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JR北海道の全列車と九州新幹線で廃止、風前の灯となった車内販売

毎年のJR各社のダイヤ改正とともに縮小が進んでいる車内販売だが、JR北海道が2月28日に最後まで残っていた「S北斗」の3往復列車での販売を中止、また九州新幹線でも3月15日にいっきにすべての列車からの販売中止が発表された。
これでJR北海道の特急列車から車内販売(以下車販)がある列車がなくなることとなった。JR九州の場合、新大阪発着の「みずほ」「さくら」の山陽新幹線区間や「指宿のたまて箱」などの観光特急では継続するようであるが、全国的にみても急速に車販の廃止が進む。今後は新幹線や観光列車ぐらいでしか買うことはできない時代がやってきた。

JR北海道の車販中止についてはJR側から「いかに売れないか」を説明をしたリリースが発表されている(リリースはこちら)。リリースにはご丁寧にも過去20年の売上グラフと損益が表示されており、こういったものの数字を出すのは異例のことである。
管理人が予想するに、車販廃止への世間の反対意見が予想以上に多く、何とか理解を得ようとするために詳細な数字を出したのではと思うが。廃止理由としてコンビニの拡充や販売員の雇用確保の困難などを挙げている。しかしながら車内販売への抜本的な改革策も示さず、「経営が厳しのでやめさせて下さい」というスタンスはローカル線を廃止させようとするのと同じような理屈であり、JR側のご都合である。
経営が苦しいことは、言われなくてもわかっていること。売れない(乗らない)ならばやめますというロジックはあまりに安易ではなかろうか。
利用者からみれば、乗車時間の長い北海道で飲食の機会を失うことは、鉄道移動を味気ないものにさせてしまう。リリースにある通り、駅構内の売店やコンビニで購入する機会が増えたのは事実だが、時間がなく買えないことや時間帯によっては売店が開いていないこともある。また、暖房の効いたJR北の車内に居れば冷たいものを飲みたくなることもあり、水分補給ができなければ、エコノミー症候群やインフルエンザ感染など健康にも影響しかねない。

以前、管理人が札幌から帯広まで都市間バスを利用した時だが、時間がなく飲み物を買えずに乗車した。途中で休憩があると勘違いしていたのだが、実際は5時間近く、暖房の効いた車内で水分が取れずに脱水状態となり、医療機関のお世話になったことがある。
この時は前日のアルコールも影響していたが、鉄道移動であれば飲み物を買えるので、医者の世話になることはなかったであろう。

車販が無理ならせめて車内に自販機でも置いてくれればよいのだが、飲み物自販機も最近は見なくなってきている。前述した通り、北海道は移動時間が長く、都市間高速バスや航空機などライバルも多い。JRにとって車販は他の公共交通に対し、強みを発揮できるツールに成り得るものであり、このあたり目先の数字に走ることで自分たちの首を絞めることになり兼ねないということに気付くべきである。
収益のことを云うのであれば、外部に委託販売するなどいくらでもやり方はあるはず。JR北のキヨスクがセブンイレブンと提携を決めた時に車販や車内自販機管理を含めたプロポーザルが出来なかったのであろうか。主要駅のコンビニを車内販売の補給基地にすればコスト改善に繋がったのではないか。
リリースではご親切に代替の駅構内キヨスクやコンビニの案内があるが、利益率が高い店舗で購入させたいというJR側の魂胆が垣間見れる。

具体的な車販の改善策が示されなかったのは残念なことである。たとえば山陽新幹線で販売している5千円ぐらいするプレミアム感のある限定土産のようなものをインバウンドをターゲットに販売するなど策はいろいろとあるはずであるが、やめることが先のようである。

余談だが、首都圏の中距離電車のグリーン車にはNRE(日本レストラン)から委託されたアテンダント(車掌業務も兼ねる)が乗車しているが、そこでは車販も行われてる。こちらはJRにとってもJREにとっても都合のよいビジネスなのか拡大の一歩、来年から中央線快速電車にグリーン車が投入されるが、賄える分だけスタッフを採用できるのか疑問に思ってしまうほどだ。消えゆく車販がある一方、拡大する車販もある現実、やり方次第で大きな需要もあるはずである。

今回の件で管理人はますます道内長距離の移動でJRを使いたくなくなってきた。表向きは民間とはいえ限りなく公共性を高く維持しなければならないJR、JR北は利用者マインドを無視し、御上が気になるのか目先の僅かなコスト削減にしか頭が行っていない。外部委託などやり方次第では利益を出すことが出来たはずであるが、JRやその関連会社の既得権益があるのか外部へ解放する動きがない。かつては地元の駅弁屋さんなどが同じ列車でも小まめに交代しながら乗務していたこともあったが、最近では見られなくなった。

「スーパー北斗」の車内販売がなくなってしまえば、車販のスタッフに予約をして長万部駅から積み込む「もりそば」「かにめし」も食べられなくなる。確か「オホーツク」から車販を廃止する時、遠軽駅名物の「かにめし」もやめて、駅弁から撤退してしまっている。車内でおやつ代わりにいただく「大沼だんご」も食べられないとは。誠に残念である。鉄道食もコンビニのような画一化が進む。

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