大手書店の三省堂書店(本社・東京)の留萌店が21日、プレオープンした。道内では5店舗目。この日は会員限定で、24日に本格営業を始める。(7/22付 毎日新聞北海道版)
街から書店が消えて行っている。
地方に限らず、都会でも大小の規模に関わらず、姿を消している。今回、オープンをした「三省堂書店留萌ブックセンター」は異例中の異例。通常、30万都市への出店を目安としてきたが、人口2万5千人の町に全国チェーンが出店をする。
留萌市では昨年末に市内唯一の書店が閉店し、書店が消えた。今春、振興局などが新学期を迎える子供たちのために臨時出店をしてくれる書店を探していたところ三省堂が興味が応じた。期間限定の書店は4月末に一度閉店をしたが、市民グループの「三省堂を留萌に呼び隊」が結成され、官民挙げての誘致運動が展開された。
今回のケース、留萌市は支庁所在地であり、支庁自体の存続も関わっている。政治的な背景もあるかもしれないが、いい話ではないか。
道内地方都市へ行くと書店がないのには閉口してしまう。郊外のショッピングモールなどに行けばあるが、街中では見かけなくなった。たとえば、函館市では大門にあった「森文化堂」が閉店してだいぶ経つ。地元出版物が多く、必ず訪れていたが、今は駅周辺に書店がなく、駅ナカのブックストアでお茶を濁している。釧路市では駅周辺の山下書店などが次々に閉まった。北大通にある古書の「豊文堂」は2Fにカフェや中古レコードも扱っており、お気入りであるが。帯広は詳しくないが、旭川は買物通りなどに大手が複数進出しており、最近では丸井今井跡にジュンク堂が出来ている。
ネット通販が出来る前は、地方出版物をそのご当地で購入するのが楽しみであったが、現在それができる機会が少なくなった。せいぜいキヨスクで買う地元紙ぐらいである。
書店は文化であると思う。百貨店などども共通するものがあるが、雰囲気を楽しむ、吟味するといった魅力がある。アマゾンなどのネット通販は、欲しいものだけを探す時に利用するだけにしており、書店巡りとは目的が異なる。
最近はCDショップも急激に姿を消しているが、留萌クラスの町にひとつぐらいは書店を残すべきであろう。書店やCDショップを文化と考え、存続に拘ることは、昭和人の発想かもしれないが、これらが消えてゆくことは、文化水準や民度の低下に繋がる(既に低下している)。書店の充実は地域の底上げにもなると管理人は考えている。
地方の書店や百貨店の存廃をめぐる議論の中で、いつも違和感を感じることがあります。
「商業活動なんだから、売れれば店が続くし、売れなければ撤退する。住民側も、店に残ってほしいなら、まずは、なぜ自分たちはその店が撤退を考える程度の消費しか出来ていないのか、こそを考えるべきじゃないか?」と。
書店については、今の時代、地方で本を大量に買う人ほど、地元で買わなくなっているんだろうな、と感じる部分があります。
地方の書店はどうしても品揃えが弱いですし、専門的な本を取り寄せるなんて言ったら、何週間後に届くか分かりません。
となると、欲しい本があっても、どうせ本屋に行っても無いだろうとネット通販を使ったりとか。あるいは、出張や休暇で都市部に行ったときに買うとか。
せっかく出店してくれた書店を存続させるには、今後の買い支え策が重要になってくるでしょう。
官公庁や企業などが、書籍・雑誌等の購入先として利用するのは当然のこと。その書店専用の商品券を作って、市内のイベントの景品にするなど、いろいろ取れる手はありそうです。
管理人様
こんにちは。地方都市の買い物難民に「救いの手」が差しのべられたと言っては大袈裟でしょうか。地方は書店の廃業、閉店があまりにも多く、私の知っている限りでは釧路の山下書店、帯広の田村書店や信正堂といった老舗が残念ながら店じまいしています。もちろん北見の福村書店さんは頑張っておられています。また大都市だって安閑としてられないです。現に旭屋書店が札幌から撤退しました。
留萌の話に変わりますが、紙媒体が無くなるとは思えません。また、子供の教科書や副教材はやはり書店の出番となるはずです。地方都市の配送網も整っているとは思いますが、やはり大都市と比較すると遅れています。ネット通販は便利だけれども「いつ届くの」と待つよりも「店にあった」の方が誰しも安心できるはず。店舗の存在意義を今こそ三省堂は三顧の礼で迎えられたのですから、それ応え、また留萌市民は迎えた責任があるはずですから店を「育てる」義務があります。
本当に官民一体となって取り組んでほしいですね。買い物難民を救うモデルとなってほしいです。
余談ですが、札幌出身のある作家先生のサイン会に行った時、道内のある書店の閉店の話をしたところ、「昔、お世話になったところなのですよ。私のサインを置いてくれたりして。時代なのかなぁ。紙(媒体)には底力があると思うのだけど…」と話されていました。
地球ネコさん、コメントありがとうございます。
今回の三省堂留萌出店の件はかなり話題になっていますね。書店の急速な減少は地方の衰退と密接している問題です。地方都市からは百貨店がなくなり、書店は地方文化の最後の牙城といっても言い過ぎでないのでは。
おっしゃる通り、地方在住で本を多く読まれる方は地元では買わないでしょう。ネットか大手書店がある町へ出かけた時に購買するのが当たり前になっているのでは。
留萌の三省堂は是非成功事例にして他所へ広めていただきたいですが、そのためには、市民は我が町の本屋として、ヘビーユーザーになっていただきたいと思います。
あさま山荘さん、コメントありがとうございます。
ネットで何でも買える時代と云っても、現物が眼の前にあるかないかでは大きく異なります。そして、タイムラグも発生します。おっしゃる通り、地方都市の買い物難民に「救いの手」が差しのべられたといってもよいのでは。
留萌市民には三省堂を育てていただきたいと思います。今後、他の中小都市にも活動が広まり、書店が増えれば地方再生の一モデルになるはずです。
百貨店をつくるのは時代誤認ですが、書店復活は新しい可能性を秘めていると思います。また、書店には地域のサロンとしての機能にも期待します。