先月30日に道東道が全通した。公共交通機関への影響でいえば、時間短縮の都市間高速バスにとっては追い風、JRにとっては逆風である。これ以上の鉄道離れを食い止めようと、JR北では札幌-帯広間の時期限定格安きっぷを導入し、大々的にPRしている。今後の展開はいかに。
上記写真は駅構内などに貼られているポスター(チラシ)だ。「日帰り超割特きっぷ」は、11/10までの限定ながら、札幌-帯広間往復が8,800円で利用できるもの。これまでの割引きっぷでは、「Rきっぷ」で12,200円、高速道路延伸や高速バスを意識して投入した「Sとかち」限定の「割特きっぷ」が11,000円だったので、大幅な値下げである。
ところが料金面ではこれでも高速バスに軍配が上がる。札幌-帯広間「ポテトライナー」は片道3,670円なので大幅に安く、本数も10/30から7往復から10往復に増回された。所要時間は35分短縮の3時間40分になったが、JR特急利用であれば2時間15分~2時間半程度なので高速が開通してもバスは太刀打ちできない。
どちらに乗るかは利用者の判断によるが、逆風のJRにとって、値下げ競争には限界がある。むしろ鉄道の「優位性」をPRし、これまでと違った発想の「きっぷ」などを投入したらどうであろうか。
鉄道の優位性で云えば、「速達性」と「定時性」である。特に「冬こそJR」というぐらい強みを発揮する。しかし、それだけではもはや通じない時代だ。高速バスは若者や女性に支持されているが、その層は鉄道の[速達性」についてあまり知らないのだ。その理由のひとつに、地方ではローカル普通列車の印象が強く(やたら停車時間が長いキハ40など)、鉄道とスピードが一致しないようだ。高校などの通学で使っていればそうかもしれないが。
家や職場の近くから乗れて、狭いながらも快適(?)な居住空間のある高速バスにシフトをする理由はわかるが、管理人などは長い時間の高速バス乗車は苦手だ(高速バス関連の仕事をしていながら申し訳ないが)。その理由としては、車内での自由度のなさだ。
ガタイが大きい管理人にとって、3列シートといっても狭く、車内の移動もトイレに行くぐらいで儘ならない。何より、周囲の乗客と近いため、気遣いをしてしまう。列車なら堂々と飲める缶ビールも呑めず、ワンカップを開け、するめイカでも食べようものならその匂いが車内に充満する。夜行バスでは缶ビールを蓋を開ける音すら遠慮をしてしまう。
余談だが、一昨年、十勝川温泉まで「ポテトライナー」に乗車をしたが、小さなペットボトルのお茶だけを買って乗り込んだ。5時間近く走るので、途中、SAでの休憩があると思い食料を用意しなかったが結局トイレ休憩もなし。暖房が異常に効いており、喉が渇いた。マイナス気温の十勝川温泉に到着をした直後に温泉に入り、風呂上りにビールを飲んだが、直後、息苦しさに襲われ、手足が動かしにくくなった。パニックになったが片方ではなく、両手足が動かしにくかったので脳ではないと思ったが2,3日体調不良が続いた。
実はこれバスで脱水を起こして血が濃くなっていたのだ。前夜、深酒をし、乾燥した車内で水分も殆ど取らずにいた直後に温泉に入り、アルコール・・・。もし、バスではなく、鉄道を利用していればこんな事態はならなかったはずである。自由度の高い列車では、デッキへの移動や車内販売もある。気分が悪くなれば途中の駅に降りることもできるがバスはそうはいかない。
JR特急は鉄道移動の自由度や快適性をもっとPRしてもいいのでは。管理人は「S北斗」や「Sおおぞら」のG車連結部にミニブッフェかミニバーを設けてほしいが。また、女性客への配慮も必要である。現在、高速バス予約サイト(「発車オーライネットなど)」では、隣席に男性がこないようにしているが、JRではまだこのサービスが実現していない。
また、車内も女性を意識したインテリアや座席に改造、パウダールームの充実などいくらでも話題性のあるネタがころがっているがJR北海道はあまりそこら辺りを意識していないと思う。
ケースは違うが、女性客や若者から支持されている「きっぷ」として、JR東海ツアーが発売している「ぷらっとこだま」がある。この商品は新幹線「こだま号」利用限定で、東京からなら名古屋・大阪方面へ格安で行けるもので、ワンドリンクサービスもある。東京から京都へ行く場合、9,800円なので、普通に購入するより3,420円安い。
旅行商品扱いなので前日までの販売だが、この「ぷらっとこだま」と高速バスを片道ずつ利用している人も多い。特に若い女性に支持されており、高速バスへの流失を阻止しているだけではなく、バス利用者をあらたに誘客している。
新幹線と北海道とでは事情は違うが、若者や若い女性を意識した「きっぷ」や旅行商品の販売、また、座席の販売方法や車内の改造など取組んでみたらいかがであろうか。
こちらには2回目ですが、卑見を以下に記します。よろしくお願いします。
