木曽郡王滝村のスキー場「おんたけ2240」の指定管理者でリゾート経営の加森観光(札幌市)が、東日本大震災に起因するグループ全体の経営悪化を理由に同スキー場からの撤退を決め、2日、村に伝えた。同スキー場は村営時代の巨額債務で村の深刻な財政悪化を招いた施設。村は昨年9月、財政健全化団体から抜け出し、本年度は積極型予算を組んだばかりだが、再び大きな課題を突きつけられた。(6/3付 信濃毎日新聞)
加森観光は運営委託の形で「おんたけ2240」の他、本州では安比高原(岩手)、夏油高原(岩手)、猪苗代箕輪(福島)の各スキー場の受託を行っている。おんたけは経営悪化に伴う民営化で2005年10月から同社が指定管理者を務め、同社の完全子会社おんたけマネジメント(王滝村)が運営。指定期間は10年間で、今年5月に6季目を終えていた。
おんたけマネジメントの西田社長によると、加森観光グループのうち、大震災の影響で岩手、福島両県の3スキー場が営業休止に。他も入り込みが落ち、グループ全体の経営が悪化した。おんたけ2240はここ3季、4千万円前後の赤字が続き、西田社長は「グループの存続も見通せない状況で『自立できない事業』の整理を決めた」としている。整理するのは同スキー場1カ所だけという。
加森観光はリゾート再生の救世主だが、運営委託されているスキー場が東北3ヶ所とは運が悪い。「おんたけ」は、おもに中京圏からの集客が多いスキー場であるが、アクセスに時間がかかり、最近は岐阜エリアのスキー場に客を奪われている。
震災の影響はスキー場経営に大きな損害を与えている。あまりニュースになっていないが、震災直後に東北地方の大半のスキー場は早々と閉鎖を決めた。また、震災翌日の長野・新潟県境で起きた地震により、北信や中越のスキー場も営業休止に追い込まれている。
2010-2011年シーズンはどこも豊富な積雪に恵まれたが、悪天候の日も多く、来場者は全体に伸びなかった。さらに追い討ちを掛ける震災により、来シーズンはさらに休業スキー場が増えるのではないか予想される。
スキー人口の減少に伴ないスキー場の淘汰も進んでいるが、まだゲレンデの方が過剰しているのが現状である。加森観光が受託する夏油や箕輪もバブル期に作られたスキー場であるが、同様な場所は各地にある。スキー人口の回復が望めない中、バブルの遺産の模索は続く。
管理人様
こんばんは。開発された土地を緑化事業や農地への転換と行くのは難しいのでしょうか。バブル期に開発されたリゾート地は自然に還すか体験型農場になるのがふさわしいと思います。
ブームに乗せられて開発した土地は次の役目として「社会貢献」、食料自給率向上や天災から少しでも守るといった型に戻して役立てる必要があります。このたびは、本州のお話ですが、わが北海道然りです。幸い、後継するデベロッパーがいたおかげで、活用方法を見出すことなくそのままリゾート地として精進しているところも何とかあります(中身はともかく)。
滞在型、避暑地等の観光を模索している北海道にも今回のお話は生き残り策を早期に計画、実行する参考材料となったのではないでしょうか。そして、加森観光さんは早くに手放したことで、傷は少なかったのではないでしょうか。道内企業としては、堅実な企業と私は見ています。
あさま山荘さん、コメントありがとうございます。
バブル期に作られた多くのリゾート(スキー場とゴルフ場)の事後処理に今だ翻弄されている観光業界。こまでもスキー場の再生事業を行う企業が何社か登場しましたが、ハゲタカも多く、途中で放棄をした例の方が目立ちます。
そういう意味では加森観光はもっとも堅実と云えますが、「困った時の加森頼み」にも限界があると思います。
スキーリゾートはおっしゃる通り、新しい事業への転換など思い切った施策を取らない限り、いつまでもバブル負の遺産として残ってしまいます。リゾートとしての再生か、新たな産業を創出するか難しいところですが、来年以降も休業や閉鎖されるスキー場が増えることだけは間違いありません。
ここにも失われた20年以降があります。