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「免疫力」 上士幌町のイムノ・リゾート構想 

Photo.BMP
最近、観光と健康をコラボレーションしたプロジェクトが各地に誕生しています。
温泉療養や森林浴などが代表的なプログラムですが、北海道・上士幌町では、「健康・環境・観光」の「新3K」をキーワードとした「イムノリゾート構想」を掲げています。
イムノ(IMMUNO)とは聞き慣れない名称ですが、免疫学の「immunology」から取った名称です。「イムノリゾート」は、偏った免疫バランスによって発症するとされるアレルギー性疾患、特に花粉症の原因とされるスギ花粉の無い環境で暮らすことで免疫バランスを是正し、健康生活を送るという意味をこめた造語です。
これまで温泉病院や健康志向が高い宿など施設単位で療養プログラムを提供する事例はありましたが、「イムノリゾート」構想では、町全体の豊富な地域資源を活かした健康と癒しの観光プログラムを開発するとともに、その効果を科学的に検証しながら、各々の地域資源について付加価値を高め、都市と農村の共生と交流による地域活性化を図ろうというものです。
「産・学・官」が協働し、プロジェクト体制を組んでいるのが特長であり、プロジェクトには加森観光、JTB、北海道大学遺伝子病制御研究所などが参加しています。
「イムノリゾート」構想では、上士幌の豊かな環境資源と十勝の食を活用することにより、ストレスを軽減し、心身のバランスを整え、免疫バランスを是正することで健全になることを目標としてます。
先月の23日には森林浴による健康・癒し効果を測定するため「イムノヒーリング実証実験・モニターツアー」が北海道自然歩道「東大雪の道」で行われました。首都圏在住者らに森林浴を体験してもらい、参加者の血液・唾液を採取し、医学的データを取るものですが、免疫学の見地からどういった興味深い相関が得られるか楽しみです。
現在、「イムノリゾート」構想は、上士幌町の重点施策として位置づけられています。ターゲットは当然、都市部住民であり、道が推進している体験・滞在型観光に、「健康日本21」で示されている「地域の健康づくりとまちづくり」を融合させたような複合型プロジェクトともいえます。
上士幌町には、糠平温泉や日本一広いといわれているナイタイ高原牧場などがあります。著者は糠平温泉の再生計画に興味があり、何度か現地を訪問し、宿屋のオーナーなどからも話を聞いています。これまで、糠平温泉は歓楽的とも療養型ともいえない魅力に乏しい温泉地でした。宿泊施設も中規模で老朽化しており、団体客、個人客の両方から敬遠され、温泉街は存亡の危機に立っていました。
バラバラであった温泉街は、一致団結し、自然環境を活かしたプログラムの導入や温泉街への植林、個人客ニーズを取り込んだやさしい施設への改造など環境面を重視したエコ志向の温泉街再生に取組んできました。
最近では、糠平湖にある旧国鉄士幌線のコンクリートアーチ橋梁群が北海道遺産に指定され、温泉街への客足も戻りはじめています。しかし、温泉街の裏手にあるコクド系の糠平温泉スキー場に廃止の噂が
あり、既存の資源に頼っていられないのが現状のようです。
「イムノリゾート」構想の中心となるのは糠平温泉であり、また、その周辺の自然環境であります。そういった意味では糠平温泉の役割は大変重要です。
プロジェクトでは上士幌の環境資源、食を活用することにより、心身のバランスを整え、ストレスを軽減し、免疫バランスを是正し、健全にするのが目標です。
過去に事例がないプロジェクトのため進捗を見守りたいところですが健康と環境をキーワードにした観光活性は地域活性化につながるだけでなく、国民全体の健康増進にもつながるので先進例として注目です。こういったヘルス・リゾートは今後増えていくことが予想されます。
参考までに道東の川湯温泉では温泉療養による糖尿病治療や温泉周辺のマイナスイオンの測定などを行い、療養・滞在型の温泉地を目指している事例があります。
なお、健康と観光を考える「スギ花粉リトリートツアーの可能性について」のシンポジウムが11日東京のJTB本社で開催されます。詳しくは下記URLをご覧下さい。
http://www.kamishihoro.jp/kikaku/immuno/gyouji/20051111simpoannnai.html

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