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千円高速道路に喰われる四国、公共交通そのものが崩壊の危機

「千円高速道路」の影響で四国の公共交通機関が危機に瀕している。本四間には3本の橋が架かっているが、利便性がよくなったことでかえって公共交通の足を引っ張っている。先日の拙ブログで宇高航路を結ぶフェリー2社(四国フェリーと国道フェリー)が廃止することになり、宇高航路の灯が消えることを紹介した。実はこの航路廃止は思ってもみないところに影響を及ぼしている。
先日、JR四国の松田社長が、フェリー2社が宇高航路を廃止するのを受け、「強風で瀬戸大橋を通る鉄道が運休となった場合にフェリーで代替輸送をしていた。今後の代替輸送に影響が出る」と懸念を表明している。瀬戸大橋を通る鉄道が強風により運休となることは、多い時で年10回程度発生しており、従来は高松から宇高航路を使い玉野市まで利用客を代替輸送していたという。
高速バスなどによる代替輸送案を検討しているが、多い時で数百人にものぼる利用客を輸送するには必要なバスの台数を確保するのが難しく、代替策がなく、困っているらしい。
また、JR四国は国が6月から実施するとしている高速道路無料化で、年間約5億円の運輸収入の減少になるとの試算を明らかしており、全国のJR旅客会社の中でももっとも影響が大きいと思われる。
本四間は3本の橋で結ばれたことで飛躍的に便利となったが、宇高航路に就航していたフェリーは「千円高速道路」の煽りを喰って廃止に追い込まれている。その前にも本四間が直通したことにより、多くのフェリー会社が廃止や減便に追い込まれ、中にはその保証金でバス会社に転向したところもある。
この航路から鉄道、さらに高速バスへのシフトがJR四国を追い込んでいる。まず、四国-京阪神間を結ぶ高速バスに客が移動。このままではJRが高速バスに呑み込まれ、JR四国とJR四国バスの立場が逆転するのではいかという冗談もあったが、千円高速が登場してしまった。
この区間は千円ETCの中でも所要時間で見るともっとも利用者数が多い3~4時間の距離に該当する。これまで料金面などで優位を保っていた高速バスだが、こちらも急激に利用者離れを起してしまった。現在、利用者がいちばん減っているのが100~200キロクラスの昼行高速バスで、国内全体で見ても20%程度前年より減少しているらしい。たとえば、徳島バスは先月、高速バス路線のうち、徳島―神戸線と、徳島―奈良線の2路線を3月末で休止すると発表しているが、この1年で25%を越える減少となっている。
千円高速道路は、フェリー会社、JR、バス会社と次々に公共交通機関の首を絞めている。これまでJR四国と高速バス会社が競い合うことは健全な競争であったと思う。市場原理に基づいており、JRがバス会社の軍門に下っても、それは利用者の選択によるものなので仕方がない部分もある。しかし、千円高速の場合ははじめから答えが見えている。特に四国でそれを実施すればどうなるかぐらいはわかりそうなものだ。
あらためて、千円(無料)高速道路は地方の公共交通に大きなダメージを与えると云いたい。鉄道、バスにしても唯一の収益部門である特急列車や高速バスが赤字に転落し、それはローカル線や路線バスにも影響を及ぼす。さらにそれは、地方を衰退させ、破滅に追い込みかねない危険性がある。
【追記】
3/5、宇高航路の一社、国道フェリーが廃止を撤回すると発表した。四国フェリーの動向と併せ先行きに注目である。参考→四国新聞記事

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