快適性は個人差が大きいと思います。その上で、管理人様の考え方は理解します。
一方で私は特急列車も都市間バスも乗りますが、乗客や車内販売員がひっきりなしに行き来する特急は落ち着かないです。
むしろ、PAでゆったり休憩できる中長距離バスは、例え2人×2の4列シートでも快適です。
その意味で「ボテトライナー」が今回休憩時間を新設したことは、時間短縮より注目と思います。
それから、管理人様には申し訳ないですが、ワンカップにスルメイカは列車内でも私には迷惑です。
鉄道の特性は大量かつ高速輸送であり、北海道の鉄道は貨物輸送を主に敷設された歴史を踏まえると、
旅客輸送量が多い電化区間や貨物列車運転区間を除き、北海道の鉄道は大半が使命を終えている
と敢えて申し上げます。
長期的には新幹線とコンテナ貨物輸送の両立及び使命を終えた鉄道路線の地域バスへの一元化、
短期的には気動車特急の全席指定化と途中駅の「休憩停車」設定が北海道の鉄道の課題と考えます。
在来線高速化は中途半端です。新幹線並みの高速化が理想ですが、財政的にも技術的にも難しいならば、
逆に新得などの途
携帯からのコメント投稿で、末尾が切れてしまい失礼しました。
新得などの途中駅をいわばPA化して、「休憩停車」時間中に地元の美味しいものを
ゆっくり味わっていただいたり、ちょっとしたものを買い求めていただいたほうが、
地域経済にも貢献するのではと愚考します。
長文失礼しました。
旅する日々さん、コメントありがとうございます。
鉄道とバスの快適性についてはどこに優先順位を持っていくかでも大きく異なりますね。管理人はバスの快適さも理解しているつもりですが、路線は選択してしまいます。札幌-北見・網走線などは好きです。
ワンカップにスルメイカですが、列車内でもスルイメイカは持ち込みません。あの臭いは横浜駅の「シューマイ弁当」に匹敵するほど強烈です。ワンカップは呑みますが。念のために。
北海道の鉄道に関するご意見は大変参考になりました。こちらも考えたことがなかったような内容でした。「休憩停車」はJR九州の観光特急ではありますが、定期列車でそれが可能なのか興味があります。
御ブログ、拝読しました。いい内容ですね。
若者や女性客も、JRの速さや定時性は知っていますよ。
ただ、それが、価格差に見合うものでは無いから、バスを使う人が多いのでしょう。
札幌~帯広で、バスなら往復7千円、JRは割特きっぷでも11000円ですから、差額は4千円。
所要時間の差はたった1時間ですから、アルバイトの日給に相当する額を投じる気には成りにくいです。
道民の感覚としては「JRはビジネスマンや本州からの観光客、急用の時に使うもの」「遊びや買物など私用の時はバス」という認識が多いように感じます。
旅する日々さんの指摘する、「特急の全席指定化」と「休憩停車」は、利用者の理解を得られにくいと思います。突然の時に、自由席やデッキに立ちっぱなしを強いられても乗れるのは鉄道の利点。
休憩停車にしても、急な商用や不幸ごとなどでの乗客にとっては、無駄な時間でしょう。
現実的に導入するとしたら、Rきっぷなどで、途中下車して後続の自由席に乗るのを認めるという方法はアリかもしれませんね。例えば、札幌から帯広に行く途中なら、南千歳のアウトレットモールに寄ったり、新得で食事をしたりと、旅の幅が広がりそうです。
広域観光推進の観点からも、ぜひ検討してほしいものです。
それにしても、最近は、本州の高速バスだと禁酒がマナーになっているようですね。車窓を眺めながらのビールが好きな私にとっては、なんとも寂しい限りです。
以前は、札幌の中央バスターミナルでビールを買った記憶もありますが、今はどうなっているのかな。いずれ道内も、車内禁酒の流れになっていくのでしょうか。
地球ネコさん、こんにちは。
まずは若者や女性がJRの速達性や定時性を知らないと書いた件は人伝に聞いた話なのでご勘弁を。もう少し情報は精査します。
最近はビジネスマンでも道内では高速バスの利用が目立ちますね。鉄道の所要時間が変わらない札幌-網走線に乗った時に思いましたが、紋別や遠軽、名寄など道北・オホーツク方面のバスにビジネスユースが多いような気がします。
「全指定席」と「休憩停車」に関しては地球ネコさんと同意見です。リゾート特急に導入するのであればいいアイデアであると思いますが。
また、「Rきっぷ」の途中下車ですがこれは実現してほしいですね。管理人がRきっぷを買うことがあまりないのも、観光客や本州からの利用者にとって途中下車できなないことが大きなデメリットからです。「北海道フリーきっぷ」はかなり乗らないとペイせず、「道東フリー」も途中下車が出来ません。
本州の高速バスが禁酒がマナーとは知りませんでした。缶ビール1本ぐらいOKかと思いますが。2階建バスで1階にサロンがあるタイプでは飲酒していたと思いますが今はダメなのかな。