差線の渡島当別-茂辺地間を走行中に急停車をした。車掌から「ただ今地震が発生したため、暫く停車します」というアナウンスが入ってがその後、情報が全くない。その間、携帯ニュースやワンセグなどで巨大地震が発生したことを乗客がキャッチ。いっきに慌しくなった。

電車が停車している場所は灯台がある岬(葛登支岬)の下あたりで切り立った斜面上だ。その下は松前国道と海が迫っている。携帯でウエザーニュースでチェックすると函館にも大津波警報が出ており、既にえりもで3メートル観測されたという情報が入っていた。

現地は16時過ぎから引き波が起きはじめた。やがて海面がいっきに上昇し、1~2メートルの津波を三度ほど確認をしたが、海面から線路までは10数メートルはあったのでそちらの心配はあまりなかった。むしろ余震で車両がギシギシ揺れ、崖の下なので転覆の方に不安がよぎった。

6時間以上、その場に停車をしたが、車掌からは情報らしい情報が入ってこない。既に夜になっている。乗客からなぜ次の茂辺地駅まで移動をさせないのか車掌に催促が入る。やっとアナウンスが入り、「この先の茂辺地駅は海抜が低いため、列車が津波に襲われる危険があり、この場で停まります」というかなり怖いアナウンスが入った。

しかし、21時頃列車は茂辺地駅まで移動をした。津波の心配が去り、救援が来るのかと思ったが、「国道は津波で閉鎖されており、外へ出ることはできません」という説明。しかし、某シニア向け大手旅行ツアーの添乗員が車掌と交渉を続けており、暫くすると大型バスが駅に横付けされた。すると50人ほどのツアー客は慌しく、降りてバスへ向かって行った。

さらに地元客と思われる何人かも車掌室から降り始めた。駅前には迎えのクルマが何台か来ている。管理人は理由を車掌に聞くと「降りるのは自己責任です。降りても津波で道路が閉鎖されているので動けませんよ」という。2時間近く車内に居たが、函館駅が2メートル近く浸水していると乗客が携帯で話している。これは夜明かしだと思い決断し、車掌に下車を申込んだ。その前にタクシー会社を調べ、茂辺地まで来れるというので、「自己責任で行動して下さい」と車掌に念を押されながら下車をした。

松前国道は特に問題なく走れた。途中、5号線が通行止めで大回りをしたが函館駅のホテル近くまで行けた。ちょうど津波が引いた直後で道路はゴミが散乱しており、ホテルも1階から水が引いたところであった。

「S白鳥19号」は結局、翌日の昼過ぎまで茂辺地に停車をし、やっと救援のバスが来たという。もし、そのまま乗っていれば、丸々24時間閉じ込められたことになる。

 

それにしても腑に落ちないことがある。まず、津波でさらわれる危険がある茂辺地駅までどうして移動をしたのか?ちょうど移動をした時間は函館港にもっとも大きな津波が来た時間帯である。さらに、某旅行会社ツアーの団体客を降ろしたことも不思議だ。通行止めのはずの場所に大型バスがやって来た。また、車掌が「自己責任」と何度も繰り返していたが、何が自己責任なのであろうか。

また、茂辺地での下車について全く、アナウンス説明がなかった。危険で降りてはいけないはずの茂辺地で次々と降りて行く客。矛盾だらけである。皮肉なことに、車掌には情報らしい情報が入っておらず、乗客の方が函館駅水没を先にキャッチしていた。

管理人は十数年前にも台風で「北斗」車内に10時間近く、閉じ込められたことがあるが、車掌から殆ど説明がなかった。北海道の乗客は大人しく、大らかな気質なので、あまり文句を付けないが、今回の件は生命が懸かっている問題である。車掌に情報が入りにくい現状のシステムにも問題がありそうだ。

危機管理の重要さ、特に状況説明のタイミングと仕方については、あらためて見直す必要があると感じた。JR北海道には車掌の危機管理セミナー受講などを勧めたい。

 

危機管理では東京電力に対して、凄まじい怒りを覚えている。管理人は原発反対論者ではないが、地震大国の日本では作るべきではないという考えだ。その理由は「絶対安全」などというものはこの世に存在しないからだ。

過去の災害データを照らし合わせながら、耐震設計をしているであろうが、過去のデータなどせいぜい数百年程度と歴史が浅く、一元的なアカデミーが提供した資料の世界だ。今回のような千年に1回クラスの地震など考慮に入っていない。中越沖地震の際の柏崎原発の教訓を生かすことはできなかった。これで東電は補償問題なども含めて倒産するかもしれない。その前に、今回の件が一区切りした段階で、「自主廃業」を申し出るべきである。

原発の危険は全国すべての電力会社に云えることである。御前崎の浜岡原発や老朽化した若狭湾の原発などあまりにも危険なものが多すぎる。今回の福島での大事故は、地震そのものよりも津波が引き起こしたようである。この世に絶対なものはない。電力会社や原発企業のこれまでの隠蔽体質が悪い方に出てしまった。

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