三度目の変身を遂げたスカイマークだがこれからが正念場

三度目の変身を遂げたスカイマークだがこれからが正念場

今月に入ってスカイマークエアラインがホームページをリニューアルした。これまでのものはシンプルで、機能は最低限に特化、合理化に徹していた旧経営陣の同社らしいサイトであったが、10年近くはリニューアルをされておらず、古さは否定できなかった。

新サイトはシンプルさは維持しながら、見やすくなって、利用者視線に立ったものになっている。航空会社のHPは最近ではエアドゥがやはりリニューアルしたが、こちらはANAを参考にしているのか運賃検索などは見づらくなってしまった印象である。

ところで先日、羽田-札幌の往復にスカイマークを利用した。もっぱら札幌便は2005年頃からは同社を利用しており、その間の変遷を見てきている。航空業界の規制緩和に伴って1998年に運航を開始したが、最初の7、8年はトラブルの連続であり、業界の問題児であった。就航・撤退を繰り返し、僅か数ヶ月で撤退するということもザラ、地方空港のある首長からは絶縁宣言を叩きつけられなど暫くは迷走飛行を続けていた。事前調査の不足や場当たり的な戦術が目立ち、自ら信頼を失うような行動を取っていた時期である。

変化が生じたのは前会長であった西久保氏が私財を投じてオーナーになった頃からであろうか。徹底した合理化を図り、機材は最新鋭のB737-800型に統一、運用を効率化するためだが、これは米国のサウスウエスト航空を倣ったものである。就航当初から機内での茶菓サービスはなし、オーディオやモニター類も勿論なく、客室乗務員はポロシャツ、ジャンバーにパンツという出で立ち、あくまでも保安要員という位置付けであり、態度に個人差はあるがその対応は客室アテンダントとは異なるものであった。
会社の規約に「丁寧な言葉は義務付けない」という旨があったが、荷物も原則、自分で棚に収容しなくてはいけないルールが社会問題化したこともあった。私は運賃が安い分、サービスの省略化は問題ないという考えだが、荷物を棚に押し込むのに苦労している乗客がいても手伝わない姿や挨拶もろくにしないアテンダントを見ると、これはおかしいと思っていた。

それでは同社の徹底した合理化によって業績は回復。オーナーは再攻勢を掛けようと、合理性の追求とは対照的な座席数を減らし、機内をグレードアップしたエアバス330を導入した。ニュースにもなったが、客室アテンダントの制服には超ミニスカートを着用、B737機のアテンダントはポロシャツ、ジャンバーなので同じ会社にありながらのダブルスタンダートには驚かされた。オーナーの発案か悪趣味とも云えるミニ制服はキャンペーン用であったようだが、このあたりから風向きがおかしくなってきた。そして世界最大のA380の購入といきなりニューヨーク就航という国際線への進出を発表、この段階で私は完全に方向性も見誤ったなと思ったが、すぐに資金難に陥り、経営破綻。現在の経営陣に変わったという次第である。

これまでの経緯が長くなったが、今回、数ヶ月ぶりに同社の便で往復して思ったことは、驚くべき利用率であり、HPをみても満席便が多い。これまで問題となっていた定時就航率も大幅にアップしているが、今回感じたことは、客室乗務員、地上職員を含めて、これまでのセミプロ・アルバイト的な対応からプロのものに変化していることである。以前であれば客室乗務員は無愛想ばかりではなく、英語もろくに理解していなかったのでスカイの主力であった外国人機長とコミュニーケーションも満足に取れていなかった。地上職員もアナウンスが聞き取れず、要領を得ていなかったが、だいぶテキパキと対応するようになっている。アナウンスといえば、日本人機長が増えたこともあるのか、機長の挨拶アナウンスをやるようになったのも新鮮である。アテンダントの制服も一般的なものに変わったが、ふつうの航空会社になってきている。

また、運賃の方も独自性も保っているあたりが頼もしい。ANAが資本参入し、これでエアドゥやソラシドなどと同じようにコードシェアをされ、運賃も高めになるかと心配していたが、あくまでも第3極の位置を守っており、投資ファンドから来たインテグラルの佐山展生代表も独自性を守るのがスカイマークの命であると明言している。

HISなどが中心に創設した頃は澤田カラーが強く、その後、西久保氏の独裁企業に、そして今、第三世代を迎え、はじめて航空会社らしい航空会社になろうとしている。拙HPではスカイマークに対しては、これまで相当、きびしいことを言ってきており、これほど肯定的に書いたのは初めてのことである。

来年からはマイレージ制度も検討していると聞く。最初の就航から20年を迎え、体制の方も第三世代に入っている。これからが正念場であろうが、自らのミッションを忘れずに、国内唯一の第3極を維持し、国内航空業界に貢献していただきたいと思う。

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