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今夏、首都圏からの北海道長期滞在客が増えるか 余暇の変革の時代が近づいているかもしれない

東日本大震災の影響で外国人を中心に観光客が激減するなか、道内のホテル・旅館が首都圏からの避暑需要取り込みや道内客の掘り起こしに力を入れている。各社は割安な連泊プランの販売で首都圏から長期滞在客を呼び込む一方で、道内客向けには穴場の名所を巡るバスツアーなどを発売。底堅い需要が見込める首都圏や道内の客を取り込み、低迷する稼働率の底上げを目指す。(4/21付 日経新聞北海道版

鶴雅グループ(釧路市、大西雅之社長)は6月から10月中旬まで、食事を省いた割安な連泊プランを提供する。阿寒湖温泉(釧路市)や支笏湖温泉(千歳市)など6施設で導入し、首都圏から避暑目的で来道する家族客が手軽に長期滞在できる環境を整える。

首都圏では節電対策で夏場に長期休暇をとる企業が増える一方、商業施設や家庭で冷房を抑える傾向が強まる見通し。

避暑を求めて「冷涼な気候の北海道に長期滞在する人が増える」(鶴雅の大西社長)と期待する道内観光業者は多い。トーホウリゾート(札幌市、唐神昌子社長)は登別温泉(登別市)など6施設で連泊プランを導入する計画。7泊8日の3食付きで1人あたり合計6万円弱を想定し、通常より2割ほど安くする。野口観光(登別市)も長期滞在客向けの宿泊プランを検討している。

 

このところ、拙サイトでは震災の影響に伴う北海道観光への影響について何度か取上げている。外国人観光客が消えた今、出てくる策は対症療法的な短期対策が主だが、夏こそが本番であり、そこに根ざした集客策が問われている。

まず、首都圏からの集客だが、鶴雅の大西社長が言う「冷涼な気候の北海道に長期滞在する人が増える」は見込みあると読む。企業の休業による長期休暇や季節型のサテライトオフィスも含め、純粋な観光以外での集客も見込める。

しかし、条件も付く。冷夏や電力事情が切迫しなかった場合、また、首都圏に大型地震などが起き、旅行どころではなくなる場合など悪いシナリオを考えたらキリがない。しかし、この震災が北海道観光の形態を大きく変えるエポックになる可能性は秘めている。

何十年と続いた周遊型・物見遊山観光であるが、滞在・長期型へシフトをすることにより、質そのものが大きく変わる。管理人は、釧路市で「涼しい釧路でロングスティ」というプロジェクトに参加をしているが、これまでの北海道長期滞在者が定年退職後のシニアであったのに対し、現役バリバリの層がステイするようになる。長期休暇や夏季サテライト・オフィスなどが定着すれば、これまでの北海道観光のスタイルに変革をもたらす。

単に観光客数や地元に落ちるお金を増やすだけではなく、滞在型が定着をすれば、地域の質向上にも繋がるはずだ。閉塞感漂う北海道観光が生まれ変われるチャンスでもあるのだ。

日本では長い間、欧米型の休暇&余暇システムの導入を図ろうと官民一体で動いて来た。しかし、いっこうに休暇消化は増えず、むしろ退化をしている。既に、欧米型が馴染まず、普及はしないのは明確であるし、連休の分散化にも無理がある。

今回の震災のように人々のライフ・スタイルを嫌が応でも変えざるを得ない、また、見直しが迫られる時こそ休暇・余暇の過ごし方が変わる時期である。景気が低迷しても、余暇形態が変われば、北海道には人が来る。余暇の目的は消費ではないはずだ。

鶴雅の大西社長が言っているようなスタイルが定着するか否かは、受け入れる北海道側の意識も問われることになる。誰もが「変わる」ことは怖いことだが、変えないことには、新しいものは生まれない。チャンスでもある。

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