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■連載特集 転換期を迎えるホテルという仕組み 2

ホテル業界、とりわけビジネスホテル業界は弱肉強食の様相を呈しており、体力のない事業者は厳しい状況に追い込まれている。
M&Aにも拍車がかかり、全国に8店舗を展開するアークホテルグループが1月よりルートインに吸収された。ルートインは北海道でもススキノグリーンホテルやリゾートの緑館を経営している北海道振興(株)から施設の一部を買収した。また、札幌では老舗のビジネスホテルであったルナホテルがグリーンホテル系(こちらは東海地区に拠点があるグリーンホテルズ)に買収された。大和證券系でグレードの高いビジネスホテルであった不二ホテルもアパホテルに変わった。
ところで最近話題のB&B型ホテル(宿泊と朝食のみを提供)は各社独自の出店ノウハウにより、出店攻勢をかけている。だいたいがホテル立地に適している土地オーナーを探し、オーナーにホテルを建てさせ、ホテル側はその運営を行うという方式が一般的である。ここで代表的な出店形態を紹介する。
●建借方式
土地所有者との合意に基づき土地オーナー側がホテルを建設、完成後に一括してホテル側が賃借する仕組み。契約期間は30年平均である。東横インをはじめ多くのビジネスホテルチェーンがこの仕組みを採用している。投資利回り15~20%程度(サンルートチェーン資料より)         
●土地賃貸方式
土地所有者から土地を賃借したホテル側が自社建物を建築。 契約期間は平均30年。投資利回り17~22%程度(サンルートチェーン資料より)
●土地購入方式
土地売却希望から土地を取得し、ホテル側が自社建物を建築する方式。   
●既存ホテルの購入等(M&A等)
既存ホテルの購入および運営受託をする方式。北海道はこの例が多い。
東横インに泊まられた方は他にはない客室の特長に気づかれたであろうか。M&Aの既存ホテル以外は、客室がワンルームマンションのような造りになっている。家庭にあるリモコン式のエアコン、卓上の目覚まし時計、壁掛け時計やハロゲン式の照明スタンドなど一般のホテルでは見慣れないものが置いてあ
る。これらはオーナー企業がビルの電気配線工事事業からスタートをしたという経緯もあるが、利用者に自室感覚で寛いでもらうために設計しているのである。もうひとつの理由としてビジネスホテルとして失敗をした場合、ワンルームマンションに業種転向ができるようにつくられているのだ。
建借、土地賃貸の場合、上物代として土地オーナー側はホテルへ8億~20億円程度を払わなければならない。ホテル自体は土地オーナーに建てさせているのでホテル側のリスクは少ない。介護福祉施設の運営と共通点を感じるが、旨味のあるビジネスである。
これまでビジネスホテルは全国展開のチェーンを除けば、その地域にある老舗旅館の転業組や地元の実力者が建てるケースが多かった。そういった先発組は現在、危機に瀕している。彼らに対抗手段はあるのであろうか。
以下次号につづく

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