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■函館市電を元気にするアイデア 

函館市電の歴史は、1897年に馬車鉄道としてスタート、その後、函館水電(北海道電力の前身)として1913年に東京以北で最初の路面電車として東雲町-湯の川間で開業しました。
函館は災害が多く、駒ケ岳の大噴火(1929)による電流供給の停止や函館大火(1934)、台風など何度か壊滅的な被害を受けながらも復興し、最盛期の1960年代には路線延長約17km(12系統)、営業車両数84両、1日平均乗客数が約12万人を数えるようになりました。
その後はモータリゼーション化などにより徐々に路線を縮小、現在は2系統約11kmの路線と35両の保有車両での運行となり、車両の平均経年は37年となっています。
沿線には元町ベイエリアや函館山登山口、立待岬の入口である谷地頭から函館駅、五稜郭、湯の川温泉とおもだった観光地を経由するので観光客にとっては使い勝手がよい路面電車になっています。
函館は道内観光地の中で数少ない公共交通機関(路面電車)で周遊が可能なロケーションがウリのひとつです。
先月、函館へ行った折、久しぶりに谷地頭電停から終点の湯の川まで乗りつぶしをしてみました。夏休み最初の休日のせいか観光客や地元客が入替わり立代り乗車し車内は賑わってみえました。地元客は高齢者が多く、買い物や通院などが主体のようで駅間二つか三つの短距離利用者も目立ちました。観光客は東アジアからの外国人が多く目立ちましたが、アクセス手段というよりは市電に乗ること自体を楽しんでいるように見えました。
今回に限らずこれまで市電に乗車した印象をまとめると乗客の多くが高齢者であり、立ち客も多く、乗車率がよい印象があります。十字街-湯の川間は日中で5分間隔で運行されておりこれは札幌市電よりフリークェンシーが高く、最近は改造車ながら低床車も導入されており、市民の足、観光客の足として使い勝手が比較的よいと思われます。
最盛期の昭和30年代前半までは路線の延長がありましたが、1978年から路線の縮小がはじまり1992年から1993年にかけて2路線を廃止した時、全路線の廃止が噂されました。その後はおもだった動きはありませんが、受け持つ函館市交通局はバス部門の函館バスへの譲渡もあり、予断は許さない状況です。
函館市電が置かれている状況を厳しくしている理由のひとつとして都心機能を担ってきた中心街の変動があります。かって中心であった十字街や元町などの西部地区、駅前の大門地区など斜陽化が激しく、それにともない商業・公共施設が郊外へ移動して空洞化現象がおきています。
全国のそれと同じく商業・住宅圏が郊外へ移動したことで、美原地区などの路線から離れた地域が賑わうようになり、市電沿線は取り残されています。
打開策としていわれているのは、美原地区までの線路の延伸、新装なった函館空港へ現在の終点である湯の川から延長することにより、空港と中心街、函館駅をダイレクトに結ぶ案などが上げられています。
また、北海道新幹線が開業した場合、起点となる新函館駅(渡島大野駅)と中心街が離れているため、それらを結ぶ交通手段が必要となります。
そのため函館駅から低床、高速のLRT路線の新設などがいわれています。(途中のJR五稜郭駅までは函館本線に沿うように市電が走っていましたが1978年に廃止になっています)
北海道新幹線が開通した折、現在の函館駅周辺はさらに空洞化する可能性があるので新函館へのLRT化や空港接続などは検討に値するアイデアであると思いますが、市電自体は慢性的な赤字が続いており、前述したように函館市交通局はもうひとつの柱であった路線バス部門を函館バスに譲渡しています。(札幌市営バスと同じパターンです)そういった環境下での路線拡張には困難が予想されます。
そこで”低予算”でできそうなもう少しお手軽な路線拡充案を考えてみました。
その1:山麓ケーブル路面電車
函館山山麓の坂にケーブルカーを走らせます。港から観光施設が多い元町地区へ向かい何本の坂がありますが、ここにケーブルカーを走らせるというアイデアです。
これは港と坂が多く、観光地であるサンフランシスコとリスボンの市電からヒントを得ました。300メートルにも満たない距離ですが本線(ドック線)と接続をさせます。完全な観光路線ですが、函館観光の大きなウリになるはずで路面電車全体の底上げにつながります。
その2:函館駅構内まで延長し始発とする
現在の函館駅前電停から駅構内まで路線を延伸します。棒二モリヤ前にある函館駅電停はJR函館駅と2~300メートル程度離れています。今の電停は交差点にあり往来が多く危険です。また、荷物をもった旅行者などは駅から歩かなければならず始発駅ではないので不便です。朝市入口付近まで線路を延ばすことによりこれらを解決します。駅前駅を新設することで系統を変更し函館駅発着を増やすことであらたな需要が見込まれます。
ます。さらに駅前からベイサイド、金森倉庫を経て本線と合流し、前述のケーブルカーと接続できれば本格的な観光路線が誕生します。
短い線路延長であれば湯の川の終点から大型ホテルが立ち並ぶ海岸近くまで線路を数百メートル延ばし、これまでタクシー利用が多かった湯の川のホテル旅館へ市電で行きやすいようにするというアイデアがあります。
最後にもうひとつ、市電を保存できるような記念館はつくれないでしょうか。函館は歴史的にも交通遺産に相応しい場所です。現在、青函連絡船で活躍した摩周丸が駅近くで保存されていますが、見学者は多くなく、最近では隣接するシーポートプラザにクラシックカーの博物館をつくり集客に励んでいます。できればここに函館市電を展示できるような記念館をできないでしょうか。
観光ニーズの視点から函館市電の活性アイデアを考えましたが、利用者の高齢化が進む中、観光ニーズの取り込みは市電の存続へ向けて必須であると考えます。
これまでお役所仕事の印象があった函館市交通局ですが、最近は柔軟性があるサービスを提供できるようになったとかんじます。西日本の民営路面電車と比較するとまだまだといったところですが、札幌
市電とあわせて道内の路面電車が底上げできることを願いたいところです。
■参考資料
函館市交通局  http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/transport/
函館の路面電車 http://wakouji.at.infoseek.co.jp/

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