渡島総合振興局が企画した、首都圏の50代以上に的を絞り、道南の観光地を広域的に巡るツアーが大手旅行業者などによって商品化される。道の企画が商品化に結び付くのは初めて。「今後の観光振興策のモデルにしたい」という。 (7/24付 道新)
渡島総合振興局が「食と歴史」などをテーマに、旅行ルートなどを立案する。9、10月に行うモニターツアーをもとに、クラブツーリズムやJR北海道などが商品の内容を詰め、首都圏で販売していくという。
9月のモニターツアーでは函館市内の西部地区や五稜郭の史跡、はしご酒を楽しむイベント「バル街」を体験してもらう。函館ハリストス正教会でのティータイムなども盛り込み、東京発1泊2日で3万9800円と手頃な料金設定にしている。
10月コースでは青函トンネルを経てJRで道南入りし、渡島管内福島、松前両町、檜山管内江差町などを巡り松前マグロや江差追分を堪能する。肉厚で評判の渡島管内七飯町のシイタケ農園も見学し、東京発2泊3日9万8千円と少し高めである。
現在、国交省では広域観光圏構想を打ち出し、全国でモデル地区を選定している。そのひとつ、「はこだて観光圏 食は“函館・南北海道”に在り」では、道南を6エリアに分け、それぞれのエリアに滞在・地元食材を堪能してもらおうというプランを打ち出している。
6エリアとは都市部(函館とその周辺)・東部(鹿部・七飯など)・西部(江差など)・南部(松前など)・北部(長万部など)・離島部(奥尻)のことで、それぞれの地域に観光客を分散・回遊させて、道南エリアでの滞在日数を増やすことが目的だ。
道南観光の実際は、函館一極集中で、その他のエリアはおこぼれ程度しか行かないことは周知のところ。パック&団体ツアーで脱・函館色を出すのは現状では難しく、個人旅行者の需要を増やすしかない。
今回のツアーは50代以上がターゲットのようだが、先日の拙ブログ「おとなの休日きっぷで函館が大盛況」で紹介したように、交通費が安ければ需要があることがわかった。それも函館市だけではなく、江差線を利用して江差を観光する客もかなり居たので、JRや航空会社の協力させあれば、道南観光での脱・函館も可能なはずだ。
たとえば「おとなの休日きっぷ」の利用期間の延長、フリーエリアの拡大(例・長万部まで)など図れば、個人客の呼び込みは十分可能である。特に、個人客向けの隠れた名湯が多い地域なので、そのあたりと絡ませてキャンペーンを行えば、”名湯と食材の道南”でやっていけるはずである。
また、9月のツアーでは「函館バル街」の体験もあるので、リピーターへの期待もかかる。こういった地域振興策は行政レベルでは限界があり、JRや航空会社・フェリー会社などの公共交通機関との連携、また、旅行会社にはインセンティブが与えられような仕組みづくりなどが必要である。
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