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山中グランドホテル(最近泊まった宿レビュー) 温泉街も戦々恐々とする黒船「湯快リゾートグループ」  

湯快リゾート」をご存知であろうか?
1泊2食付7,800円、GWやお盆、年末年始などの特別料金もなく、特筆すべきはひとりでもOK。チェックインアウトとも12時のため24時間滞在可能である。いったいどんな旅館か。日本有数の温泉地に、豪華な建物である。
湯快グループの宿は有名温泉地で経営破たんをした宿を格安で購入。現在、9つの温泉地に13の宿泊施設を保有している。また、ワンランク上の「癒しの宿」シリーズがあり、こちらは5軒保有、鳥取県三朝を代表する名旅館「斉木別館」などが14,800円から泊まれる。
今回、宿泊した山中グランドホテルもかつては名鉄系の高級温泉ホテルであったが2005年に買収。山中・片山津・山代などの加賀温泉郷には8軒の湯快リゾート系ホテルがあるが、宿の多くは、バブル期の過剰投資により、首が回らなくなった大型温泉旅館である。かつて30数軒あった片山津温泉の旅館は今は10軒ほど。そのうちの3軒が湯快グループなので大変な勢力である。
泊まる前の印象は安かろう、悪かろうであった。今回、夕食は別席があったため取っておらず、わからないが全体的な印象は悪くない。まず、チェックインを済ませると浴衣コーナーで好きな浴衣を選ぶ。徹底合理化されているが、元は一流旅館のため、客室は広く、洗い場のある風呂とトイレ付き。温泉は加水循環だが、全体的に清潔で、最新型のマッサージチェアは無料、飲み物の販売機も定価だ。朝食はふつうのビジネスホテルのバイキングといったところ。高い食材はない。従業員はマニュアル対応だが、教育はしっかり行き届いている。しかし、地元以外の従業員も多いのか地理には不案内であった。
やはり24時間滞在できるのが魅力で、名古屋・関西からは往復3千円の直行バスがあるので便利だ。連泊組、送迎があるので同じ加賀温泉郷の別のグループホテルに泊まる客など湯快グループの囲い込み戦略は凄い。温泉ホテルのセブンイレブンだ。中高年層が多いが、多くがリピーターのようで、使い方をよくわかっているように見えた。(たとえば温泉プールや滑り台があり、CMで有名な北海道のK観光(AVホテル、JVホテル、TSPなど)の宿よりはグレードが高い。また、客層も意外にいいのだ。)
さて、ここまでは利用者としての評価だが、地元から見たらどうであろうか。山中では学会があったので最老舗旅館の専務さんに湯快グループについて聞いてみた。評価はひとこと「戦々恐々・黒船来襲」であろうか。
温泉街が朽ち果てて行くよりはよそ者でも来てもらいたい。実際、湯快グループが来て加賀温泉郷は多少賑わいを取り戻し、商店主などは喜んでいるという。また湯快グループも地元に協力的らしい。しかし、元が取れればさっさと撤退してしまうのでないか、その反対も考えられる。何を考えているのか読めない、やはり地元から見れば黒船なのであろう。
湯快グループは西日本で展開をしているが、東日本には同じコンセプトで「伊東園ホテルグループ」がある。両者は相互リンクを公式HP上で貼っているが資本関係はないはずだ。今後、湯快&伊東園グループ傘下となる宿が増えてくるであろう。
時代が生んだビジネスモデルであるが、駅前旅館が東横インになったのとあまり変わらない図式だ。選択するのは消費者なので評価はできない。但し、それが地域(温泉街)の再生につながるのか疑問もある。

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