*

北海道いい旅研究室9

おなじみ、あざらし君の「いい旅9」が昨年12月に発売された。札幌の書店では12,1月の売上げ1位となったというから驚きである。「いい旅8」が出てから1年半が経過していたので、いつ出るかも忘れかけていた頃。前号が150頁570円であったが、「いい旅9」では160頁となり630円である。
内容はこれまでとさして変わらないが、「正直すぎる奥尻島ガイド」など趣向を変えた企画もある。
この「いい旅」シリーズも1号から10年近くが経つ。当初は松田教授とともに源泉掛け流し塩素なしの”正しい温泉”にこだわった。このテーマをかなり早い時期から取上げたことは、ヨミが鋭く、ニーズを摑んで、宿が正しい方向へ向かっているので評価すべきだ。
最近のアザラシ君のお好みを見ていると天敵であった野口観光が経営する新しいホテル「望楼NOGUCHI登別」や、支笏湖、富良野、ニセコなどにある寶亭留(ホテル)でおなじみの翠山亭グループをえらく評価したりするなど変化が伺える。違和感を覚えたあざらしファンもいるかもしれない。
あざらし君の中では、源泉掛け流しの「正しい温泉」はひとつの使命を終え、北海道が苦手としているホスピタリティの部分にスポットに当てようとしているようである。
湯守が辛うじて守る一軒宿や糠平のような瀕死の温泉街を自ら何とかしようと足とペンで動くあたり好感が持てるし、目のつけどころは悪くない。
しかし、客観的にみてお気に入りの宿には大甘の採点(期待を込めて?)であり、たとえば「銀婚湯」を最初から高評価しているが、あのクラスの個人客重視の宿は本州ではいくらでもあり、「どうして?」と思ってしまう。そのあたりは差し引いて読む必要があるであろう(銀婚湯は道内では数少ない個人客重視の宿であるが、食事、値段など総合評価してほしい)。
道新の「あざらしの温泉宿ベスト30 2006年」にも書いてあるので参考になる(以前はあれほどボロクソ言っていた道新だが)。
あざらし君に対する評価はいろいろある。直接、本人に会ったことはないが、管理人の交流がある宿の主人や出版関係者は、「問題あるけどあれはあれで憎めない奴」、「ガイドブックではなく読みものしてみればいい本」などいろいろな評価がある。何となく最後は認められてしまう得な性分のようである。
また、あざらし君のお気に入りのはずだが、毎号紹介されない温泉宿があるのも面白いところである。
管理人もあざらし君の本への意見はあるが、今のままのポジションがいちばん似合っている気がするし、影響力もあるのではと思う。きっと10号も買うであろう。
北海道いい旅研究室 (第9号) 北海道いい旅研究室 (第9号)
舘浦 海豹

海豹舎 2006-12
売り上げランキング : 320906

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 - すべての記事一覧, 書籍紹介