北海道発の企業といえばニトリが有名であるが、積極的な道外進出の逆を行くような存在として地元特化で頑張っているのがセイコーマート(現社名はセコマ)である。
このところ地方発のコンビニの苦戦が報道されている。広島のポプラや群馬のセーブオンはローソン傘下となり、店舗もローソンへの暖簾替えが進んでいる。同様に神奈川のスリーエフもローソングループに入ったが、全国チェーン大手の「サークルK&サンクス」もファミリーマートへのシフトが急速に続いている。3大コンビニによる寡占が続く中で、独自のビジネスモデルで奮闘しているのが、北海道発のセイコーマートである。最近、セイコーマート関連で気になったニュースを紹介しながら、セコマ社の独自性や魅力などについて触れてゆきたい。
コンビニ大手の「セコマ」は、紋別市の郊外に、市の補助金を受けて新たな店舗を出すことになり、人口減少が進む地域で買い物場所を確保する取り組みとして注目されそうです。関係者によりますと、セコマは、紋別市の中心部から20キロほど離れた上渚滑地区に、ことし7月中旬にも新たな店を出すことになりました。4/20付 NHK 北海道NEWS WEB
北海道を中心にコンビニ「セイコーマート」を展開する「セコマ」が、人口減少が続く北海道紋別市の郊外に、市の補助金を受けて新たに出店することが20日、分かった。4/20付 上毛新聞
過疎地への出店、全国チェーンのコンビニではあり得ないことであるが、セコマの存在意義がよくわかるニュースである。今後、こういったモデルは増ていくであろう。急速な高齢化や過疎化で、商店だけではなく、スーパーの閉店で買物難民が増えている。既にセイコーマートが生命線になっている地域もあり、今回の事例は注目に値する。
勿論、行政が一コンビニに出資することに対し、違和感を覚える方も多いであろうし、対症療法に過ぎないといわれるかもしれないが、今出来うる地域の維持にはこれがいちばんかと思う。
この紋別市の上渚滑地区、だいぶ前に行ったことがあるが、鉄道の廃線によって過疎化が急速に進んだ印象を受ける。
セイコーマート(本社・札幌市中央区)は、ポルトガル産ワイン『ポルティーニョ ド コーヴォ』(赤、750ml・スクリューキャップ)の販売を始めた。セイコーマートがポルトガル産ワインを扱うのは初めて。(4/19付 Real Economy)
もうひとつはテーマが変わってポルトガルワインに関する話題だ。最近、各コンビニのワインも充実して来ているが、自社で現地から直接購入した500円ワインの先駆けがセイコーマートである。ここで当たったビジネスモデルを大手コンビニがパクって広めることは多いが、商社問屋を通さないでやったことは凄い。社長の父親は十勝ワインの創始者ということもあってかワインへのこだわりと大衆化には熱心である。管理人が知る限り、コンビニでのポルトガルワインは見た記憶がない。最近、チリ産もブランド化してしまい、価格がかなり上昇している。欧州の中ではポルトガルがコスパもよく、ハズレが少ない。今回のトウリガナショナルという品種は「ダン」という商品名で流通しており、テーブルワインとしては十分かと思う。
前稿でも少し触れたが、セイコーマートが全国展開のコンビニで今では当たり前のようにやっていることを最初に導入した事例は多く、その成功を見て、大手が真似るというケースが多い。中にはそれまでのコンビニではタブーのようなものもあり、その先駆性には目を見張るものがあるが、一部事例を紹介させていただく。ワイン以外では、PB商品の開発が20年前以上と早かった。当時のコンビニといえば、すべて定価であったが、50円の缶コーヒーを見て驚いたことがある。また、店内で調理し、温かいものを提供する「ホットシェフ」は画期的であった。最近では全国系のコンビニでも増えてきているが、温かい大きなおにぎりにはホッとするものがある。握り寿司コーナーがあるホットシェフの登場にはここまで来たかと思ったが、その後どうなったであろうか。
そして、当たり前になったイートインコーナーも最初に導入をしたのではないか。北海道という場所柄、周辺に飲食店がない場所では貴重である。これも全国系コンビニで最近増えている小分けの惣菜だが、セイコーマートでは100円惣菜で販売している。地方では多いひとり暮らしのお年寄りなどを考えたアイデアであろうが、価格、中身とも群を抜いており、コンビニの革命児と云ってよいであろう。
また、FC店から直営店へのシフトを増やしていることが興味深い。これは加盟店の高齢化が進んでいる事情がある。酒屋から転換した店舗が多いので後継者問題も含め、早めに策を打ったということであろう。全国系コンビニは加盟店とのトラブルがよくニュースになるが、地方の雇用対策にもなるので注目すべき事柄である。
セイコーマートの成功事例を見ていると北海道という地域の特性を最大限活かしているように思える。
「地域の弱みを強みに変える」-よくマチづくりに例えられることを実行しているように思える。徹底したコスト感覚も目を見張るものがあるが、それが消費者還元につながっている。
首都圏など道外での出店も望みたいところであろうが、「らしさ」を維持するためには今のスタイルが最適かもしれない。
最後に「セコマ」という新社名、「セコイ」と連想してしまう。略称では「セイコマ」や「セーコマ」があるがそちらの方がいいのではないか。NHKニュースを聴いてそう思ってしまった。