素朴な川湯温泉公衆浴場(非常に熱い)とお風呂がよい「川湯ホテルプラザ」
釧路管内弟子屈町の川湯温泉にある観光ホテル2軒が、東日本大震災による観光客減少の影響で、いずれも来春までの休業に踏み切った。 昨年10月から冬季休業していたグランドホテルアレックス川湯(110室)は、今春に再開予定だったが、来年3月末まで休業期間を延長した。パレスホテル川湯(53室)は、5月9日から1年間の予定で休業している。 (6/3付道新)
川湯温泉は管理人が大好きな温泉だ。草津温泉と同じ強度の酸性硫黄泉であり、どこの宿も掛け流し、泉質は道内でもトップクラスであると思う。また、料金も平均してリーズナブル。しかし、宿や温泉街に個性がなく、「寂びれている」といった印象は拭えなかった。
川湯温泉は屈斜路湖と硫黄山・摩周湖方面を結ぶ途中にある。道東観光の周遊観光コース上にあるが、素通り客も多い。中規模のかなりくたびれた鉄筋づくりのホテルが並んでいるが、使われていない宿も何軒かある。温泉街といっても、古い土産物屋(置いてある商品が珍品揃い)と路地に入ると数軒の飲み屋がある程度で空き地が目立つ。かつて高級和風旅館と思しき建物(橘屋)が十数年放置されている。
今回、休業を決めた2軒の内の1軒は暫く使われていなかった旅館を数年前に買い取ったはずである。もう1軒は以前からあったが、個人客を意識した少し豪華な宿に数年前に改装していた。
川湯温泉の特徴として、客室数が数百という大箱はなく、50~100程度の中規模ホテルが目立つことだ。カラカミや野口観光といった観光ホテルチェーンが進出していないが、昔から温泉組合の結束が強いと聞いたことがある。ランドマークのような大箱があった方がよいのか難しいところだが、温泉街が均衡化しているのは事実である。しかしながら、道東エリアは温根湯や糠平温泉にしても、それがない分,衰退をしている気もする(十勝川温泉は地域力で頑張っているが)。
川湯温泉が苦戦をしている原因として、中規模ホテルが多いのも一因であろう。営業力が強くないため、旅行会社との繋がりが弱い。そのため団体ツアーを取りにくく、取っても安い料金に叩かれてしまう。また、道央圏から遠いという地理的ハンディもある。宿泊客は道東圏か道外が多く、札幌圏が少ない。札幌から川湯までは丸一日がかりであり、JRで行けば片道1万円はかかる。
温泉側も最近では「源泉掛け流し宣言」をし、掛け流し温泉の全国サミットを開催、冬季の「ダイヤモンドダスト川湯」は恒例イベントとなっている。また、各宿も個人客を意識した内容につくり変えているが、如何せん二番煎じであったり、集客アップに繋がるほどの訴求力がないように思える。
川湯のどこに惹かれて訪ねるか管理人自ら考えてみると、まずは温泉そのもののよさ、環境的な開放感がある。また、周囲に観光スポットが多いことやリーズナブルな点などであろうか。
これまで数軒の宿屋に泊まったが、定宿化した「川湯ホテルプラザ」(現・お宿 欣喜湯)は、その条件に当てはまる他、従業員が家族的で、ひとりでも気軽に連泊できてしまう点である。中規模以上の観光ホテルは連泊に適していないが、自由度が高ければ、「プチ湯治」感覚で滞在することができる。
苦戦する温泉地は朝食付き5000円、2食付で7000円以下で平日など格安に販売してはいかがであろうか。連泊条件で、さらに1週間や1ヶ月単位で客室を貸し出すようなサービスができれば、需要発掘につながると思うが。別府温泉(鉄輪など)では、長期滞在者へ貸す宿のことを「貸間旅館」といって今でも多くの利用客がいる。また、青森にも「客舎」という同様なシステムがあった。川湯であれば、コンドミニアム感覚での滞在が可能であると思う。
安いパックツアー客を取るよりも、こちらの方が実になるはずだ。北海道はこの部分が抜けている。
管理人様
