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フロントで日本人にパスポート提示を求める 居場所がなくなってきたニセコ

スキーリゾート「ニセコ」(後志管内倶知安町、ニセコ町)に宿泊する外国人観光客が本年度、初めて40万人を突破するのが確実な情勢だ。円安で旅行費用に割安感がでているのに加え、新たにできた高級宿泊施設の人気もあって、この年末年始も多くのスキーヤーが「世界一」のパウダースノーを求めて訪れている。全国的な知名度を誇りながらも、かつては地方のスキー場にとどまっていた「ニセコ」は、今、世界の「NISEKO」へと変貌を遂げつつある。(1/3付 道新

オーストラリアからニセコに多くのスキー客が来るようになったのは2005年頃からだと記憶しているが、その間、リーマンや3.11などで一時的な落ち込みはあるものの着実に数字は伸ばし、主要施設では外国人宿泊者の数が日本人のほぼ倍になっているという。当初のオセアニアからアジア圏、さらにスキーの本場である欧州からも来るようになったが、管理人は日本人の居場所がなくなるのではないかと危惧し、facebook版の方で何度か警鐘を鳴らしていた。

ちょうど1月3日、ニセコで年末年始を過ごしたという読者Nさんからメールをいただいた。この方は首都圏在住だが、道内で医療関係の仕事をされており、ヒラフのコンドミニアムに滞在。その施設には二度目ということであったが、その内容を読んで驚いた。抜粋して紹介をさせていただく。

以前このサイトでニセコ比羅夫にフォーシーズンが進出すると言っていたのを思い出し、読み返しました。はやくフォーシーズンでもいい、外資系でもいいから正しいサービスができるホテルを誘致してほしいものだと感じました。新幹線やオリンピックでも来ないと無理でしょうか、一昨日倶知安町から帰りました。今回ニセコ比羅夫のコンドミニアム利用でびっくり仰天!日本人の私にもパスポート提示を求めてきた。全額前金支払い済み、今回2回目利用、GEST SERVICE FINAL CONFIRMATIONを提出したのに、ここまで確認必要か?と言わんばかりのパスポート提示要求。日本人だから持っていないと言っても理解してくれない、お遊び半分でニセコにアルバイトに来てしまったオーストラリア人の女の子、こんな子をレセプションに置いてしまうこの会社(N)はいったいどうなっているのか。ここは日本なのに日本語も通じないし、日本人なのにサービスも受けれない。唯一地元の主婦たちがせっせと客室係清掃担当で精一杯働いてることが、最高のおもてなしだった。こんな倶知安町、日本人はますます来づらい町になw

これでは”ニセコ租界”であり、日本人も外国人扱いということである。滞在客の多くが、外国人であり、スタッフもアルバイトの外国人という状況では、十分あり得る話だが、トリップアドバイザー経由で4か月前に予約を入れ、前金で高い宿泊料を払っているという。アルバイトの女性は最後まで証明できるものを出せというので運転免許証を出したというが、これでは海外旅行で不快な体験をした時と同じである。施設のマネジャーとオーストラリア人の社長は謝罪したというが、彼らはNさんたちに対して本当に詫びる様子はなく、改善もない感じであったということだ。

Nさんはトリップアドバイザーや後志振興局観光振興課にも今回の件で連絡を入れたが、トリップアドバイザーからの返答は以下のとおりである(抜粋)。

残念ながら十分なスキルを備えた日本人の雇用が難しい状況であることが現実となっており、この点は、地域を挙げて早急な対処が必要な課題でもあります。それらも踏まえた上で、その独特の国際性に富んだ環境を体験していただくことも、現在のこの土地ならではの観光特色のひとつでもあることもご理解いただきたいと思います。』

この「その独特の国際性に富んだ環境を体験していただくことも、現在のこの土地ならではの観光特色のひとつでもあることもご理解いただきたいと思います」は詭弁ではないか。日本で外国文化を学ぶのもよい経験だと言いたいようだが、よく言ったものである。ここでは英語が必須のようだが、ニセコは日本であり、外国人がメインとはいえそれほど絶対的なものであろうか。多少、ブロークンでも日本人スタッフを採用した方がいろいろな意味でいいと思うが。また、振興局からの返答は外国人スタッフ向けに”おもてなし”の研修をするといった内容であるが、どうもニセコのコンドミニアムに日本人が来るのは想定外のようである。

 

今回の事例はニセコという特殊性もあるかもしれないが、今後、訪日観光客が増えることで起こりうる典型的なケースのような気がする。ニセコの問題点としては、外国資本が参入した当時から行政はそれらと距離を置いており、結果、地元主体ではなく、縛りのない治外法権のような状態になったことである。同じ外国人スキーヤーが多い長野県では、他所の資本が参加しにくいシステムや風土があり、地元が主体となって海外からの集客をしている。たとえば白馬エリアでは3市町村の10スキー場が組んで共同プロジェクト(白馬バレー)を行っているが、以前ならライバル関係であったものが手を組んでいる。あくまでも主人公は日本(人)であり、日本人と外国人が共存できるが、北海道は分断されている印象がある。

ニセコは一般の宿の宿泊料金も大幅に上がってしまった。リゾート系なら3万以上、温泉ホテルでも2万以上が冬の相場だが、拙ブログでも昨年は道内宿泊施設の混雑と料金アップについて何度か紹介した。これは北海道に限ったことではないが、たとえば三が日が過ぎれば、ガクッと空く観光地の宿も訪日客によってかなり埋まっている。また、最近、訪日客によって大阪のホテルが取りずらく、料金が大幅に上がり、出張族を泣かせているという話もよく訊く。

今回紹介した事例は加熱するインバウンドの弊害だが、2020年に向かってさらに訪日客が増えれば、大きな問題としてクローズアップされそうである。今後もインバウンド絡みの話を紹介してゆきたいが、読者の皆さまからの情報提供もお願いしたい。

 

最後にこの記事化に快諾をいただいたNさんに感謝を申し上げたい。

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