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稚内全日空ホテルが売却を検討、三セクシティホテルに存在意義はあるか

稚内市が51.4%出資する第三セクター「稚内シーポートプラザ」(社長・横田耕一稚内市長)は、所有するリゾートホテル「稚内全日空ホテル」の事業譲渡に向けた検討を始めた。今年度末の累積債務が20億円に達する見通しとなるなど経営難が続いており、自力再建は難しいと判断した。コンベンション機能を持つ大型ホテルとしての存続と雇用の維持を前提に売却先を探す。(8/12付 日経新聞北海道版)

昨年、稚内全日空ホテルの経営危機が表面化したが、実は三セクであったという事実を知り、拙ブログでもこのあたりのことは紹介をした。
昨年4月、稚内市が2億8千万円の追加援助をすることで、当面の危機は脱したが、その後も赤字は増え続け、2008年度決算は営業収入が前年度比3.9%減の9億6700万円となり、1994年の開業以来初めて10億円を割り込んだ。純損失は1億4700万円、累積債務は18億8230万円に達している。ここ数年は年間売上高が4億円減少しており、09年度も減収傾向に歯止めがかかっておらず、事業譲渡へと大きくかじを切ることになった。
このホテルの開業は1994年。ちょうど三セクによるホテルや温泉開発が盛んな時期であり、ANAによる東京-稚内の通年運航が実現したのがこの頃である。通年運航維持のため、稚内市が援助するかたちで首都圏から2万円以下の激安ツアーを毎年開催して名物になっていたが、これらもすべて稚内全日空ホテルと絡んでいる。
ANAホテルからすれば、あくまでも「ブランド貸し」の運営委託であり、債務の大部分は稚内市が損失補償しているので、他のANA系ホテルが売却されたにも関わらず、ここは残っている。逆にマネジメント契約が数年残っており、「全日空の名前は残すことも含めて考えたい」と市長は述べている。
行政がホテル運営に乗り出す、観光に力を入れている稚内市にとって全国ブランドチェーンに入るという意図も時代背景から考えれば理解できるが今は違う。財政問題だけではなく、観光を取り巻く環境、特に宿泊施設がこの10年で様変わりしてしまった。泊・食・宴型のホテルビジネスモデルが崩れかけ、稚内にも温泉付きの「ドーミーイン」などが進出。全日空よりもかなり安い料金で販売をしている。ANAの通年運航もいつまで維持できるかわからない。
管理人は全日空ホテルブランドに拘る必要はないと思う。契約が残っているのであれば仕方ないが、利用者がANAやJALなどのブランドを頼って宿泊する時代は終わっている。その辺り、航空路線の問題とは切り離して考えるべきで、稚内市も気付くべきであろう。

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