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誰のためのいい宿、いい温泉か

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旅行業界紙の観光経済新聞社が主催する全国の旅行業界関係者による温泉地の人気投票「にっぽんの温泉100選」で、登別温泉が3年連続で2位となりました。
この投票は、旅行会社や航空会社の社員らに依頼し、専用のはがき1枚につき5ヵ所まで記入して送付してもらうものですが、ランキングは参考までに以下の通りです。()内は昨年の順位
1(1)草津 群馬
2(2)登別 北海道
3(3)由布院 大分
4(6)黒川 熊本
5(5)下呂 岐阜
6(4)指宿 鹿児島
7(8)和倉 石川
8(10)有馬 兵庫
9(7)道後 愛媛
10(9)城崎 兵庫
また、道内の温泉では湯の川22位、阿寒湖26位、十勝川27位、定山渓48位、ウトロ49位、洞爺湖52位、川湯62位、層雲峡82位、丸駒が83位にランクされています。
読者の皆さまはこのランキングを見てどう思われたでしょうか?
過去の得票データを見ると設備が整った大規模な温泉地が上位に来ており、青森の古牧温泉が長年トップであったことでもよくわかります。
最近では温泉本来の魅力、泉質や風情などが優先されており、これは時代のニーズが数字として表れているようです。
また、観光経済新聞社では「人気温泉旅館ホテル250選」を実施しており、過去19回実施したなかから5回以上入選した旅館ホテルには五つ星を授与しています。
ちなみに道内では、阿寒湖の「遊久の里・鶴雅」、ウトロの「北こぶし」、定山渓の「鹿の湯」、登別の「第一滝本館」、層雲峡の「ホテル大雪」、十勝川の「第一ホテル・三余庵」、湯の川の「湯の川プリンスH・渚亭」がベストセレクションになっています。
このデータをみると大規模温泉地の大規模ホテルばかりであり、なかにか「えっ!?」というところもあります。この選定そのものが旅行業界向けのものであり、選考基準は「評論家やマニアの”個人的なこだわり”を評価基準にした特殊な施設ではなく快適・安全・安心の全てにおいて、プロが公平にチェックした施設」とあります。
つまり「サライ」や「自遊人」で紹介されるようなこだわり系の宿は”特殊”ということであくまでも玄関に旅行代理店のプレートがたくさん掲げられている「観光ホテル」形態のものを中心にセレクトされていることになります。
現実的には温泉旅行で団体旅行のニーズは減り、「観光ホテル」を利用すのはパックツアーが中心であり、個人旅行者は「こわわり系の特殊な宿」に流れています。これは温泉地ランキングで黒川や奥飛騨、乳頭などが上位に来ていることをみれば一目瞭然です。
こだわり系の宿は客室数が少なく、営業力もないので旅行のプロから見れば都合のよい宿とはいえません。しかし、実際にはニーズがあるこれらの温泉地をウリにした商品が増えているわけで旅行のプロは後手、後手にならざるを得ません。
本来はプロが選ぶ温泉宿と消費者が選ぶ宿がリンクするようでなければいけないはずですが、今は捻じれ・乖離現象が起きています。
情報化により消費者の目が肥え、プロ側もそれに応えようとするが、追いつかず立場が逆転している状態です。
また、宿もプロニーズと個人ニーズの二極化が進んでおり、利益確保と消費者ニーズが相反する難しい時代です。
著者がホームページを立ち上げた趣旨である「北海道が観光立国を目指すのなら、観光で来る人たちには、お仕着せでないホンモノの北海道を、満喫して帰ってもらいたい。観光業に携わる人たちは、自分たちの置かれている立場に気づき、切磋琢磨し、自信を持ってもらいたい」
あらためて「にっぽんの温泉100選」を見ながら、最初の願いを思い出しました。

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