支笏湖の宿買収が進む・ターゲットは道外観光客「潜在能力高い観光地への期待」

支笏湖の宿買収が進む・ターゲットは道外観光客「潜在能力高い観光地への期待」

今週に入り、閉鎖されていた支笏湖の宿泊施設2ヶ所の売却が決定した。

まず、阿寒湖畔などで旅館を展開する鶴雅グループが支笏湖温泉の支笏湖観光ホテルを3月末に買収したと8日付け日経新聞が伝えている。
また、2004年4月から営業を停止している支笏湖温泉のホテル「翠明閣」の経営権を「丸駒温泉旅館」を経営する丸駒温泉取得したと9日付けの道新が伝えている。
支笏湖観光ホテルは1949年に創業した老舗で支笏湖観光が経営。収容規模は62室で350人と支笏湖畔で最大級の温泉旅館である。大手旅行会社と提携し札幌や本州から主に団体客を受け入れてきたが、個人客を呼び込めず、近年は売上高が2―3億円前後に低迷し、赤字が続いていた。

鶴雅グループは本拠地の阿寒湖に高級志向の宿を展開するほか、最近では網走湖やサロマ湖のホテルを買収し、鶴雅ブランドで新展開を図っている。鶴雅の大西社長は道東観光のカリスマとして有名だが、道東以外に進出するのはこれが初めてである。
今後、札幌圏や道外からの集客を狙い、改装後は室数を53室に減らして露天風呂付きの客室やエステ施設、料亭なども設けるという。これで道東観光への基地にもなるであろう。

一方の 翠明閣は大正初期、王子製紙の作業員の宿泊施設として始まった伝統ある宿だが、支笏湖対岸にある丸駒温泉が、王子製紙から株式会社「翠明閣」の株の大半を取得した。支笏湖観光ホテルと同じく、客室を減らし、全室とも湖を臨める温泉風呂付きの高級志向で道外客を狙い、宿泊料は一泊二食3万円以上に設定する。

丸駒温泉も業務拡張に熱心の宿だが、これまでの丸駒はどちらかというと道内客が多く、料理サービスは決して洗練されていれとは思えなかったが、どういうものができるであろうか。支笏湖は札幌、千歳空港から近いアクセスに恵まれた観光地である。近いわりに俗化されておらず管理人は大好きな場所でこれまで幾度となく足を運んでいる。行く度に宿が減り、また、魅力的な宿が乏しく残念な思いをしていたがこれで変化が起きそうである。これまで「氷濤まつり」などの有名イベント開催時でも観光客の多くは支笏湖に泊らずに移動してしまっていた。

バブル期には、道外客をターゲットに高級志向の宿「あしり支笏湖」がオープンしたが、数年で閉鎖され、不動産サイトに9千万円に売りに出されていた記憶がある。その後、「支笏湖第一寶亭留 翠山亭」として定山渓第一ホテルグループの新ブランドホテルができ、少し変ってきた気配はあった。国立公園内で勝手にホテルを建てられないなど規制はあるが、以前は三井観光系のホテルもあり、高級感のある落ち着いた観光地であった。

支笏湖はもともと潜在能力がある観光地である。しかし、札幌から近いため道内客からは敬遠されてしまう。本来なら北海道の箱根になりうる可能性があるのに魅力的な宿が少なかった(丸駒温泉の孤軍奮闘か)。今後、道外客を中心に、札幌宿泊の代わりに、道内観光の1泊目や最終日の利用にと個人客が中心になりそうだが、新たな集客に期待したい。

鶴雅の大西社長は「支笏湖は札幌の近くなのに未成熟で、今後磨かれていく素材が多い。札幌圏のお客さまが滞在してじっくり楽しむリゾート地にしたい」と話しているが、ポテンシャルは十分にあるはずだ。
ちなみに管理人、「支笏湖国民休暇村」の中を散歩し、鳥の囀りを聞きながらお茶を飲むのがお気に入りである。温泉は循環だがヌルヌル感があり、誰もいないので何度か行っている。露天では丸駒や伊藤温泉が有名だが、早い飛行機に乗る時、札幌に泊らず休暇村に宿を取ったことがある。

■最新の観光関連ニュースは「ツーリズムラボ北杜の窓Facebookページ」にてほぼ毎日更新中!>>

ホテル・宿関連カテゴリの最新記事