小樽市、新日本海フェリー乗客に金券を贈呈、減便・航路廃止阻止の意味合いもあるか

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小樽市は、小樽港と舞鶴(京都)、新潟両港を結ぶフェリーを運航する新日本海フェリー(大阪)に対し、本州側からの乗船客に無料配布する商品券代やその作製費用計2千万円を全額補助することを決めた。観光客の誘致とともに、フェリーの利用促進を図り、不況や高速道路料金の自動料金収受システム(ETC)割引の影響などで輸送実績が落ち込むフェリー会社を支援するのが目的だ。 (6/10付道新)

先日のブログでETC割引によるフェリー会社への打撃について報じたが、今回、小樽市が舞鶴・新潟から乗船をする新日本海フェリー利用客に、舞鶴発が5千円分、新潟発が3千円分の商品券を乗用車1台に付いて支給する。船内と小樽港フェリーターミナル内の飲食店、物販店でのみの使用だが、乗客にとっては有難いサービスである。
新日本海フェリーの小樽航路は1970年に開設、初の日本海ルートによる超大型船就航で、”昭和の北前船”と云われた時代もある。特に時代の先を行く豪華な船内が有名であったが、最近では合理化が進み、以前ほどの輝きを失ない昔の貨物中心の時代に戻った印象がある。
北海道側の発着港は小樽のみであったが、積丹半島経由による時間のロス、物流の流れが太平洋側に集中したこともあり、10年ほど前から苫小牧東港ルートを開設、現在では4往復のうち、小樽、苫小牧それぞれ2往復ずつ担当している。
小樽航路は近年、利用実績の減少傾向が続いている。特にETC割引を開始して以降、乗用車輸送台数の落ち込みが激しくなり、4月は前年比マイナス10%であった。
小樽市から見れば、苫小牧ルートの開設で減便となり、さらに燃料高、そしてETC割引と利用者の減少はイコール小樽市の収入落ち込みにつながる。そうでなくても観光客の減少が続く小樽市にとってその影響は大きい。
今回の商品券は、乗船客へのサービスだけではなく、これ以上の減便を避けたい小樽市の思惑もあるであろう。実際、小樽ルート廃止の噂もあり、新日本海フェリーへの繋ぎ止め対策の意味合いも含まれているのではないか。
道内では室蘭・岩内・釧路・広尾から本州へ向かう大型フェリーが廃止となっている。管理人としては首都圏から道東方面への航路の復活を願うが。そのためには港の使用料の大幅減額などの処置も必要であろう。青函航路の大型高速船にしてもそうだが、フェリーは新たな観光市場開拓の可能性を秘めている。
長距離フェリーの旅はブルートレインとまた違った趣があり、いいものだ。その魅力があまり知られておらず、クルーズ船ばかりが隆盛を極めるのは悔しい気もする。但し、新潟-小樽航路などは小樽港到着が何と早朝4時である。このダイヤは何十年と変わっていないが、その時間に下船しなくてはならないのが面倒だ。物流輸送の関係でこのダイヤ変更は難しいらしいが、せめて朝まで船内に居られないものか。
なお、フェリーターミナル内にある展望レストランと温泉はなかなかいい。フェリーを利用しなくてもいく価値あり。

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