こんにちは。川湯温泉。懐かしいです。子供のころは御園ホテルに宿泊した記憶があります。ここはお風呂が広い事で川湯温泉内では規模が大きい宿であった事を覚えています。橘屋が今も取り壊されていないとは、驚愕です。かつては高級旅館として川湯の象徴でした。檜風呂があったのを思い出します。また釧路管内の電話帳の裏表紙に掲載されていた広告にホテルプラザ、ニュー子宝(クリスタルエレベータがあることで名高い?)とともに掲載されていたのを記憶しています。懐かしいです。
川湯温泉はおっしゃる通り旅館業組合の結束が強いところである反面、閉塞的で悲しいかな新しい試みをやりたがない。宣伝下手も否めません。しかし中にはペンションは健闘されているとかんじています。川湯は資産価値が十分にあります。旧橘屋の建物はコンドミディアムにはうってつけです。宿泊を仮住まいに置きかえる発想ができるならば、個人客の取り込みやSOHOとして(SOHOの利用はほかの道内の温泉街にも共通していますが)この温泉を利用しても喜んでもらえるでしょう。また今回休業するホテルに至っては高齢者向けの住宅(クリニック併設)に業態を変えても充分に利用価値があるのではないでしょうか。交通手段は釧路管内のバス会社2社がJRとタイアップしてバスを釧路市内からデマンド運行するなど利便の向上を図るべきです。
ありきたりな内容で売り込むのではなく、セカンドハウスやオフィスとしての利用価値の根拠を示す事が出来るコピーとそれを裏切らないもてなしを弟子屈町一帯で取り組む必要があります。
あさま山荘さん、コメントありがとうございます。
川湯温泉の事情にお詳しいので驚きました。まず、「本陣橘屋」ですが、2009年に訪れた時はあった気がします。閉鎖は2000年頃のようですが、あそこは勿体ないですね。御園ホテルは最老舗ですが、橘屋は建物に圧倒されました。
ニュー子宝は摩周温泉です。当時は弟子屈温泉ですね。摩周温泉も数が減ってしまいましたが子宝は健在です。泊まったことがありますが温泉ホテルでは珍しい客室ネット対応です。掛け流しですし、頑張ってもらいたい宿です。
川湯温泉が閉鎖的である話はいろいろ聞いていましたが、最近になって「オール弟子屈」として活動を始めたようです。しかし、商売下手というか、資産と魅力を活かしきっていません。地元の人たちは川湯の潜在力に気付いていない気がしますね。
おっしゃる通り、高齢者向け住宅やSOHOなどには最適な環境です。道外からなら釧路・女満別・中標津の各空港から1時間程度と非常にアクセスに恵まれているんですよね。遠いというのは札幌起点の発想です。
路線バスでいうと釧路駅からの阿寒バスは廃止になってしまいました。釧網線の川湯温泉駅からは接続していますが、公共交通の利用だとかなり不便になっています。釧路駅や道東各空港からのオンデマンドバスは必要ですね。
管理人様
まさに北海道内の温泉地は長期滞在者向けの需要がありますね。セカンドハウス的に。
また少々実現に難しいかもしれませんが
ホスピス的な施設もあればと思います。
患者とその家族がゆっくりと出来る施設が
ガヤガヤしていない、良いお湯の温泉地にあればと
思います。温泉地は古来から保養地の側面もあるので。
rkさん、こんにちは。
北海道の温泉ホテルは客室数が多いので、一般宿泊と長期滞在者向けのフロアを別にするとかすることで、対応が可能かと思います。
ホスピスも実は以前道南の某所で話がありました。療養型のホテルと併設をするとかいろいろやり方はあります。以前、泊まった青森の温泉ホテルは大きなホテルを買い取り、一部を老人ホームにして温泉プールなどを有効活用していました。
もともと温泉地は保養地ですから相性はいいのですよね。しかし、北海道では湯治のような文化が途絶えてしまいレジャー施設になってしまいました。
管理人は同じ建物内にホテルと老健が同居しても違和感ないと思いますし、実際全国で増えています。
人口の減少により、レジャー人口は確実に減ります。その中で期待できるのが、滞在型のヘルス・ツーリズムだと思います。