管理人は北海道の人たちがどこから来たのか(移民)興味があり、よく尋ねるが、一部の人を除いてあまり自分たちのルーツに興味を示さないような気がする。既に入植から130年以上が経過し、すっかり根付いているということであろうが、ちょっと残念だ。
今回、紹介する「北海道の歴史がわかる本」(亜璃西社:桑原真人・川上淳著)は、これまで、あまり知る機会のなかった北海道の歴史を、石器時代から近・現代まで約3万年におよぶ時代の流れに沿い、52のトピックスで辿っている。
「北海道に現れた最初の人類は?」「アイヌ文化はいつから始まった?」「北海道にも県があった?」「屯田兵が置かれた本当のワケは?」など、興味惹かれるテーマが次々に登場する。
北海道の歴史というと五稜郭の戦いがあった幕末戊辰の役や、せいぜい松前藩が登場する江戸時代までだが、それ以前にも当然長い歴史があった。しかし、アイヌ民族やそれ以前の先住民のことはわからないことも多い。
この本で興味深かったのはアイヌ人と和人との関わりである。当時、アイヌ人が松前藩や幕府に果たした役割が大きかったことなどを知った。たとえばロシアや中国との交易ではアイヌが仲介役になっており、アイヌを通じて外国と繋がっていたことなどは初耳であった。しかし、アイヌと松前藩の関係は従属的であり、既にこの時代から和人への同化政策が取られるようになっている。
和人が道南に拠点を置き、松前藩が設置された15~17世紀は、世界史的に見ても覇権・植民化の時代である。欧州列強がアメリカ大陸やアフリカ、アジアなどに進出、先住民にとって受難の時代の始まりだが、同じようなことが蝦夷地でも起こっており、ケースはやや異なるが単なる偶然とは思えない。
明治維新となり、開拓の時代を迎えるとアイヌにとっては更なる受難の時代を迎える。狩猟から農業へ強制変更され、集団移住を強いられた。
和人化政策の法律として1898年「旧土人保護法」(何という名称か)が施行されたが、行政の世界で「旧土人」が使われなくなったのは、何と100年後の1997年「アイヌ文化振興法」が制定されるまで待たねばならなかったというから信じられない。ちなみに、新法成立に尽力したのは、あの萱野茂さんである。
「北海道の歴史がわかる本」では、これまで知らない北海道を知りえ、いろいろなことを考えさせられた。読みやすい内容なのでオススメである。
【参考】亜璃西社 本書紹介のページ
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コメント(2件)
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管理人様こんにちは。
おもしろそうな本ですね。
私のご先祖様は、屯田兵なので興味あるところです。
実家の仏壇の引き出しに、家系図があるのですが、
秋月藩から札幌琴似に入植したみたいです。
北海道って、面白い土地だと思います。
十津川から移り住み「新十津川」があります。
北広島市には「広島カープ」を応援する人も多いですし、
パチンコカープって言う店もありました。まだあるかな?
北陸方面からの入植者も多いと聞きました。
最近読んだ本で読売新聞の女性記者が書いた、「夕張検証」ですが、読み終えて夕張に今は人こそ住んでいますが、数十年後が本当にどうなっているのかと思いました。
元夕張市民さん、こんばんは。
北海道の歴史は面白いですね。不思議なかんじがします。
夕張市民さんのご先祖は屯田兵とのこと。秋月というと佐賀ですか?ほぼ全国から入植していますね。戦後、東京都世田谷区から江別へ集団移住したグループがあり、今でも「世田谷」という名前が残っているそうです。
数的にはやはり東北・北陸が多いような気がしますが、四国や広島などがルーツの友人もおり、なかなか楽しいです。